時計は、十二時二十分を指していた。先生たちが学校を出るまであと十分。
 一体、何が「さようなら」なのだろう。手紙のこと?いや、違う。多分、「さようなら」の意味は、手紙ではなくて、私との関係だ。今まで手紙を、贈ってくれた人は誰だ?先生?違う。親?もっと違う。あんな偽善者たちから手紙なんて贈られたくない。もっと、私と同じように死にたいと考えている誰かだ。でなければ、あんな励ましの言葉は贈れない。理解者しかあんな言葉贈れない。贈り主は多分、クラスメイトだ。でなければ、席替えした席に、間違わずに手紙を入れられまい。クラスメイト?死にたいと感じているクラスメイト?そんなの……。