数日が過ぎた。部屋のカレンダーをめくり家を出た。
ゴールデンウィークの遠征は関西への遠征で1日(土)から5日(水)の5日間。
普段は関東圏とばかり試合しているので関西圏の高校と試合できる数少ないチャンスであると同時に、この遠征で大会のメンバーが決まるだけにいつも仲のいいチームメイトも関西に向かうバスの中ではピリピリしていた。

初日の夜。試合でゴールを決めた自分にご褒美を買おうと宿舎のそばのコンビニに来た。
カップ系のアイスにするか、棒状のアイスにするか迷っていると後ろから声をかけられた。

「私こっちね」
甘いシャンプーのにおいがした。

「君はこっちにしなよ。私の分も買ってきてね。」
とアイスを渡してきた。戸惑いながらも俺はアイスを買った。
先に外に出ていたかな先輩はアイスをもって出てきた俺を見て

「え?ほんとに買ってくれたの?ありがと」
と優しく笑いながら言い「ほら、宿戻るよ」と先を歩いた。
お風呂上がりの先輩はいつもよりかわいく見えた。

次の日以降の試合も俺は結果を出し続け、遠征を終えた。
かな先輩とは初日の夜以降、一緒にコンビニに行き次の日はかな先輩におごり返してもらい、また次の日は俺がおごり返した。歩きながらサッカーの話の他にも最近ハマっているドラマの話など何気ない会話をした。
10分ほどのどの時間がとても幸せに感じた。

ゴールデンウィーク後に行われたメンバー発表で俺は無事メンバー入りを果たした。実もメンバーに選ばれた。
遠征から帰宅した次の日はオフになった。
オフの日の放課後、俺と実は一緒にご飯を食べに行こうと近くのファミレスに行った。
そこで俺らはサッカーの話はもちろん、俺の初日にかな先輩とあったことを話した。実は

「かなさんいまフリーらしいし、お前狙われてんじゃね?」
と茶化してきた。口ではそんなことはありえないというが俺は期待せずにはいられなかった。

「インターハイでかっこよくゴール決めて全国決めたらチャンスあるんじゃね?」
実は止まらずに俺の思い描くような話をして茶化し続けた。
かな先輩とはたとえ付き合えたとしてもその幸せが長く続く可能性は低い。俺と違ってかな先輩はモテるからたとえ付き合えても他の人に撮られてしまうんじゃないかと思ってしまう。そう思いながらも好きになってしまったからには期待せずにはいられない。
食事を終えた俺たちは岐路についた。

そんな俺たちの空想は簡単に敗れ去り、インターハイは県大会決勝で敗れ全国大会を逃した。
大会が終わってすぐ、かな先輩には新しい彼氏ができた。