治療係は、教育的指導をする教師のようなものだ。

 そう、エリザは就任一日目で思った。

 これから付きっ切りで治療係として仕事をするため、屋敷の二階の一室を借りることになった。

 ふかふかのベッド、立派な机。衣装タンスなども揃っている立派な部屋だ。すごく広い客人用の浴室も使っていいとのことが、エリザ的に一番嬉しいことだった。

 できるだけ同行し、ジークハルトの治療にあたる。毎日報告をまとめ、ラドフォード公爵の仕事を邪魔しないよう報告書を提出する。

 驚いたことは、ジークハルトが『殿下』の護衛騎士であることだった。

 わざわざ臨時で就任する治療係のために、『殿下』が顔合わせも兼ねて彼の半日を休暇にしたのには恐縮した。

 とはいえ、これからジークハルトの問題に関しては、治療係であるエリザに全て投げられるのだ。

 ――つまり、引きこもりも同様である。

「親睦を深めつつ屋敷内を案内してもらおうと思ったのですが……」
「初日からボイコットですか」