【シナリオ】クライムポリス

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〇警察署 廊下(朝)

並んで歩くエマとセンタ

センタ「警察署で俺は何をするんですか?」

エマ「捜査協力者であることを証明する許可証を作成するの」

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階段から降りてくるフラー・ガブリエル(24)

フラー「おはよう、エマ・・・そちらの人は?」
センタを見るフラー

エマ「私のパートナーよ」

フラーを見つめるセンタ
センタ(ルーナさんと同じで美人だな)

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ふわりとした笑顔になるフラー
フラー「アタシはフラー・ガブリエル」
フラー「フラーと呼んでください」

センタ「・・・センタ・ワトソンです」

フラー「センタ・ワトソン・・・ご両親がファンなんですか?」

センタ「え・・・ファン?」

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フラー「・・・伝説の刑事、センタ・ワトソンのファンなんですか?」

センタ「ああ・・・そうです」

センタ(そういえば、たしか100年前に活躍した刑事の名前とかルーナさんが言ってたな)

不思議そうな顔でセンタのことを見つめるフラー
フラー「・・・」

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フラー「じゃあ、ご両親は―――」

エマ「悪いけど、私たち急いでるの」
フラーの言葉を遮るエマ

エマ「行くわよ、センタ」
センタ「はい」

フラー、去っていくセンタの後ろ姿を見つめる

妖艶な表情を浮かべるフラー
フラー「へえ・・・」

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〇警察署 刑事室(朝)

ドアを開けて中に入るエマとセンタ

エマの姿に気づく刑事部長

部長「おはよう、ルーナ。隣の彼は?」

エマ「今日から私のパートナーになるセンタ・ワトソンです」

部長「そうか、偉大な名前だな」

センタ「・・・」

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部長「誰かをパートナーにするのは初めてだろう? 申請の仕方はわかるかね?」

エマ「はい」

部長「じゃあ、ミーティングを始めるぞ」

エマ「センタ、そこに座ってて」
ミーティングルームに入っていくエマ

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センタ、ガラス張りのミーティングルームで会議を始めた刑事たちを見ている

刑事室の中にフラーが入ってくる

目が合うセンタとフラー

フラー「センタさんはエマの恋人ですか?」

センタ「いや、違います」

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フラー、エマの座っている席の死角となる場所に立つ

フラー「今、誰かと付き合ってたりします?」

〇警察署 刑事室のミーティングルーム(朝)

話し合っている刑事たち

ミーティング室の外で誰かと話しているセンタの姿がエマの目に入る

エマ「?」

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〇警察署 刑事室(朝)

センタとフラーが話している
ミーティングルームの外にはセンタとフラーの2人しかいない

フラー「やっぱりセンタさんは思ったとおりの人です」
ふわりと笑むフラー

フラー「少しお話しただけで、直感が確信に変わりました」

センタ「?」

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フラー「アタシ、センタさんに恋しちゃったみたいです」

センタ「え?」
驚いた表情になるセンタ

見つめ合うセンタとフラーの姿

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〇警察署 ミーティングルーム(朝)

照れながら誰かと話しているセンタの姿を見ているエマ
エマからはフラーの姿が見えない

エマ(まさか・・・)

刑事部長「ルーナくん、聞いてるのかね?」

エマ「! はい、聞いてます」

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〇車内(朝)

エマ、運転席に座る

助手席に座るセンタ

エマ「さっきフラーと何を話してたの?」

センタ「え・・・男の事務員さんと話してましたよ」

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エマ「見えてたわよ、フラーと話してるの」

センタ「・・・見えてたんですか」

エマ(!・・・やっぱりフラーと話してたのね)

エマ「何を話したの?」

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センタ「・・・天気とか、ただの雑談です」

疑いの目を向けるエマ
エマ「フラーは魔性の女よ」

色っぽいフラーの姿のイメージ
エマ「気に入った男を虜にして、遊ぶのに飽きたら捨てる」

センタ「そういうガセネタが一部で噂されてるみたいですね」

エマ「あの女がガセだって言ったの? 事実よ」

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エマ(早くセンタを私の虜にしないと・・・)
焦りの表情を浮かべるエマ

エマ「なんかちょっと暑いわね」
服を調節して胸元が見えるようにするエマ

センタ「・・・そうですか?」
思わずエマの胸元を見てしまうセンタ

エマ「ねえ、センタ・・・」
センタに体を寄せていくエマ

センタ「!」

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センタの顔に自分の顔を近づけていくエマ

エマの携帯が鳴り、エマの動きが止まる

エマ(なによ、間が悪いわね!)
センタから離れて携帯の画面を確認するエマ

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メールを見たエマの顔が曇る

エマ(監視任務!? 冗談じゃないわ!)

車を発進させるエマ

センタ「?」

何か思いついたような表情になるエマ
エマ「!」

エマ(そうよ、センタの能力を使えば・・・)

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〇マンション エマの部屋(昼)

エマ、パソコンを操作してセンタに画面を見せる

エマ「爆弾を入手しようとしている要注意人物の監視任務をすることになったわ」

画面に映る美しい女性

センタ「この人が爆弾を・・・」

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エマ「名前はオリビア・グレース」
エマ「テロを企ててるみたい」

センタ「どういう罪になるんですか?」

エマ「許可のない爆弾の所持は執行猶予なしの懲役10年」

センタ「監視となると、張り込みとかですか」

エマ「ええ」

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オリビアの自宅の場所が書かれた地図をセンタに渡すエマ
エマ「爆弾を入手するまで監視する必要があるから、長いと半年は張り込むことになる」

センタ「根気の勝負ってことですね」

エマ、にこっと笑みを浮かべる

エマ「だけど、センタが協力してくれたら1日で終わる!」

センタ「え?」

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エマ「工業用に使う爆弾を工場からセンタが盗み出して、こいつの家に置くの」

センタ「・・・」

エマ「そうすれば、その爆弾を証拠にして投獄できる」

センタ「ちょっと待ってください」

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エマ「持ち運びが可能な小型の爆弾だから心配無用よ」

センタ「そういうことじゃないです!」

エマ「え、どういうこと?」

センタ「爆弾を所持していない段階で証拠を捏造するんですよね?」

エマ「そうよ」

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センタ「まだ罪を犯してない人を投獄するってことじゃないですか!」

エマ「この女は扇動罪の前科があるわ」

センタ「でも、罪を償って釈放されたんですよね?」

エマ「要注意人物に指定されてるほどの女だし、いずれは必ず実行するわよ」

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センタ「要注意人物って?」

エマ「危険な考えをもっていて、爆弾を手に入れることのできる人間とかが該当するわ」

センタ「心変わりするかもしれないじゃないですか」
センタ「爆弾を入手してから捕まえればいい」

エマ(そうすると、完全な世界の実現に向けての始動が最悪半年も遅れることになる)

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エマ(不完全な世界が長く続けば続くほど、それによる犠牲者が増える)
エマ(なんとかしてセンタを説得しないと・・・)

エマ「・・・爆弾の入手方法が判明してないから証拠を押さえられないかもしれない」

センタ「俺の能力を使って監視すれば大丈夫ですよ!」

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エマ「大丈夫じゃないわ」

センタ「!?」

エマ「こいつから一秒たりとも離れずに見張れないでしょ?」

センタ「え・・・」

エマ「もしセンタが眠ってる時やトイレに行ってる時に爆弾を入手されたら?」

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センタ「ルーナさんと交代で見張れば・・・」

エマ「家の玄関のドアポストに爆弾を届けるように手配していたら?」

センタ「・・・家の中やドアポストが映る位置に隠しカメラを取り付ければいい」

エマ「それがバレて姿を隠され、行方がわからなくなったら?」

センタ「・・・」

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エマ「それでテロが起きて死人が出たら、センタが殺したも同然よ?」

センタ「なんでですか?」

エマ「テロを阻止できる力があるのに、阻止しないからよ」

センタ「でもっ・・・罪のない人を牢に入れるなんて、俺は嫌です!」

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エマ「たとえば、センタが人の心を読む能力も持っていたとして・・・」

センタ「?」

エマ「車で歩行者を無差別に轢き殺そうと決心してる若者を見つけたとする」

センタ「・・・」

エマ「その時、若者の心変わりする可能性を考えて、殺人を犯すまで監視するの?」

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エマ「それで轢き殺された人や遺族に何て詫びるの?」
エマ「確実に惨事を防ぐ方法があるのに、それを実行しないのは悪よ」

センタ「っ・・・とにかく、俺は張り込みしてきます!」
玄関に向かって歩いていくセンタ

フラーの姿がエマの脳裏をよぎる
エマ(センタを外で一人にするわけにはいかない!)

「待って、私が車で連れて行く」
センタについていくエマ

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〇エマのマンションの駐車場(昼)

車に向かって歩くエマとセンタ

センタの歩く後ろ姿を見つめるエマ
エマ(まずいわね、予想以上に私と考えが合わない)

エマ(完全な世界をつくるための計画にセンタは反対するかもしれないわ)

エマ(この計画にはセンタの協力が必要不可欠)

エマ(なんとかしないと・・・)
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〇車内(昼)

運転しているエマと助手席に座っているセンタ

エマ「ここがオリビアの自宅付近ね」

停車するエマ

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エマ「今から私は別行動するから、私と合流するまで透明化して行動するのよ」

センタ「なぜですか?」

エマ「センタは出生登録がされてない」

エマ「だから外で私が隣にいない時に警察に職務質問でもされたらアウトよ」

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センタ「アウトって?」

エマ「出生登録されてない人間は犯罪者として扱われるの」

センタ「そうなんですか」

エマ(嘘だけどね)

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エマ「何があっても絶対に透明化を解除しちゃダメよ」

センタ「わかりました」

周囲を見回して人がいないことを確認するエマ

エマ「じゃあ、透明化したら車を降りて」

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〇オリビアのアパートの前(昼)

透明化したセンタ、アパートを見上げている

センタ(ここか・・・)

玄関の扉を開けて部屋から出てくるオリビア・グレース(25)

センタ(あの人だ!)

