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 騙し合いを続けて約2年。
 とうとう郡山先輩の旅立ちの日がやってきた。

 卒業式には在校生代表として私たち2年生が参加した。

『卒業証書授与』

 郡山先輩が担任の先生に名前を呼ばれてステージに上がる。
 私はその姿を見てこれまで先輩と過ごした時間を1つずつ辿るように思い出していた。

 入部初日から騙されて、そこから騙し、騙される毎日。
 誕生日のサプライズは今でも忘れない。

 先輩と過ごした時間が私の高校生活に色を付けてくれた。

 卒業か。流れ出る涙をハンカチで拭う。
 顔を上げると、ステージから降壇する先輩と目が合った。ヤバっ、泣いてる顔、見られちゃったかな。

 卒業式はつつがなく進行し、在校生が花のアーチを作って先輩たちを見送る。
 郡山先輩も少しして私と美鈴(みすず)で作ったアーチを通過した。

 言葉は交わさなかった。いや、交わせなかった。
 これで最後だと思うと言葉が喉に引っかかって出てこなかった。