「亜里沙……」
正明は自己嫌悪で今でも涙が流れる。
“亜里沙”を守れなかった自己嫌悪が正明に取って大きな足かせになっていた。
『正明、わたしね赤ちゃんできたの』
『お腹の中の子、男の子?それとも女の子かな?』
『名前、どうしよう、男の子も女の子。どっちがうまれても“翼”にしよう』
亜里沙との思い出と夏都への愛情が板挟みになっていく。
家に帰ると夏都が「おかえり」と出迎えてくれた。
その出迎えてくれた夏都の姿が一瞬、死んだはずの亜里沙と面影が重なった。
愛おしくなり、我慢できず抱きしめてしまう。
「正にいちゃん?どうしたの?」
「ごめん。しばらくこうしてていいかな?」
夏都は無言で正明の抱擁を受け止めた。
抱きしめている間、正明の目頭が熱くなる。
好きな人に抱きしめられるのがここまで心が満たされるとは思わなかった。
「昔を思い出してしまっただけだから……気にしないで。」
正明は笑顔だが目はどこかさみしげだった。
その日の夜――。
夏都は喉の乾きに目がさめた。
台所まで向かおうとしたとき、風呂上がりの正明が洗面所から出てきた。
瞳の色を見るやいなや――。
「正にいちゃんの目……すごくきれい」
「!?」
夏都は、正明のリビアの近くにある地中海や沖縄の海のような美しい目に見とれてしまう。夢を見ているような気分だ。
正明は夏都から視線をそらそうとする。
「お願いもっとよく見せて!」
「なつちゃん?」
夏都は夢中になって正明の目をジーと見つめた。
「……」
ふたりとも終始無言で見つめ合ってる。
夏都の唇にゆっくり正明の唇が重なった。
「ん……」
心地よくて自然と許してしまった。
好きな人の口づけだ。
そこからほとんど記憶がない。
朝起きるとベッドの上で正明と一糸まとわぬ格好で眠っていた。
「おはようなつちゃん。」
「う……ん……」
好きな人が至近距離で優しく微笑んでいる。
夏都も赤面気味だ。
正明は自己嫌悪で今でも涙が流れる。
“亜里沙”を守れなかった自己嫌悪が正明に取って大きな足かせになっていた。
『正明、わたしね赤ちゃんできたの』
『お腹の中の子、男の子?それとも女の子かな?』
『名前、どうしよう、男の子も女の子。どっちがうまれても“翼”にしよう』
亜里沙との思い出と夏都への愛情が板挟みになっていく。
家に帰ると夏都が「おかえり」と出迎えてくれた。
その出迎えてくれた夏都の姿が一瞬、死んだはずの亜里沙と面影が重なった。
愛おしくなり、我慢できず抱きしめてしまう。
「正にいちゃん?どうしたの?」
「ごめん。しばらくこうしてていいかな?」
夏都は無言で正明の抱擁を受け止めた。
抱きしめている間、正明の目頭が熱くなる。
好きな人に抱きしめられるのがここまで心が満たされるとは思わなかった。
「昔を思い出してしまっただけだから……気にしないで。」
正明は笑顔だが目はどこかさみしげだった。
その日の夜――。
夏都は喉の乾きに目がさめた。
台所まで向かおうとしたとき、風呂上がりの正明が洗面所から出てきた。
瞳の色を見るやいなや――。
「正にいちゃんの目……すごくきれい」
「!?」
夏都は、正明のリビアの近くにある地中海や沖縄の海のような美しい目に見とれてしまう。夢を見ているような気分だ。
正明は夏都から視線をそらそうとする。
「お願いもっとよく見せて!」
「なつちゃん?」
夏都は夢中になって正明の目をジーと見つめた。
「……」
ふたりとも終始無言で見つめ合ってる。
夏都の唇にゆっくり正明の唇が重なった。
「ん……」
心地よくて自然と許してしまった。
好きな人の口づけだ。
そこからほとんど記憶がない。
朝起きるとベッドの上で正明と一糸まとわぬ格好で眠っていた。
「おはようなつちゃん。」
「う……ん……」
好きな人が至近距離で優しく微笑んでいる。
夏都も赤面気味だ。