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〇道(昼)

オリビアを尾行している透明化したセンタ

センタ(・・・悪そうな人には見えない)

手鏡を使用して尾行されていないか背後を確認するオリビア

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〇倉庫(夜)

若者たちの前に立つオリビア

透明化したセンタ、オリビアの近くに立っている

センタ(ここがアジトか・・・)

幹部A「新規のメンバーに我らのリーダーであるオリビアさんを紹介する」

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幹部B「オリビアさんは権力者の令嬢だ」

幹部C「しかし政府を打倒しようとしている!」

幹部A「これは機密情報だが、実は権力者によって最下層の人たちが奴隷として扱われてる」

センタ「!」

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幹部B「また、政府が必要以上に利益を搾取するから我々のような貧困層が生まれている!」

幹部C「それを知ったオリビアさんは政府に異議を唱え、追放された」

センタ「・・・」

幹部A「これから、いかに世界が腐敗しているのかを説明しよう!」

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幹部の話を聞いているセンタの姿

幹部B「オリビアさんは権力者側にいたからこそ、これらの事実を知ることができた!」

幹部A「だが、このことを世間に広めようとすれば偽情報の流布という罪で拘束される」

幹部C「その罪状で我々の仲間は牢獄行きになった」

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幹部A「握りつぶしたい不都合な真実だから平和的な抗議活動を排除しようとするんだ!」

幹部B「このような情報統制をする政府のことなど信じられるか?」

若者たち「信じる奴は馬鹿だけだ!」

幹部A「しかし多くの人々は我々に関わると牢獄行きになると思い、耳を貸さない」

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幹部C「だから我々は爆弾を使って政府に要求をのませる!」

センタ「!」

オリビア「みなさん、もう少しで爆弾は手に入ります」
オリビア「ですが、一つだけ約束してほしい」

幹部たちより前に進んで立つオリビア

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オリビア「それは、爆弾による犠牲者を絶対に一人も出さないことです」

センタ「・・・」

オリビア「私たちは一滴も血を流させることなく、世界を変えていくのです!」

歓声をあげる若者たち

オリビアを見つめるセンタ

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〇道(夜)

自宅に向かって歩くオリビア

オリビアのあとをついていく透明化したセンタ

センタ(この人は、誰も犠牲にすることなくテロで世界を変えようとしている)

センタ(俺は、どうすればいい・・・)

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前方から歩いてくるエマの姿

センタ(ルーナさんだ)

エマ「オリビア・グレースさんですね?」

立ち止まるオリビア

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オリビア「・・・あなたは?」

向き合って立つエマとオリビア

エマ、警察手帳を右手に持って前に掲げる

エマ「警察です」

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オリビア「・・・警察の方が何のご用ですか?」

エマ、爆弾の入った袋を左手に持って前に掲げる

エマ「あなたを爆弾不法所持の罪で逮捕します」

オリビア「!」

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パトカーがサイレンを鳴らしてオリビアの側に停車する

パトカーから警察官2名が出てくる

オリビア「・・・どういうことですか? 私は爆弾なんて所持していません」

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エマ「家宅捜索であなたの自宅から発見されました」

オリビア「!?」

エマ「言い逃れできませんよ」

オリビア「・・・あなたの仕業ね?」

エマ「はい?」

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オリビア「あなた、警察官としての誇りはないの!?」

エマ「何を言っているのか意味がわかりません」
連行するように警察官に合図するエマ

パトカーに乗せられるオリビア

走り去っていくパトカーを見つめるセンタ

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周囲に人がいないか確認するエマ

エマ「センタ、いるなら透明化を解除していいわよ」

透明化を解除するセンタ

センタ「・・・どうやって爆弾を手に入れたんですか?」

エマ「爆弾は裏社会の人間を使って手に入れた」

〇回想に突入 エマが夕方の出来事を思い出す

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〇回想VIPルームの個室

席に座っているエマ

黒い服を着た老人が賢く屈強そうな付き人を二人連れて室内に入ってくる

エマ「私はこういうものよ」
警察手帳を見せるエマ

老人「用件は何でしょうか?」
席に座ってエマと向き合う老人

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エマ「あなたは尻尾を掴ませないことで有名だから頼みたいことがあるの」

文章が打ち込まれた携帯画面を見せるエマ

エマ「これをこの方法で手に入れたいんだけど」

老人、画面の文章を見る

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エマ「この方法ならあなたも私も業者も安心安全でしょ?」

老人「・・・」

エマ「見返りはあなたが望む情報を私が独自に調べて一度だけ提供する」

老人「失礼ですが、あなたの階級で得られる程度の情報では・・・」

エマ「たとえ世界最高レベルの機密情報でも手に入れることができるわ」

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老人「・・・」

エマ「情報に関しては特別な入手ルートを私はもってるの」

老人、じっとエマの顔を観察する

エマ(センタがいればどんな情報でも入手可能だしね)

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エマ、連絡先だけが印刷された紙をテーブルに置く

エマ「ここに連絡してほしい」

老人「・・・嘘をついてるようには見えませんね。面白い」
エマが置いた紙を手に取る老人

エマ「じゃあ、3時間後に」
VIPルームの個室から出ていくエマ

〇回想終了

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〇道(夜)

向き合っているエマとセンタ

エマ「そんな連中なんかと取引なんてしたくなかったんだけどね」
苦々しい表情を浮かべるエマ

センタ「決定的な証拠になるんですか?」

エマ「いいえ」

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エマ「でも部屋に防犯カメラはなかったし、あの女には扇動罪の前科がある」

センタ「・・・」

エマ「それに要注意人物に指定されてるから、裁判では不利。間違いなく有罪判決ね」

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センタ「あの人は腐敗した政府を変えるためにテロを起こすと言ってました」
センタ「それに、爆弾による犠牲者を出さないよう仲間に演説してたんです」

エマ「それが本当のことだって証明できるの?」

センタ「・・・」

エマ「テロを正当化するために嘘を言うのは、扇動する際によく使われる手よ」

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センタ「あの人はっ・・・」

エマ「まあ、この世界の政府が腐ってることは事実よ」

センタ「!」

エマ「でもね、爆弾で犠牲者が絶対に出ないだなんて誰にもわからない」

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エマ「爆弾を使うこと自体が間違っているのよ」

センタ「・・・」

エマ「私は惨事を未然に防ぐためなら、自分の手を汚すことも厭わない」

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エマ「帰るわよ」
センタに背を向けて歩いていくエマ

エマ、悪そうな笑みを浮かべて立ち去っていく

エマ(不完全な世界について知る、いいきっかけになったみたいね)

センタ、何とも言えないような表情を浮かべて、エマについていく
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〇マンション エマの部屋(朝)

ソファーの上で眠っているセンタ

ピンポーンとチャイムが鳴る

目が覚めてソファーから起き上がるセンタ

時計を見て午前10時であることがわかる

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センタ「また寝すぎた」

センタ、周囲を見回すが人の気配はない

センタ(ルーナさんは家にいないのか?)

またチャイムが鳴る

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センタ、玄関に向かって歩いていく

玄関のドアの覗き穴から外を見るセンタ
センタ「!」

玄関の鍵を回して、扉を開くセンタ

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正面にフラーが立っている

フラー「おはようございます、センタさん」

センタ「おはようございます、フラーさん」

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フラー「用事で近くに来たから寄っちゃいました」

センタ「そうですか」

ふわりと笑むフラーを見て、頬を赤くして顔をそらすセンタ

センタ(なんか照れるな・・・)

〇回想に突入 センタが先日の出来事を思い出す

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〇回想 警察署 刑事室

センタとフラーが話している姿

フラー「アタシ、センタさんに恋しちゃったみたいです」

センタ「え?」
驚いた顔になるセンタ

フラー「急にごめんなさい。こんな気持ちになるの、アタシ初めてで・・・」

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センタ(・・・転生後の俺の姿、カッコいいもんな。本当の俺の姿じゃないけど)

苦笑いを浮かべるセンタ
センタ「顔が好みのタイプでしたか?」

フラー「・・・アタシが惹かれたのはセンタさんの心です」

センタ「心?」

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フラー「センタさんがどういう心を持っているのかはわかりません」

センタ(俺もわからないけど・・・)

フラー「でも、アタシが惹かれるような心を持っていることは確かです」

センタ「・・・どうしてそんなことがわかるんですか?」

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フラー「アタシは日頃から多くの人と接しています」

センタ「?」

フラー「だから相手の話し方や返答の言葉、ちょっとした振る舞いとか・・・」

ふわりと笑むフラー
フラー「そういったことからアタシにとって魅力的な心を持っているかどうかわかります」

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少し照れるセンタ
センタ「・・・そうなんですか」

センタ(心って、内面のことだよな)

フラー「まだアタシの片思いだから、これからアタシのことを知っていってほしいです」

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センタ「・・・はい」

ふふっと笑むフラー

フラー「よかった」

いい雰囲気で見つめ合うセンタとフラー

〇回想終了

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〇マンション エマの部屋(朝)

フラーを見るセンタ

センタ(フラーさんは俺のことが好きなんだよな)

フラー「今、お話しても大丈夫ですか?」

センタ「全然大丈夫ですよ」

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〇警察署 廊下(朝)

焦った表情で走っているエマの姿

〇警察署 駐車場(朝)

急いで車に乗り込んで、車を急発進させるエマ

〇車内(朝)

車内に設置されているモニターを見ながら怒った表情になるエマ

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〇マンション エマの部屋(朝)

玄関のドアを開けた状態で楽しそうに話しているセンタとフラー

フラー「12時間も寝たんですか!?」

センタ「でも、まだ眠気が凄くて・・・」

フラー「・・・センタさん、これに息を吹きかけてください」
小型の検出器を取り出すフラー

センタ「?」

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センタ、検出器に息を吹きかける

ピピっと鳴った検出器を操作するフラー

フラー「睡眠薬を飲んでますね」

センタ「いや、飲んでませんよ?」

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フラー「いいえ、強力な睡眠薬を飲んだという結果が出てます」

