受付の方がニコニコとした表情を崩さずに、私に言い放つ。
「…そうですか…」
 私は店員に言ってから、カフェのドアを開けて外に出た。
 外に出て、私は病院に戻るためにもと来た道を歩いた。
 歩く途中には、昨日私が襲われた場所を通らなけらばならない。
 カフェに行く際は、六弥くんに会わないといけない。
 工藤の言葉をきちんと見なくちゃいけないと思い駆け足で待ち合わせ場所に向かったから。
 工藤の言葉一つひとつ歩く度、言葉が私の横にいるように紡がれていく。
 ある人は初めてじゃないのに、なんだこいつはと見てくる。
 僕しか知らない。ある人は僕とは初対面だと思っている。
 僕はひそかに微笑んだ。ある人は知らないだろう。
 一つひとつの言葉が一歩前に進むたびに、工藤の言葉が前と突き動かす。
 昨日襲われた場所を通りすぎて、ほっと一安心した時、後ろから気配を感じて振り向くと、そこには。一方で、工藤は自分の家族の元へ行っていたのだ。
 俺はやり残したことはなかったが、俺のお葬式でどんなふうに悲しんだり、話したりしているのか見たくなったからだ。
 俺の葬式は、ここで行われるらしい。自分の葬式がどこで行われるかは分からなかったので幽霊の姿でさまよう。歩かなくていいのは楽だが、何故か居心地が悪い。
 足を使わないで歩かないのは、人間じゃなくなった証拠だ。
「……あった」
 自分の葬式を見つけた。俺の家の近くにあると思ったが、違かかった。
 兄貴と父さんの住んでいる家に近いところで葬式が行われていた。
 俺は昨日亡くなったばかりだが親戚が葬式関係者だからか、早めに手続きをしたのだろう。
「……っ…」
 俺は葬式場の中に入ると、母さんは俺の写真が飾られている所で一人泣いていた。
 そこには寄り添うように、兄貴がいたのだ。