すずはその軒先をまた写真に撮り、先を歩く直人の背中を追いかけた。純に会ったら今日のこの出来事を真っ先に伝えたい。純の撮ったたくさんの写真達は、この不安だらけの二人の旅を最高に有意義な時間旅行にしてくれた。
すると、直人が急に振り返ってすずを見た。
「すず、この角を曲がったら、ほら、何軒か家が見えるだろ?
ここから右側にある四つ目の家だと思う…
純、いるかな…
あ、やべぇ、俺、緊張してきたかも」
「もう、やめて。
私にまで緊張がうつるよ。
でも、大丈夫、純は笑顔で迎えてくれる…」
二人は小さく深呼吸をして、前を見て歩き始めた。
直人は、六年の間、純に連絡を取らなかった事のけじめについて考えていた。それは直人自身の問題で、でも、きっと純も同じ事を考えているに違いない。
純の存在は直人にとっては欠かせないものだとこの短い旅で気づかされた。きっと、純だってそう思ってくれている。
「あ、…純?
純か? 俺だよ、直人だよ…」
四つ目の家に入る門の前に、純が立っていた。