センタ「え・・・」
意味がわからないという顔になるセンタ

フラー「エマが飲み物に睡眠薬を混ぜたんでしょう」

センタ「!?」
驚いた表情になるセンタ

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センタ「エマが睡眠薬を?」

フラー「たぶん朝のミーティングが終わるまで眠らせたかったんですね」

センタ「どうしてですか?」

階段を勢いよく誰かが駆け上がってくるような音が聞こえる

センタ・フラー「!」

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エマ、息を荒げて自分の部屋の前までやってくる

フラー「おはよう、エマ」
にっこりと笑むフラー

怒りの表情を浮かべているエマ
エマ「フラー、私の家に何の用!?」

フラー「エマに差し入れしようと思って」
弁当が入った袋を差し出すフラー

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エマ「結構よ、もう二度と私の家に来ないで!」

フラー「わかった」

フラー「またね、センタさん」

センタ「はい・・・」

階段を降りていくフラー

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エマ、玄関のドアを閉めて部屋の奥へと歩いていく

センタ、エマについていく

センタ「ルーナさん、俺の飲み物に睡眠薬を入れましたか?」

エマ「え、何のこと?」

センタ「とぼけないでください。フラーさんから聞きました」

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エマ「ああ、そっか」

センタ「なんでそんなこと・・・」

エマ「よく眠れるかなと思って」
笑顔をつくるエマ

呆然とした表情になるセンタ
センタ「・・・意味がわかりません」

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〇道(朝)

電話しながら歩いているフラー

フラー「じゃあ、ルーナ刑事はミーティングの途中で急に体調を崩して早退したんですね」
路上で眠っているホームレスの男性を見るフラー

フラー「わかりました。急ぎの用件ではないので、会った時に本人に直接伝えます」
ホームレスの側に弁当の入った袋を置くフラー

通話を終えて歩いていくフラー

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〇マンション エマの部屋(朝)

話しているエマとセンタ

エマ「朝はセンタのやることが特にないし、ぐっすり眠ってほしくて」

センタ「これからは絶対にやめてください!」

エマ「わかったわ。もうしない」

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エマ(朝にセンタが家で待機する理由を何か考えないと・・・)

フラーの姿を思い浮かべるエマ
エマ(それにしても、あの女・・・家にまで来るなんて)
エマ(センタを本気で狙ってるわね)

エマ(センタを他の女に奪われでもしたら、完全な世界の実現が不可能になる!)

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エマ(あの女が奪い合いの相手となると・・・)

エマ(やばい・・・かなり危機的な状況だわ)

センタを見るエマ
エマ(今日の夜にでも、悩殺するべきね!)

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エマ「!」
テレビが視界に入る

妊婦連続殺害事件のニュースがテレビに映っている

エマ「その事件、私たちも担当することになったわ」

妊婦連続殺害事件のニュースに目を向けるセンタ

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エマ「人ごみの中で妊婦に毒薬を投与して殺害する事件よ」

注射器のイメージ
エマ「犯人は注射器を刺して毒を注入する。その毒が体内に入れば1日もたない」

エマ「これは報道されてないけど、被害者の体に刺さったままだった注射器に紙がついてた」

センタ「紙?」

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エマ「犯人の犯行動機などを文章にして印刷された紙よ」
紙のイメージ

エマ「地獄のようなこの世界に命を生み出そうとする愚かな者たちへ罰を与えるって内容」

センタ「だから妊婦を狙うのか」

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エマ「あと、即死させる殺し方にしないのは、罰として絶望する時間を与えるためだってね」

センタ「犯人として怪しい人物は?」

エマ「まだ浮上してない」
エマ「防犯カメラが設置されてない場所での犯行だから特定は難しい」

<<page30>>

エマ「行くわよ、センタ」
玄関に向かって歩いていくエマ

センタ「どこにですか?」
エマについていくセンタ

エマ「犯行に使用された毒を解析してる研究所」

エマ「今日には解析結果が出るみたいだからね」

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エマ「その毒が判明すれば、入手場所や犯人を絞れるかもしれない」

センタ「電話して確認すれば、行く必要がないんじゃ?」

エマ「電話は盗聴などの可能性があるから非公開の情報を教えてくれないわ」

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〇エマのマンションの駐車場(昼)

車に向かって歩くエマとセンタ
センタ「俺が行く必要あるんですか?」

エマ「センタの能力が必要になる場合もあるかもしれないわ」

エマ(・・・センタを一人にするのは色んな意味で危険だし)

ナレーション『この事件は最悪の結末を迎えることになる』
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〇車内(昼)

設置されている車のテレビを見るエマとセンタ

テレビに映るアナウンサーと被害者たち
ベッドで横になっている女性と隣に座る男性、涙を流している

アナウンサー「お二人は昨日の夜、被害に遭われました! 犯人に呼びかけます!」

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男性「お願いします! 私たちは何でもします! ですから、どうか解毒剤を!」

女性「せめて、お腹の中の赤ちゃんだけは助けたいんです! お願いします!」

悲痛な表情の被害者たち

エマ「許せないっ!」

センタ「許せませんね」

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〇研究所 室内(昼)

研究員と話しているエマとセンタ

研究員「先ほど、解析の結果が出たところです」

エマ「どうだったんですか?」

研究員「まったく新しいタイプの毒で、生成方法も不明です」
未知の毒のイメージ

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研究員「なので、すぐに解毒剤をつくることも困難です」

センタ「そんな・・・」

エマ「人工的につくられた毒なんですか?」

研究員「はい。生成方法が解析できない毒をつくるのは非常に難しいことなんですがね」

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エマ「そのレベルの毒を一個人で生成できる人物に心当たりはありますか?」

研究員「え・・・」

エマ「解毒剤をつくれないか頼みに行くので」

研究員「ゴリバー・マトリックさんなら個人でもつくれると思います」
研究員「毒に関しては天才的な研究者なので」

エマ「そうですか」

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〇車内(昼)

運転席にエマが座り、助手席にセンタが座っている

センタ「これから、どこに行くんですか?」

エマ「警察署よ。警察のデータからゴリバーの住所と勤務地を調べる」

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〇警察署 刑事室 (昼)

パソコンでゴリバーのデータを見ているエマとセンタ

同僚の刑事たちが話している
刑事A「現行犯で逮捕するのが難しくなるだろう」

刑事B「事件の影響で昨日から妊婦が人ごみの中に行くのを控えるようになったからな」

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刑事C「証拠もない。犯人を特定できたとしても毒を処分されてれば・・・」

刑事B「罪に問うのは難しいだろうな」

諜報員が急いで室内に入ってくる

諜報員「報告です! さきほど、妊婦が誘拐される事件が起きました!」

エマ・センタ「!?」

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部長「何だと!?」

諜報員「誘拐された妊婦の夫に対して、誘拐犯と思われる者から映像が送られています」

部長「すぐにその映像をスクリーンに映してくれ!」

画面に映像が映し出される

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拘束されて口をガムテープで塞がれたシリア・ライアン(25)が映る
『タイムリミットは18時』というテロップが流れている

刑事A「18時になったら殺すということか」

部長「発信元は割り出せないのか!?」

諜報員「いくつもサーバーを経由していて、とても18時までには特定できません!」

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刑事C「おそらく発信元も偽造されていて、犯人を追跡できない可能性が高い」

刑事B「妊婦連続殺害事件の犯人と同一犯だな」

刑事A「ああ、報道されていない犯行声明と同じ文が映像にある」

『地獄のような世界に命を生み出す愚者たちに罰を!』という文が動画に映っている

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刑事B「解毒剤を渡す気はないらしい。中継で訴えていた被害者たちには絶望的な報せだ」

映像の中で泣いているシリア

エマ「クズがっ!」

センタ「ちくしょうっ」

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〇車内(昼)

車に乗り込むエマとセンタ

センタ「これからどこに?」

エマ「ゴリバーがいる施設よ」

センタ「解毒剤の依頼ですか」

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エマ「今回の一連の事件は、おそらく単独犯によるものよ」

センタ「え?」

エマ「高度な技術を扱う研究施設でつくられた毒なら即座に毒の成分などが登録されるわ」
エマ「今回は未知の毒だから、研究施設でつくられた毒ではないということ」

テレビをつけるエマ

<<page15>>

エマ「それに妊婦のみを狙う動機・・・組織的な犯行とも思えない」
エマ「個人で未知の毒をつくれる者が怪しいわ」

センタ「・・・」

エマ「ゴリバーが犯人である可能性は高い」

センタ「でも、未知の毒をつくれる頭脳をもってるから犯人だなんて・・・」

<<page16>>

エマ「ええ、だから犯人であることを確かめる必要がある」

チラッとセンタを見るエマ

エマ「そのためにセンタにはやってもらいたいことがあるの」

センタ「・・・」

<<page17>>

エマ「誘拐された妊婦に変身してゴリバーの視界に入って」
妊婦の姿に変身するセンタのイメージ

センタ「・・・」

エマ「それで、あとは裏道に入る」

センタ「ゴリバーが裏道までついてきたら・・・」

<<page18>>

エマ「犯人である可能性は濃厚よ。まだ妊婦誘拐事件が報道されてないからね」

センタ「なるほど」

エマ「毒をつくった張本人なら解毒剤を持っているかもしれない」

センタ「!」

<<page19>>

エマ「ゴリバーが犯人なら、毒薬を投与された妊婦や誘拐された妊婦を救える!」

センタ「急ぎましょう!」

毒薬を投与された被害者が死亡したというニュースがテレビに流れる

エマ・センタ「!」

<<page20>>

アナウンサー「中継での被害者たちの呼びかけに犯人は応じず、残念な結果となりました」

センタ「くそっ!」

ハンドルを拳で強く叩くエマ

エマ「絶対に許さないっ!」
怒りの表情を浮かべるエマ

<<page21>>

〇研究施設近くの道(夕方)

歩いているゴリバー・マトリック(36)

