「シャニ、泰兄ちゃんには悪いけど出来れば正兄ちゃんの子どもを産みたいな。」
『まま?』
「あっ、今言ったことはふたりだけの秘密だよ。」
 夏都はいたずらっぽくシャニにシーとポーズをとる。

『俺はもちろん言わないけどあいつ絶対盗聴器を仕掛けてるぞ?』
「そんな事言わないの。ママのことを助けてくれた旦那様のひとりなのよ。」

 夏都がそう窘めるとシャニ――は『ごめんなさい』としょげた。
 シャニは夏都の胸を枕にし再びゴロゴロ喉を鳴らす。

 こんな幸せな光景があるのか。
 夏都もシャニのゴロゴロ音に瞼が重くなるのだった。

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 しばらくすると正明たちが戻ってきた。

 「三人ともおかえり。ご飯できたよー」
 「ただいまーうひー腹減ったー」
 宏明は伸びをしながら台所に入って晩御飯のおかずをつまみ食いした。