私はかけがえのない存在だった人がこの世にいないことが辛いし、今後どうしたらいいのか
分からないでいた。
 工藤の言葉を思い出した。ある言葉を残した。と言っていた。六弥くんに渡したと。
「……そうだ、六弥くんに会わないと。工藤から何か伝言があったに違いない」
 私は独り言を呟きながら六弥くんの家へと向かうとするがどこにいるのか分からなかった。
 病棟のテーブルにあった携帯を瞬時にズボンのポケットに入れていたので、六弥くんに連絡をした。
「六弥くん?」
 私は六弥くんに聞く。
「…僕だけど…今宮さん。大丈夫? 心配してたんだよ。学校の人たちも心配してた」
 六弥くんは泣いていたのか鼻声で私に問いかける。
「……泣いたの?」
「……泣くに決まってるよ。工藤亡くなったんだから。今宮さんも怖かったでしょう」
 六弥くんは数秒黙ったまま、ぐすっと鼻をすする音がした後、声を発した。
「……うん。…六弥くん。工藤に渡されたものってある?」
 私は六弥くんに聞かなくてはならなかった。工藤が六弥くんに渡したものがあることを。
「…あるよ。工藤には悪いけど。中身、少し見させてもらったけど……。今宮さん。
もしかして、今宮さんはこのラジオネームの人のこと知ってるの?」
 六弥くんの口からラジオという言葉が出てきたことに私は目を丸くした。
「…なんでそんなこと知ってるの?」
 私は六弥くんに聞く。
「…工藤から渡されたものにラジオネームが書かれていたから」
 六弥くんは私に言う。ラジオネームのことを。
「六弥くん、今どこにいるの?」
 私は六弥くんに聞くと、そこに向かった。