シリアの姿に変身したセンタ、前方から歩いてきてゴリバーと目を合わす

ゴリバー「!?」
驚きの表情を浮かべるゴリバー

慌てた様子を演じて逃げるシリアの姿に変身しているセンタ

ゴリバー「っ・・・」
センタのあとを走って追うゴリバー

<<page22>>

〇裏道(夕方)

ゴリバー、センタを追って行き止まりにたどり着く

変身を解除したセンタ、行き止まりの壁を背に立っている

センタの姿を見るゴリバー
ゴリバー「!?」

エマ「ゴリバー・マトリックね?」

<<page23>>

ゴリバー、振り返る

エマを見るゴリバー
ゴリバー「・・・あんたは?」

エマ「警察よ」

エマ、拳銃を取り出して銃口をゴリバーに向ける

ゴリバー「!!」

<<page24>>

エマ「誘拐した妊婦を監禁している場所を教えなさい」

ゴリバー「どういうことだ!? 僕は誘拐なんてしてない!」

エマ「じゃあ、なんで誘拐された女性に似た人のあとをつけてきたのかしら?」

<<page25>>

ゴリバー「元カノに似てたから、つい気になって追ってきただけだ」

行き止まりの壁まで後退するゴリバー

センタはエマとゴリバーの斜め横の位置に移動する

<<page26>>

エマ、発砲する

ゴリバー「っ!?」

ゴリバーの頭部の斜め後ろの壁に弾痕ができている

エマ「次に嘘をつけば当てる」
怒りに満ちた表情で睨むエマ

<<page27>>

ゴリバー「・・・あんた、正気か?」

センタ「ルーナさんっ!」

エマ「時間がないのよ! あとタイムリミットまで1時間もない!」

センタ「・・・」

<<page28>>

ゴリバー「だいたい、毒物の権威である僕がそんな事件を起こすと思うのか!?」

エマ「毒薬や解毒剤の生成で世界に貢献してるおまえを世間は疑わないかもね」

ゴリバー「あたりまえだろ! あんたは無実の人間に銃を向けてるんだぞ!?」

エマ「誘拐した妊婦がいる場所はどこ?」

<<page29>>

ゴリバー「・・・おい、あんた・・・話を聞いてんのか?」

エマ「質問に答えなさい」

ゴリバー「だから、僕は犯人じゃない!」

<<page30>>

発砲するエマ

ゴリバー「ぎゃああっ」

弾丸が貫通した左腕をおさえるゴリバー

センタ「ルーナさんっ!」
焦った表情でエマに駆け寄ろうとするセンタ

<<page31>>

エマ、センタに銃口を向ける

センタ「!?」

立ち止まるセンタ

エマ「口を閉じて、じっとしてて」

ごくりとつばを飲み込むセンタ

<<page32>>

エマ、銃口をゴリバーに向ける

ゴリバー、左腕をおさえて呻いている

エマ「ハチの巣になりたくなければ監禁場所を言いなさい」
<<page1>>

〇裏道(夕方)

ゴリバーに拳銃を向けているエマ

ゴリバー「あんた・・・今なにしたかわかってんのか!?」

激怒した表情でエマを睨むゴリバー
ゴリバー「いくら警察官でも無抵抗の人間に銃傷を負わせれば罪に問われるぞ!」

<<page2>>

エマ「別に構わないわ。人の命がかかってる一刻を争う事態だもの」

ゴリバー「僕が犯人だという証拠でもあるのか!?」

エマ「どうせ使用した毒物は犯行現場で生成して、どこにも証拠を残してないんでしょ?」

ゴリバー「!」

<<page3>>

エマ「証拠がないなら殺人罪には問えない」
エマ「誘拐だけだと懲役2年」

ゴリバー「・・・」

エマ「ここで失血死するのと懲役2年、どっちがいいんだろ?」

ゴリバー「どっちも嫌だね」

<<page4>>

エマ「監禁した妊婦の場所はどこ?」

ゴリバー「冷静になれ。僕が犯人じゃなかったら、あんたのしていることは・・・」

エマ「次に私の質問を無視すれば新しい風穴ができるわよ」
ゴリバーの言葉を遮り脅すエマ

ゴリバー「・・・」

<<page5>>

エマ「もちろん、嘘をついても撃つ」

ゴリバー、恐怖の表情を浮かべる

エマ「妊婦はどこ?」

ゴリバー「・・・」

エマ「次、右脚いくわよー」
拳銃の引き金を引こうとするエマ

<<page6>>

ゴリバー「わ、わかった! 言うよ!」

センタ「!」

エマ「さっさと言え」

ゴリバー「ただし、場所を教えるには条件がある」

エマ「撃たれたいの?」
再び拳銃の引き金を引こうとするエマ

<<page7>>

ゴリバー「僕が失血死でもしたら誘拐された妊婦も死ぬことになるぞ!」

エマ「・・・」

ゴリバー「条件は僕を見逃すことだ 懲役2年も嫌なんでね」

エマ「見逃す?」

<<page8>>

ゴリバー「ここから逃がしてくれれば、あとからメールで監禁場所を教える」

センタ「嘘つくかもしれないだろ」

センタを無視してエマを見据えるゴリバー
ゴリバー「約束は守る。あんたみたいなイカれた警察官をこれ以上怒らせたくないからな」

エマ「・・・」

<<page9>>

ゴリバー「僕が誘拐罪で捕まれば、あんたも拳銃で傷を負わせたことから罪に問われるぞ」

銃傷をエマに見せるゴリバー

ゴリバー「お互いにとっても良い条件のはずだ」
ゴリバー「なにより誘拐された妊婦が助かる」

<<page10>>

エマ、ゴリバーの右脚を拳銃で撃ち抜く

ゴリバー「うぎゃあああああ!」
右脚をおさえて地面に崩れ落ちるゴリバー

センタ「っ・・・」

エマ「監禁場所を言うまで撃ち続けるわよ」

恐怖の表情を浮かべるゴリバー

<<page11>>

エマ「妊婦はどこ?」

観念した表情になるゴリバー

ゴリバー「・・・研究施設の地下にある僕の部屋に閉じ込めてある」

エマ、携帯電話をセンタに投げ渡す

<<page12>>

エマ「その携帯で施設に電話して妊婦の救出に向かわせて。ただし警察としか名乗らないで」

センタ「なんで、俺が?」

エマ「刑事である私の声を使うのは色々とまずいの」

センタ「え・・・わかった」

<<page13>>

電話で話しているセンタの姿

センタ「今、確認に向かうって」

エマ「OK。妊婦の安全が確認できたら、電話をすぐに切って」

ゴリバー「まだ女には何もしてないさ」

<<page14>>

電話を耳に当てて話しているセンタ
センタ「・・・わかりました」

電話を切るセンタ

センタ「妊婦の安全を確保したそうです」
センタ「まだ毒薬も投与されてないらしい」

ゴリバーを見るエマ

<<page15>>

エマ「映像に妊婦連続殺害事件の犯行声明と同じ文が映ってたから言い逃れできないわよ」

ゴリバー「刑事ならわかるだろ。そんなもの同一犯であるとする決定的証拠にはなりえない」

エマ「・・・」
苦い過去の記憶を思い出したような顔になるエマ

<<page16>>

ゴリバー「僕の考えた言葉がたまたま妊婦連続殺害事件の犯行声明と一致しただけだ」

ゴリバー「女を殺した瞬間に僕を捕まえてれば、死刑にできてたかもな」
にやりとした表情をエマに向けるゴリバー

激昂した表情になるエマ

<<page17>>

ゴリバー「さて、僕は妊婦連続殺害事件の模倣犯として女を誘拐した罪で捕まるとしますか」
だるそうに首を回すゴリバー

ゴリバー「まあ、僕は誘拐しただけで女に傷を負わせてない」
ゴリバー「それに僕の親は資産家だから執行猶予にまで減刑できると思うがな」

センタ「!」

<<page18>>

センタ(裁判長を買収する気か!)

嫌悪の表情を浮かべてゴリバーを見るセンタ

センタ「殺人に使用した毒が自宅か研究室から押収されれば、決定的な証拠になる!」

ゴリバー「僕は妊婦連続殺害犯ではないが、あの犯人は賢いと思うぞ」

センタ「?」

<<page19>>

ゴリバー「万が一逮捕されることも考えて、殺人の証拠となるものは隠しているはずだ」

センタ「!」

ゴリバー「誰にも見つからない場所にな・・・」
余裕の表情で笑うゴリバー

センタ(・・・殺人の決定的証拠を手に入れることは無理そうだな)

<<page20>>

エマを見るゴリバー

ゴリバー「誘拐犯だとしても、無抵抗の人間に発砲して傷を負わせたんだ」

ゴリバー「おまえは警察で何らかの処分を受けることになるだろうな」

ゴリバー「法廷でも訴えてやる。覚悟しとけよ!」

うつむいてるため表情が見えないエマの姿

<<page21>>

エマの頭の中で必死に助けを求めていた妊婦の姿が思い浮かぶ

エマ(この世界は本当に不完全だ)

エマ(善人の命を奪った悪人が死刑にならない)

エマ(お金や権力次第で罰を逃れることができる)

