バーベキューの次の日、僕たちは村役場の小ホールに集まってまた練習を再開し始めた。
新曲の譜面は既にもう配られており、全員で必死に練習している状態だ。
明梨はいつもよりも練習量が多いためか、1週間に1回のペースだったスティックが折れるというイベントが3日に1回と言う高頻度なペースになっている。
しかも、僕は設営のための機材の受け取りや保管などの仕事も兼任でやっているため他の人よりも練習時間が少ないのだ。
今日も機材の搬入などでお昼からは村役場の職員の人と話し合いをすることになっているので午前中に1回通し練習をしておくすることにしてもらった。
新曲は昔僕たちがやっていた時よりもスピードが速く、指遣いを気をつけないと一気に遅れてしまう。
何回も練習してやっとのことで指が追いつくようになった僕は昔のように感情を込めて演奏していると言うよりも今はただ演奏しているだけなのだ。
メンバーのみんなは久しぶりなんだからしょうがないと言ってくれているが、僕自身は納得できていないままでいた。
ステージの機材の話し合いをしている間も、頭の中では曲のことばかりを考えていた。
「あれ、吉人君聞いてますか?」
担当の人に呼ばれてやっとのことで曲の世界から意識が戻ってくる。
「あぁ、はい。聞いてます。」
一応聴きながらメモを取っているので言われていること自体は分かっているのだが、話をしっかりと聞いているかと聞かれたらいいえと答えるしかない。
そのままなぁなぁに話し合いを終わらせ、小ホールに戻ると練習は既に終わっていたらしく残っているのは奏だけだった。
「あ、吉人。お疲れ様。」
奏はマイクを安全な場所に片付けながら僕に挨拶をしてくれる。
「お、奏か。お疲れ様。遅くまで残ってるけど、大丈夫なのか?」
「うん、ちょっと心配なフレーズのところがあったから自主練してただけ。」
あ、そうだ。と言って奏はマイクを繋ぎ直す。
「ここのところ、リズムにちゃんと合うか不安だから吉人弾いてよ。」
奏はマイクを握ってこちらを見てくる。
「分かった。ちょうど僕も練習したいところがあったし代わりにこっちの練習にも付き合ってもらうからな?」
お互いに心配なところを何回も繰り返して練習していると気づけばもう7時を回っていた。
「もうこんな時間か。流石に練習しすぎたな……。」
「本当に。吉人あそこのフレーズ練習しすぎ。」
「べ、別にいいだろ!?心配なところは練習しといたほうが安心できるし!」
「悪いとは言ってないけど。」
奏はそう言って少し意地悪な笑い方をする。
その後、奏は家に両親が今日はいないらしく一緒に近くの食堂に行った。
親にも連絡を入れておき、僕もそこで一緒に食事をとる。
「にしても、こんなに遅くまで奏が練習することなんて昔はなかったよな……。」
僕は帰りながら奏に聞いてみると奏は一言こう答えた。
「いや、とあることが原因でこうなってるだけ。」
何が原因なのだろうか。家庭内で何かあったとかではないといいのだがと思い聞いてみる。
「何かあったのか?家で親から暴行を喰らってるとか……。」
「そう言うのじゃない。」
キッパリと奏に言い返されてしまい、僕は閉口してしまう。
「全く、本当に鈍感だね。」
「誰が鈍感だ。僕だってある程度人のことは考えられているつもりだよ。」
そういうと奏は頬を膨らませながら「いいや、そんなことはない。」と一言キッパリと言ってきた。
そのまま奏はずんずんと前に進んでいく。
「お、おい。こんな夜中に一人で歩いたら危ないだろ?送って行くから。」
「分かってる。どうせついてくるんだから横にいても前にいても変わらないでしょ。」
結局、奏はその後一言も話してくれなかった。
新曲の譜面は既にもう配られており、全員で必死に練習している状態だ。
明梨はいつもよりも練習量が多いためか、1週間に1回のペースだったスティックが折れるというイベントが3日に1回と言う高頻度なペースになっている。
しかも、僕は設営のための機材の受け取りや保管などの仕事も兼任でやっているため他の人よりも練習時間が少ないのだ。
今日も機材の搬入などでお昼からは村役場の職員の人と話し合いをすることになっているので午前中に1回通し練習をしておくすることにしてもらった。
新曲は昔僕たちがやっていた時よりもスピードが速く、指遣いを気をつけないと一気に遅れてしまう。
何回も練習してやっとのことで指が追いつくようになった僕は昔のように感情を込めて演奏していると言うよりも今はただ演奏しているだけなのだ。
メンバーのみんなは久しぶりなんだからしょうがないと言ってくれているが、僕自身は納得できていないままでいた。
ステージの機材の話し合いをしている間も、頭の中では曲のことばかりを考えていた。
「あれ、吉人君聞いてますか?」
担当の人に呼ばれてやっとのことで曲の世界から意識が戻ってくる。
「あぁ、はい。聞いてます。」
一応聴きながらメモを取っているので言われていること自体は分かっているのだが、話をしっかりと聞いているかと聞かれたらいいえと答えるしかない。
そのままなぁなぁに話し合いを終わらせ、小ホールに戻ると練習は既に終わっていたらしく残っているのは奏だけだった。
「あ、吉人。お疲れ様。」
奏はマイクを安全な場所に片付けながら僕に挨拶をしてくれる。
「お、奏か。お疲れ様。遅くまで残ってるけど、大丈夫なのか?」
「うん、ちょっと心配なフレーズのところがあったから自主練してただけ。」
あ、そうだ。と言って奏はマイクを繋ぎ直す。
「ここのところ、リズムにちゃんと合うか不安だから吉人弾いてよ。」
奏はマイクを握ってこちらを見てくる。
「分かった。ちょうど僕も練習したいところがあったし代わりにこっちの練習にも付き合ってもらうからな?」
お互いに心配なところを何回も繰り返して練習していると気づけばもう7時を回っていた。
「もうこんな時間か。流石に練習しすぎたな……。」
「本当に。吉人あそこのフレーズ練習しすぎ。」
「べ、別にいいだろ!?心配なところは練習しといたほうが安心できるし!」
「悪いとは言ってないけど。」
奏はそう言って少し意地悪な笑い方をする。
その後、奏は家に両親が今日はいないらしく一緒に近くの食堂に行った。
親にも連絡を入れておき、僕もそこで一緒に食事をとる。
「にしても、こんなに遅くまで奏が練習することなんて昔はなかったよな……。」
僕は帰りながら奏に聞いてみると奏は一言こう答えた。
「いや、とあることが原因でこうなってるだけ。」
何が原因なのだろうか。家庭内で何かあったとかではないといいのだがと思い聞いてみる。
「何かあったのか?家で親から暴行を喰らってるとか……。」
「そう言うのじゃない。」
キッパリと奏に言い返されてしまい、僕は閉口してしまう。
「全く、本当に鈍感だね。」
「誰が鈍感だ。僕だってある程度人のことは考えられているつもりだよ。」
そういうと奏は頬を膨らませながら「いいや、そんなことはない。」と一言キッパリと言ってきた。
そのまま奏はずんずんと前に進んでいく。
「お、おい。こんな夜中に一人で歩いたら危ないだろ?送って行くから。」
「分かってる。どうせついてくるんだから横にいても前にいても変わらないでしょ。」
結局、奏はその後一言も話してくれなかった。