「うっわ、けっこうボリューミー……」

 予想通り、遊泳区域付近の駐車場には、数台のキッチンカーが出店していた。

 ユーイチが即決したハンバーガー屋さんで、わたしも同じものをオーダーをしたけれど、スタッフから渡されたハンバーガーの大きさを見て、唖然とする。

「なにこれ、どうやって食べんの……」
「んなもんかぶりつくしかねえだろ。こう、がぶっと」

 言って、手本のようにひとくち頬張るユーイチ。もぐもぐと動かす口のまわりに、テリヤキソースが豪快についていて笑えた。

「食べ方へたー」
「う、うるせえっ。こんなん誰が食ったってこーなるんだよっ」
「駐車場の真ん中じゃあれだから、とりあえずどっかに座ろうよ」
「そうだな。やっぱ風がないと外はあちいから、海行こ、海海っ」

 その言葉でふたり、砂浜へ向かう。その際多くの人とすれ違った。

「あれ、もうみんな帰るんだ」

 次から次へと海から上がって来る人たちを目に、もしかしたらここの区域は遊泳時間が設けられていて、その終わりの時間が今なのかもしれないとふと思う。

 だったら今からあっちに行っちゃまずいのかな。係の人に注意されちゃうかも。

 このまま足を進めていいのかわからなくなったわたしは立ち止まり、ユーイチを呼び止める。

「ねえ、ユーイチ待って」
「うん?」

 するとユーイチも、わたしの二、三歩先で足を止めた。
 彼の背景に見えるのは、なおも惜しみなく輝く海。

「もしかしたらもう、時間的に海の方には行っちゃいけないのかも」
「えー、まじかよ。じゃあどこで食うの」
「んー」
駐車場(ここ)?」
「それはやだなあ」