<<page22>>

ゴリバー「くそっ・・・痛いな! ちくしょう!」
苦悶の表情を浮かべるゴリバー

センタを見るゴリバー

ゴリバー「おい! ささっと僕を背負って病院に連れていけ!」

センタ「・・・」
仕方なくゴリバーに近寄ろうとするセンタ

<<page23>>

エマ「その必要はないわ」

センタ「?」
動きを止めるセンタ

エマ、ゴリバーに拳銃を向ける

エマ「だって、あんたはここで死ぬんだもの」

ゴリバー「!?」

<<page24>>

エマ、ゴリバーの左脚に向けて発砲する

センタ「!?」

ゴリバー「ぎゃあああっ!!」

地面に膝をつくゴリバー

<<page25>>

エマ、ゴリバーの体の様々な部位を撃ち抜いていく

絶叫するゴリバー

恐怖の表情を浮かべるセンタ
センタ「ああっ・・・!」

エマ「死ね、クズ野郎」

<<page26>>

エマ、ゴリバーの頭部を撃ち抜く

地面に倒れて絶命するゴリバー

消音銃をおろすエマ

<<page27>>

エマを呆然とした表情で見るセンタ

センタ「・・・なんで?」

エマ「こいつを死刑にできないから」

<<page28>>

エマ「決定的な証拠があれば100%死刑になってたわ」
エマ「だから私が死刑を執行しただけよ」

不快な表情を浮かべるエマ
エマ「裁判で負かせなかったことだけは残念ね」
エマ「死刑執行日まで怒りと絶望と恐怖を十分に味わわせられなかったもの」

<<page29>>

恐怖の表情を浮かべてエマを見つめるセンタ

センタの顔を見るエマ
エマ「!」

エマ、慌てた表情になって体を震わせ始める

銃を地面に落とすエマ

<<page30>>

エマ「・・・センタっ!」

センタに駆け寄って抱き着くエマ

センタ「!?」

<<page31>>

エマ「私、どうかしてたかも・・・」

センタ「!」

エマ「どうしよう・・・怖い」

センタ「・・・」

<<page32>>

センタ、震えているエマを強く抱きしめ返しながらも天を仰ぐ
<<page1>>

〇マンション エマの部屋(未明)

ベッドで眠っているエマとソファーで眠っているセンタの姿

センタ、目が覚めて飛び起きる

センタ「・・・」

<<page2>>

汗をかき息が荒くなっているセンタ

ナレーション『悪夢を見た』

エマの寝顔を見つめるセンタ

拳銃を地面に落としたエマが自分に抱き着いてくる姿がセンタの脳裏をよぎる

ナレーション『あのあと、俺たちは―――』

〇回想に突入 センタが前日の出来事を思い出す

<<page3>>

〇回想 裏道

震えているエマを強く抱きしめ返しながらも天を仰ぐセンタ

ナレーション『抱きしめ返すとエマの震えは止まった』

エマ「・・・」

ナレーション『そして、しばらく俺たちは抱き合っていた』

<<page4>>

エマ「・・・ありがとう、センタ」
エマ「もう大丈夫」

ナレーション『俺が腕を解くと、ゆっくりとエマは俺から離れた』

エマ「死体を処分する」

センタ「・・・」

<<page5>>

エマ「人間が一人すっぽりと入るサイズのゴミ箱を買ってきて」

ナレーション『自首しないのか? と聞けなかった』

センタ「・・・わかった」
裏道を出るために歩いていくセンタ

エマ「センタ」

センタ、振り返ってエマを見る

<<page6>>

エマ「・・・信じてるから」

センタ「・・・」

再び歩きだすセンタ

〇回想 研究施設近くの道

裏道から出てくるセンタ

センタ(・・・このまま俺が通報すれば、ルーナさんは捕まることになるだろう)
目を瞑るセンタ

<<page7>>

〇回想 裏道

ゴミ箱を持ってくるセンタの姿

エマ「センタ・・・」
ホッと安心した表情を浮かべるエマ

ゴリバーの死体をゴミ箱に入れるエマ

エマ「センタの透明化の力で死体を透明にすることはできるの?」

センタ「わかりません。生物を透明化することはできないけど、死体は・・・」

<<page8>>

エマ「この死体で試してみて。今後の参考になるから」

ナレーション『俺は触れている物に透明化や透過の性質をもたせることもできる』

嫌だという表情を浮かべながら、ゴリバーの死体に触れるセンタ

ゴリバーの死体が透明になる

エマ「死体にも透明化や透過を適用できるってことね」

センタ「・・・」

<<page9>>

エマ「ゴミ箱を持って透明化したら、私のあとをついてきて」

センタ「なんのためにゴミ箱を買ってこさせたんですか?」

エマ「死体を直接背負って運ぶのは嫌でしょ?」

センタ「!」

<<page10>>

エマ「それに駐車場へ運ぶ途中で死体の血が地面に落ちるから」

センタ、ゴリバーの死体が入ったゴミ箱ごと透明化する

エマ「そろそろ私と同じ推理をした刑事たちが付近を訪れていてもおかしくない」

センタ「・・・」

エマ「地面に落ちた血痕も命取りになる。だから気を抜かないで」

<<page11>>

〇回想 車内

車に乗るエマとセンタ

エマ「死体は海に沈めるわ」

センタ「・・・」

〇回想 崖

ゴリバーの死体に石をくくりつけて海に投げ落とすエマ

沈んでいく死体

<<page12>>

葛藤するような表情を浮かべているセンタ

エマ、センタを背後から抱きしめる

センタ「!」

エマ「ありがとう、センタ」

センタ「・・・」

<<page13>>

〇回想 廃墟

椅子に座るセンタ

パソコンを机に置くエマ

エマ「最後の仕上げに取りかかるわよ」

センタ「・・・」

ゴリバーの姿に変身するセンタ

<<page14>>

ナレーション『殺害された犯人の姿に変身した俺は、中継で犯行について全て話した』

エマ、ゴリバーの姿をしたセンタが話す自白映像をビデオで撮影し終える

センタ「この映像があれば毒物の証拠がなくても殺人罪が適用されたんじゃないですか?」

エマ「脅されて嘘を言わされたと主張されれば、決定的な証拠として扱われないわ」

<<page15>>

センタに次の台本を見せるエマ

センタ「・・・犯人は自殺したことにするんですね」

エマ「そうよ。これで事件は解決したと世間を安心させることができる」

ナレーション『こうして、犯人が自殺したという形で事件は終わった』

〇回想終了

<<page16>>

〇マンション エマの部屋(未明)

エマの寝顔を見つめているセンタ

センタ「・・・」

ナレーション『殺されても仕方がない程の罪を犯した犯人だったと自分に言い聞かせた』

センタ、ソファーで横になる

ナレーション『この事件が終わってからだ』

眠るために目を瞑るセンタ

ナレーション『俺とエマの関係が大きく変わっていくのは・・・』

<<page17>>

〇マンション エマの部屋(数日後の朝)

パジャマ姿で歯を磨いているエマ

ソファーに座って携帯電話を操作しているセンタ

エマ、センタを見つめる

ナレーション『私がセンタを男として意識し始めたのは間違いなくあの日だ』

<<page18>>

歯を磨き終わってリビングに行くエマ

ナレーション『私が初めて人を殺した日』

ソファーから立ち上がってエマに近づくセンタ
センタ「ルーナさん、この操作の仕方なんだけど」

エマ「エマでいいから」

センタ「え?」

<<page19>>

エマ「エマって呼んでほしい」

センタに熱視線をおくるエマ

ドキッと心臓が高鳴るセンタ

見つめ合うセンタとエマ

センタ「わかりました・・・」

<<page20>>

エマ「私に対して丁寧語も禁止」

センタ「・・・わかった・・・エマ」

にっこりと笑むエマ
エマ「うん」

<<page21>>

〇マンション エマの部屋(数日の後の朝)

ナレーション『それからは、私とセンタは以前よりもフレンドリーな関係になっていた』

エマ「特別休暇をもらったし、デートしよっか」

センタ「デ、デート!?」

エマ「息抜きも必要でしょ?」

<<page22>>

〇近所(昼)

並んで歩くエマとセンタ

エマ「あ! あそこのソフトクリーム、美味しいのよ」

センタ「へえ」

ナレーション『犯人を撃ち殺した時にセンタの顔を見て気づいた』

ソフトクリームを食べながら歩くエマとセンタ

ナレーション『センタが私に対して恐怖心を抱いていることに』

<<page23>>

センタに見せつけるように色っぽくソフトクリームを舐めるエマ

ナレーション『センタが私のもとから離れていきそうな気がして不安になった』

センタ、赤面して思わずエマをガン見する

ナレーション『だから、私は震えている演技をしてセンタに抱き着いた』

エマ、くすりと笑む

ナレーション『全然怖くはなかったけれど、怖がっているように嘘をついた』

<<page24>>

ナレーション『抱き着いた私をセンタは抱きしめ返してくれた』

エマ「なに考えてるの?」
からかうような表情のエマ

センタ「いや、別に何も・・・」
慌てて顔をそらすセンタ

ナレーション『予想していなかったセンタのアクションに私は驚いた』
ナレーション『でも、嬉しかった』

<<page25>>

ナレーション『そのあと、私は初めて自分の人生を他人に委ねる覚悟で人を信じた』

からかうつもりでセンタの手を握るエマ

からかわれたことに反撃する思いで、センタはエマの手を強く握り返す

不意をつかれたことで頬を赤らめるエマ

ナレーション『そして、センタは私を裏切らなかった。本当に嬉しかった』

ナレーション『私と一緒に進む覚悟をセンタは見せてくれた』

互いに頬を赤らめながら手を繋いでいるエマとセンタの姿

ナレーション『初めて誰かと恋人に近いような関係になった私は舞い上がっていた』

<<page26>>

〇レストラン(夕方)

席に座って料理を待っているエマとセンタ

エマ「センタ、私と付き合わない?」

センタ「え!?」
驚いた表情になるセンタ

エマ「私、最初はセンタのことを恋愛対象として全く意識してなかったんだけど」

<<page27>>

じっとセンタを見つめるエマ

エマ「今は違う」
エマ「センタと一緒にいると幸せを感じるし、ドキドキする」

センタ「・・・この転生した姿は俺の本当の姿じゃないけど?」

エマ「そうかしら? その姿はあなたの本当の姿でしょ」

センタ「え?」

<<page28>>

エマ「あなたは前世の記憶を持って、この世界にその姿で生まれたの」

センタ「・・・」

エマ「この世界では、その姿があなたの本当の姿よ」

納得したような表情になるセンタ

<<page29>>

エマ「私はセンタのことが好き!」

ドキッとするセンタ

<<page30>>

見つめ合うエマとセンタ

センタ「その・・・俺は他にも気になっている人がいて」

エマ「フラーでしょ?」

センタ「・・・」

エマ「わかった」

エマ「センタの気持ちが決まるまで待つから・・・」

<<page31>>

〇マンション エマの部屋(未明)

センタが眠っていることを確認するエマ

ナレーション『私にとって一番脅威に思える存在・・・』
部屋の中に仕掛けてある小型カメラをチェックするエマ

ナレーション『それがフラーだ』
謎めいた雰囲気を醸し出すフラーのイメージ

玄関のインターホンのボタンの細工を確認しているエマ

エマ、自分の部屋の玄関前の共用廊下周辺に仕掛けている小型カメラもチェックする

<<page32>>

〇警察署 廊下(朝)

リアルタイムで自分の部屋の中や外の映像を端末機器で見ながら歩いているエマ
映像にはセンタの姿が映っている

エマ(朝に刑事のミーティングがある日は、センタが数時間一人になる)

エマの行く先にフラーが歩いている
エマ(その時に絶対にセンタとフラーを2人きりにしてはいけない)

フラーを睨むエマ
エマ(この女はセンタを狙ってる。つまり私の敵だ!)
<<page1>>

〇警察署 廊下(朝)

エマとフラーが向き合って立っている

エマ「私のセンタに手を出さないで!」

フラー「えーっと?」
困ったような表情のフラー

ナレーション『私はこの女が嫌いだ』

〇回想に突入 エマが過去を思い出す

<<page2>>

〇回想 警察署 射撃訓練場

射撃大会で高得点をあげる新人の頃のエマ
ナレーション『私には才能がある』

エマを褒めている周囲の人たち

射撃で低得点だったフラー

フラー「アタシ、銃の扱いは苦手で・・・」
周囲の人たちがフラーを慰めている

表彰台で優勝トロフィーをもらって嬉しそうな顔のエマ
周囲の人たちと一緒にエマに向かって拍手する笑顔のフラー

<<page3>>

〇回想 高層マンションの敷地内

マンションが火事で燃えている

ベランダで泣いている子供の姿

警察官A「部屋のスプリンクラーが作動していないみたいだ!」

警察官B「このままじゃ消防が来るまで子供がもたないぞ!」

<<page4>>

警察官A「スプリンクラーに狙撃して衝撃を与えれば作動するんだが・・・」

警察官B「この場所からの角度だと、少しでも狙いがはずれれば子供に当たりかねない!」

警察官A「誰か狙撃の技術が高い者はいないのか!?」

エマ、銃口を部屋の中にあるスプリンクラーに向ける

<<page5>>

エマ(ダメだ・・・私でも確実に当てられるかわからない!)

フラー、エマの苦しそうな表情を見ている

エマ(もし子供に当たったりでもしたら・・・)
銃口で狙いを定めながらも震えているエマ

フラー、拳銃でスプリンクラーに狙いを定める

エマ「!?」
銃を構えたフラーを見るエマ

<<page6>>

フラー、狙撃する

銃弾が当たったスプリンクラーが作動して水が部屋の中にまかれる

警察官A「やったぞ!」

警察官B「これで消防が来るまでもつな! 君、凄いぞ!!」

<<page7>>

フラー「まぐれで奇跡的に当たったみたいです」
にっこりと笑むフラー

エマ、呆然とした顔でフラーを見つめる

ナレーション『フラーは才能があるのに、それを隠す』
ナレーション『名誉や地位に興味がないのだ』
消防に救出された子供の親から泣きながら感謝されるフラー

その光景を見つめるエマ
ナレーション『あの女は本当に価値のあるものを手に入れる時にだけ才能を使う』

<<page8>>

〇回想 マンション エマの部屋

射撃大会の優勝トロフィーをゴミ箱の中に乱暴に投げ捨てるエマ

エマ「・・・」
不快な表情を浮かべるエマ

〇回想 警察署 廊下

フラーの周りに同期の新人警察官たちが群がっているのを見るエマ

同期A「テレビの取材インタビューを断ったんだって?」

<<page9>>

同期B「有名になれるチャンスだったのに」

同期C「新聞にも活躍した新人警察官ってだけ載ってて、顔と名前が伏せられてたよ」

フラー「まぐれで有名になりたくないから」

同期D「なんで急に銃の扱いが上手くなったの?」

<<page10>>

フラー「上手くなったわけじゃなくて、あの時なぜか当たるような気がしたの」

同期E「本番で力を発揮するようなタイプなんじゃないか?」

フラー「そんなことないよ」
ふわりと笑うフラー

エマ(この嘘つきが!)
エマ(自分の技術に絶対の自信がなければ、あの状況で撃てるはずがない!)

不愉快そうな表情でその場を去るエマ

<<page11>>

〇回想 ビル 部屋

先輩の女刑事と張り込みしているエマ

先輩「あの男は凄腕のハッカーだから、警察に力を貸してくれれば心強いんだけど」
外を歩いている男を見ている先輩

エマ「協力してくれないんですか?」

先輩「そう、誰が勧誘してもダメ」
先輩「もちろん、女性諜報員のお色気作戦でも無理だった」

<<page12>>

〇回想 歓楽街

帰宅途中のエマ

近くのホテルから楽しそうに話しながら出てくる凄腕のハッカーの男とフラーの姿

二人の姿を見るエマ
エマ「!」

フラーたちの死角に隠れるエマ

ナレーション『フラーは何も考えてない天然女のように見られるけれど、底が見えない女だ』

<<page13>>

ハッカー「君のためならいつでも協力するよ」

フラー「ありがとうございます」

ナレーション『本当に価値のあるものだけをちゃっかりと手に入れる』

フラーとハッカーが夜の街に消えていく

ナレーション『女の勘と刑事の勘の両方で私にはわかる』
ナレーション『フラーには必ず裏がある』

〇回想終了

<<page14>>

〇警察署 廊下(朝)

向かい合っているエマとフラー

エマ(完全な世界をつくるためにもセンタは必要不可欠)

ナレーション『そして、夢のためだけじゃなく女としても―――』

エマの頭の中にセンタの姿が思い浮かぶ

ナレーション『センタは絶対に失いたくない存在となっていた』

エマ「これからは一切センタに近づかないで!」

<<page15>>

フラー「・・・センタさんが嫌がってるのなら近づかないけど?」

エマ「嫌がってるのよ!」

フラー「センタさんの口から直接聞かないと信じられないかな」

エマ「・・・」

<<page16>>

ふふっと笑うエマ
エマ「そっちが、その気なら・・・・仕方ないわね」

フラー「?」

フラーに背を向けて立ち去っていくエマ

エマ(センタがフラーに幻滅するように仕向けてやる!)

<<page17>>

廊下を一人で歩いているエマ

エマ(フラーと私の休日が重なるのは3日後。その日に実行するべきね)

エマ(上手くいけば、センタはフラーに幻滅することになる)

エマ(明日と明後日は完全な世界の実現に向けて未解決事件を解決しよう・・・)

<<page18>>

〇マンション エマの部屋(昼)

テレビのニュースを見ているセンタ

ニュースではエマが妊婦連続殺害事件を解決したとしてアナウンサーに紹介されている

アナウンサー「妊婦連続殺害犯であることを自白して自殺したゴリバー氏ですが」
アナウンサー「エマ・ルーナ刑事の捜査で追い詰められため観念したとのことです」

<<page19>>

センタが変身したゴリバーが謝罪している動画がニュースで流れている

センタ「・・・」

ナレーション『この事件でエマは有能な刑事として世間で有名になった』

エマが玄関ドアを開けて帰ってくる

<<page20>>

エマ「センタ、事件を解決するわよ」

センタ「何の事件?」

エマ「迷宮入りになった未解決事件よ」

資料をセンタに見せるエマ

<<page21>>

エマ「1年前に、ある村で287人の人間が同時に行方不明になったの」

センタ「287人? 多すぎるな」

エマ「警察は全力で半年間捜査にあたったけど、犯人は見つからず捜査は打ち切りとなった」

センタ「そこまでしてでも見つけられなかった犯人をどうやって探すんだ?」

<<page22>>

エマ「犯人だと疑われた人間が1人いたの」

エマ「資産家、リザール・ルイバ」
資料の中から高齢の男の写真を手に取るエマ

センタ「でも、犯人じゃなかったんだろ?」

エマ「証拠が見つからなかったからね」

<<page23>>

エマ「この男は大きな豪邸を持っているの」

エマ「家宅捜索がおこなわれたけど、行方不明者を見つけることができなかった」

センタ「じゃあ、犯人じゃないんだろ?」

<<page24>>

エマ「私の予想は豪邸の中に隠し部屋があって、そこに行方不明者たちの死体があると思う」

センタ「!」

エマ「行方不明となった者たちの遺体が見つかってないからね」

<<page25>>

エマ「リザールが犯人ならセンタの透明化と透過を使えば、隠し部屋を見つけられるかも」

センタ(今回は死体探しか・・・)
乗り気でない表情のセンタ

センタ「でも、犯行時にしか隠し部屋を使わない可能性もあるだろ」

エマ「その場合はセンタの変身を使うことになる」

センタ「?」

<<page26>>

エマ「リザールには幼馴染の女性がいて、豪邸に二人で住んでるの」
エマ「その幼馴染は共犯の可能性がある」

エマ「だからリザールか幼馴染に変身して、もう片方を騙し、事件について聞き出せばいい」

センタ「難しそうだな。二人が知っている当然のことを聞けば不自然に思われるし」

エマ「センタの変身は非現実的な能力よ。まずバレないわ」

<<page27>>

エマ「それに上手く演じれるように、私が今日を使って演技指導するから心配無用よ」

センタ「無線で会話できるイヤホンを耳につけた方がいいんじゃ?」

エマ「豪邸の中に電波を探知する装置があれば、会話内容を盗聴される」

エマ「金属探知機なら誤作動で済ませられるけど、会話内容を盗聴されるのはまずい」

<<page28>>

エマ「だから、あらゆるケースに対応できるように私がマニュアルを作成する」
エマ「今日中にセンタは、それを頭の中に叩き込んで」

センタ(大変そうだな・・・)

パソコンを操作してマニュアル作成にとりかかるエマ

<<page29>>

エマ(この事件を解決すれば、警察内での私の評価と世間での私の知名度は、さらに上がる)

エマ(それは完全な世界の実現に必要なこと)

エマ(なんとしてでも明後日までに事件を解決してみせる!)

<<page30>>

〇豪邸 敷地内(翌日の朝)

玄関から出てくるリザール

透明化を使用したセンタ、リザールに近づいていく

センタ、発信機と盗聴器を握ってる手を透過させてリザールのバッグにつっこむ

手に握っていた発信機と盗聴器をはなすセンタ

手から離れた発信機と盗聴器に透明化と透過が適用されなくなり、バッグの中に落ちる

<<page31>>

〇車内(朝)

運転席に座っているエマ

ドアがノックされる

エマ「!」

透明化を解除したセンタが助手席に座っている

センタ「計画通りにできたよ」

エマ「OK。次の行動に移るわよ」

<<page32>>

〇豪邸 外壁の近く(朝)

高い外壁の前に立っているエマとセンタ

エマ「ここから透過を使用して室内に入って」

センタ「・・・たぶん無理だな」

エマ「え?」
<<page1>>

〇豪邸 外壁の近く(朝)

センタを見るエマ

エマ「無理って?」

センタ「この壁はかなり分厚いだろ」
外壁を見るセンタ

エマ「それが?」

センタ「俺が透過で通り抜けられる壁の厚さは大股一歩くらいまでだ」

<<page2>>

エマ「どうして?」

センタ「俺は両足を同時に透過させることをしない。なぜなら地面の中に沈むからだ」

エマ「!」

センタ「だから透過して壁などをすり抜けるときは、まず片方の足以外を透過させる」

<<page3>>

センタ「そして透過させた脚が壁をすり抜けたら、その脚の透過を解除して床に足をつける」

エマ「へえ」

センタ「最後にもう片方の足を透過させて壁をすり抜ければ全身が通り抜けることになる」

センタ「ちょっと透過を使ってみる」

<<page4>>

エマ、周囲を見回して人がいないことを確認して大きな布を自分とセンタにかぶせる

センタ、左足以外を透過させて左足に重心を置きながら右脚を壁の中にすり抜けさせる

センタ「・・・やっぱり大股一歩以上の厚さの壁だ」

エマ「どうしてわかるの?」

<<page5>>

センタ「すり抜けた方の足の透過を解除できないからさ」

エマ「え?」

センタ「透過させた体は何かと重なると、その部分だけ透過を解除できなくなるんだよ」

エマ「どういうこと?」

<<page6>>

センタ「たとえば、俺が右手と右腕を透過させて地面に右手だけをつっこんだとする」

センタが右手を地面につっこんでいるイメージ

センタ「それで右手と右腕の透過を解除しようとする」

<<page7>>

右腕が丸マークの絵
センタ「すると、地面と重なっていない右腕は透過を解除できる」

右手がバツマークの絵
センタ「でも、地面につっこんでいる右手は土と重なっていて透過を解除できないんだ」

センタ(空気とかは重なっていても透過を解除できるけど)

<<page8>>

センタが壁に右脚をすり抜けさせて調べている姿を思い出すエマ

エマ「すり抜けた足の透過を解除できて床の感触があれば、大股一歩以下の厚さってわけね」

センタ「そういうこと」

エマ「地面に立った状態で下半身だけ透過させたらどうなるの?」

<<page9>>

センタ「たぶん下半身まで地面に沈んで下半身の透過を解除できなくなる」

エマ「たぶん?」

センタ「怖いから試したことないし、これまでの経験からそうなると思う」

エマ「そうなると、上半身だけを使って地面から抜け出さないといけないわね」

<<page10>>

センタ「誰からも助けを借りられない状況の場合はそうなるか」

エマ「じゃあ、全身を透過させて地面に沈んだら・・・」

センタ「地面の中に空洞がない限り透過を解除できず、ずっと下に落ち続けるんだろ」

エマ「怖いわね」

<<page11>>

センタ「絶対にそうなるのはごめんだ」

エマ「・・・透過させたい物に透過の性質をもたせることもできるわよね?」

センタ「基本その物に触れている間だけな。例外もあるけど」

エマ「例外って?」

<<page12>>

センタ「たとえば、手で握って透過させてる物が何かと重なってる状態だとする」
透過させたボールを握ってる右手を地面の中にセンタが入れている絵

センタ「その物を手から放しても、物に適用されている透過は解除されない」
センタ「そうなると、重なってる状態が解消されるまで透過が解除されず下に落ち続ける」
センタの右手から離れたボールの透過が解除されず、地面の中にボールが落ち続ける絵

エマ「壁に透過の性質をもたせればセンタは透過しなくてもすり抜けられるんじゃない?」

<<page13>>

センタ「物に対しては透過させる範囲を指定できないから、壁だと何が起こるかわからない」

エマ「というと?」

センタ「壁が地面に沈んで建物が崩れるかも・・・」

エマ「なるほど。それじゃあ、プランBでいくしかないわね」

<<page14>>

歩き始めるエマとセンタ

エマ「透過って、よくわからない能力ね」

センタ「俺だって未だにわからないことだらけだよ」

センタ(透過できないものや透過できない場合もあると思うし・・・)

<<page15>>

エマ「着ている服ごと自分の体を透過しても、服が体から落ちることもない」

センタ「服と体に同時で透過の性質をもたせた場合はね」

エマ「首だけ透過させても頭が落ちることはないんでしょ?」

センタ「まあね。俺もどうしてそうなるのかはわからない」

<<page16>>

エマ「・・・仮に今ここで直径100メートルの爆発が起きたらセンタはどうなるの?」

センタ「足元が地面じゃ、全身透過ができないから、足だけは爆発の餌食になるだろうな」

エマ(つまり、センタは無敵じゃないってことね・・・)

エマ(万が一この先センタが敵になった時に利用できる情報だわ)

<<page17>>

○車内(夕方)

携帯でリザールの場所を確認しているエマ

エマ「もうそろそろ家に着くわ」

センタ「OK。じゃあ始めるよ」

透明化と透過を使用して車を降りるセンタ

<<page18>>

〇豪邸 玄関(夜)

リザールが玄関のドアを開ける

透明化と透過を使用したセンタ、ビデオカメラを持ってリザールのあとをついていく

〇豪邸 一室(夜)

中央に立っているリザール
リザールの背後に立っているセンタ

リザールがリモコンを操作すると壁がスライドし始める

センタ「!」

<<page19>>

隠し部屋が現れる

センタ(エマの予想通り・・・隠し部屋だ)

リザールが部屋の中に入っていく

センタも続いて入ろうとするが、すぐに動きを止める

センタ「!」

<<page20>>

無残な姿になった男の死体をひきずりながら出てくるリザール

センタ(犯人確定だ!)

リザール「こいつは念入りに解体してやる」

センタ(死体を保管してるのか・・・)

手で触れて透明化させたままのビデオを棚に置き、撮影を開始するセンタ

<<page21>>

死体を解体していくリザール

センタ(っ・・・)
正視できないような表情で顔を背ける

リザール「あの時は、よくも!」
恨みを晴らすように解体しているリザール

<<page22>>

〇車内(夜)

運転席に座っているエマ、豪邸を見つめる
エマ(指示通りに動けてるかしら・・・)

突然、透明化を解除したセンタの姿が現れる

エマ「きゃっ!」
驚いた表情になるエマ

エマ「透明化を解除する時は合図してって言ってるでしょ?」

疲れた表情で宙を見つめているセンタ
センタ「・・・」

<<page23>>

エマ「・・・証拠を手に入れたの?」

センタ「ああ、死体を保管してたみたいだ」
ビデオカメラをエマに渡すセンタ

リザールが死体を解体する映像を確認しているエマ

エマ(やった! これで、迷宮入りの未解決事件を解決した実績ができる!)
嬉しそうな表情のエマ

センタ(・・・最悪の気分だ)
疲れた表情のセンタ

<<page24>>

〇警察署 廊下(翌日の朝)

エマの後ろをついて歩くセンタ

エマ「裁判の準備は整った。あとは法廷に引きずり出すだけよ!」
嬉々とした表情で歩いているエマ

疲れたような表情でエマの後ろを歩くセンタ

<<page25>>

〇警察署 申請室(朝)

リザールを逮捕する手続きを夢中になってしているエマ

エマの後ろで立っているセンタ

フラー、こっそりと近寄って背後からセンタの肩を軽く叩く

振り返るセンタ
センタ「!」

人差し指を口元にあてて微笑むフラーの姿

<<page26>>

フラー、センタに携帯電話の画面を見せる

『エマには内緒で声を出さずについてきてください』という文が画面に打ち込まれている

センタ「・・・」

<<page27>>

〇警察署 トイレ近くの廊下(朝)

無言で歩くフラーについていくセンタ

立ち止まって振り返るフラー

センタも立ち止まる

フラー、センタの体の周りに簡易探知機を当てる

センタ「?」

<<page28>>

ピピっと音がしたセンタの携帯電話を手に取って確認するフラー

フラー「隠しカメラや盗聴器はつけられてないですけど・・・」

センタ「・・・」

フラー「携帯電話に発信機が仕掛けられていますね」

センタ「!?」

<<page29>>

フラー「電源を切っていても居場所がわかるようにするためでしょう」

センタ「あいつ・・・」

フラー「発信機のことはエマに言わないでください」
フラー「さらに警戒されちゃいますから」

センタ「でも・・・」

<<page30>>

フラー「たぶん、センタさんが捕らわれの身になった時のためだと言いますよ」

センタ「・・・」

フラー「それにエマの裏をかくことにも利用できるので」

センタ「?」

フラー、センタに自分の携帯電話を渡す

<<page31>>

フラー「裁判が始まる直前にトイレに寄って個室からこの携帯でメールしてください」

センタ「今、話せばよくないですか?」

フラー「そろそろエマがこっちに来ちゃいます」

センタ「!」

<<page32>>

フラー「エマにはトイレに行ってたとでも言ってください」

センタ「わかりました」

〇警察署 廊下(朝)

焦った表情で走っているエマの姿
<<page1>>

話しているセンタとフラーの姿

フラー「もしアタシの渡した携帯がエマに見つけられたら、エマに渡して大丈夫です」
フラー「裁判所で拾った誰かの携帯だと言ってください」

センタ「・・・はい」

フラー「その場合でも裁判の直前にはトイレに寄ってください」

センタ「え?」

<<page2>>

フラー「体調が悪いから裁判に出席することは無理だとエマに言えば大丈夫です」

センタ「大丈夫ですかね?」

フラー「はい。たぶん裁判が終わるまでトイレの中にいるように言ってくるはずです」

センタ「・・・」

フラー「それじゃあ、また」
微笑んで去っていくフラー

<<page3>>

少ししてエマが走ってくる

エマ「センタ、どこに行ってたの!?」

センタ「・・・トイレだよ。ちょっとお腹の調子が悪くて」

エマ「私から離れる時は一声かけてって言ってるでしょ!?」

センタ「・・・悪い」

<<page4>>

〇裁判所(昼)

法廷に向かっているエマとセンタ

センタ「・・・ちょっとお腹が痛いからトイレに行くよ」

エマ「今から裁判が始まるわよ?」

センタ「マジで我慢できない」

<<page5>>

エマ「・・・わかったわ。でも裁判が終わるまで絶対にトイレから出たらダメよ」

センタ「ああ・・・」

エマ、センタの耳元に口を近づけてヒソヒソと話す

エマ「何度も言うけど、センタは出生登録がされてない」

<<page6>>

センタ「・・・」

エマ「だから私が隣にいない時に警察に職務質問されたら終わりよ」

センタ「ああ」

エマ「裁判が終わったら私がトイレに行くから、それまで待ってて」
エマ「もし警備員が巡回で来たら個室の中で透明化と透過を使い回避して」

<<page7>>

〇男子トイレ(昼)

個室に入ったセンタ、フラーにメールする

〇裁判所前(昼)

センタからのメールを確認して裁判所の中に入っていくフラー

〇男子トイレ前の廊下(昼)

変装したフラー、男子トイレの周囲に隠しカメラや盗聴器がないか確認している

<<page8>>

〇男子トイレ(昼)

個室の鍵を外からかけているフラー

フラーの後ろに立っているセンタ

フラー「発信機つきの携帯は個室の中に置いておけば裁判中に移動してもバレません」

センタ「俺、トイレに入ろうとする人がいないか外で見張っときましょうか?」

フラー「その時は警察手帳を見せればいいです。それにもう鍵はかけました」

<<page9>>

〇裁判所 外の敷地(昼)

ベンチに座って話しているセンタとフラー

フラー「大丈夫ですよ。その場合、職務質問されたら捜査許可証を見せればいいんです」

センタ「・・・なるほど」

フラー「まあ、出生登録されてない人を捜査協力者にする刑事がいたらの話ですけどね」

センタ「・・・フラーさんのおかげで正しい知識が身につきます」

<<page10>>

センタ、これまでのエマの姿を思い浮かべる

悪そうな笑みを浮かべている時のエマ
犯人を撃ち殺した時のエマ
頬を赤らめている時のエマ
告白してきた時のエマ

センタ「フラーさんはエマがどんな人間だと思います?」

<<page11>>

フラー「・・・さあ? あまりエマと話したことがないので彼女のことはよくわかりません」

センタ「そうですか・・・」

フラー「なぜかはわからないけれど、アタシはエマに嫌われてるので」

センタ「・・・」

<<page12>>

フラー「お昼ご飯は食べました?」

センタ「まだです」

フラー「お弁当を作ったので、よければ食べてください」

美味しそうな見た目の弁当

フラーの弁当を食べるセンタ
センタ「おいしい!」

<<page13>>

フラー「よかったー」
にっこりと笑うフラー

センタ「フラーさんと一緒にいると、本当に癒されます」

フラー「ドキドキはしませんか?」

センタ「え!?」

<<page14>>

フラー「アタシ、女性としての魅力はないですか?」

センタ「い、いや、めちゃくちゃ魅力的だと思います! ドキドキします!」

フラー「本当ですか?」
ふわりと笑うフラー

照れるセンタ

<<page15>>

センタ「・・・」

〇フラッシュバック センタの脳裏にレストランでの出来事が思い浮かぶ

エマ「私はセンタのことが好き!」

エマ「センタの気持ちが決まるまで待つから・・・」

〇フラッシュバック終了

〇裁判所 外の敷地(昼)

センタ(エマとフラーさん、俺はどっちと・・・)

<<page16>>

考えごとをしているセンタを見ているフラー

フラー「センタさん、アタシのことを少しでも想っていてくれるなら・・・」

センタ「!」

フラー「どちらと付き合うか結論が出るまでは、エマの誘惑に負けちゃだめですよ」

<<page17>>

〇裁判所 法廷(昼)

警察席に座っているエマ

被告人席に座っているリザール

エマを睨むリザール
リザール「おい! 裁判で貴重な時間を奪われたんだから慰謝料を請求するからな」

エマ「安心しなさい。あんたに時間なんて必要ない」
エマ「だって、死刑になるんだから」

リザール「なんだとぉ?」

<<page18>>

リザール、幼馴染が傍聴席にいることに気づく

リザール「ソフィー? なんでここにいる?」

エマ「私が呼んだわ」

リザール「何のためにだ?」

エマ「その方が面白くなるからよ」

リザール「あ?」

<<page19>>

エマ「裁判長、被告人が落とした小型チップに犯罪証拠のデータが入っていました」

リザール「小型チップ? そんなもの俺は持ってないぞ」

センタが撮影したリザールが死体を解体する映像が流れ始める

リザールと幼馴染、映像を見て立ち上がる

リザール「なっ・・・ソフィー! てめぇっ、裏切ったな!!」

幼馴染「裏切ってない!! 私は知らないわ!」

<<page20>>

リザール「おまえが協力しないと、こんな映像を撮れるわけねぇだろうが!!」

幼馴染「冷静になってよ! 私が裏切るわけないじゃない!」

リザール「二人で復讐しようと誓い合ったおまえだけは信じてたのにっ!!」

幼馴染「私じゃないっ!!」

<<page21>>

リザール「呪ってやるからなっ!!」

幼馴染「もういやっ!」

幼馴染、泣きながら法廷から出ていく

リザール「あああああぁぁぁぁ!!」
絶叫するリザール

必死に笑いを堪えているエマ

<<page22>>

エマ、堪えきれずに笑いだす

リザール、笑っているエマを見る

裁判長を見るエマ
エマ「失礼しました。裁判長、判決をお願いします」

リザール「待て! これはどう見ても違法捜査だろうが!!」

エマ「どこが? 私はあんたを尾行していただけよ?」

<<page23>>

リザール「リビングの壁に隠しカメラを仕込んでやがる! 不法侵入だろう!」

リザール「ソフィーを説得して家の中に入ったようだが、あの家は俺の家だ!」

リザール「俺が許可しない限り、不法侵入だぞ!」

エマ「映像は棚に置いたビデオカメラで撮影されたものだと結論が出たわ」

<<page24>>

リザール「何を根拠に!?」

エマ「今、警察があんたの豪邸を家宅捜索してるの」

リザール「!」

エマ「隠し部屋につながる壁以外の壁面には何も問題なかったと報告されてる」

<<page25>>

リザール「部屋の壁を念入りに調べさせろ! カメラが埋め込まれた形跡があるはずだ!」

エマ「その形跡がなかったのよ。警察が見落とすはずないでしょ?」

リザール「嘘だ!!」

<<page26>>

エマ「裁判長、被告人の主張していることこそ・・・全て嘘です」

リザール「ふざけるなっ!!」

エマ「時間がもったいないので、早く判決をお願いします」

裁判長「決定的な証拠が出たので、被告人を死刑に処す」

<<page27>>

エマに罵詈雑言を叫ぶリザール

エマ「亡くなった人たちは、あんた以上の怒りを感じたはずよ」

エマ(幼馴染は外で待機させていた警察官が確保してるはず)
エマ(そいつは共犯の罪で罰すればいい)

エマ(信頼関係は壊したし、こいつが道連れにしようと自供するだろうから簡単に終わる)
上機嫌な顔で立ち去っていくエマ

<<page28>>

〇男子トイレ前の廊下(昼)

入口に立つエマ

エマ「センタ、裁判が終わったわ」

トイレから出てくるセンタ

エマ「帰るわよ」

センタ「・・・ああ」

<<page29>>

〇マンション エマの部屋(夜)

テレビを見ているエマとセンタ
迷宮入りの未解決事件が解決したことを伝えるニュースがテレビに流れている

センタ「隠し部屋の中に監禁されている人たちがいたんだな」

エマ「ええ。行方不明となっていた者たちが監禁されている状態で発見されたみたい」

エマ「まさか1年経った今も生かして苦しめていたなんてね」

センタ「恨みか・・・」

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ニュースでは刑事としてエマが紹介されている

アナウンサー「287人が行方不明になった前代未聞の事件」
アナウンサー「半年間、警察が総力で捜査したにも関わらず迷宮入りになった事件です」

エマの写真がテレビに映る

アナウンサー「その事件を解決したのは、たった一人の刑事!」
アナウンサー「妊婦連続殺害事件で活躍したエマ・ルーナ刑事です!」

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アナウンサー「非常に有能な刑事ですから、警察には重要な仕事を任せてもらいたいですね」

エマ(ここまで有名になれば 大きな仕事だけを任されることになるわ)

エマ(完全な世界の実現には刑事としての高い地位も必須!)

エマ(そのためには殲滅任務なども完遂しなければ・・・)

<<page32>>

センタを見るエマ

エマ(次はセンタがフラーに幻滅するように仕向ける)

ふふっと笑うエマ

エマ(明日は面白いものが見れそうね・・・)