【9月3日(土)】朝、目が覚めた時、手にはブレスレットが光っていた。夢ではなかった。
すぐに起きてお弁当の準備をする。もう絶対に離さないし離れない。それにできるだけ可愛くしないと!
私は11時にお弁当を持って潤さんの部屋を訪ねた。ドアを開けるとニコニコした潤さんがいる。優しい目をしている。
私を部屋に入れるとすぐに後ろから抱きしめて、それからキスをした。私は力一杯抱きついた。
昨日の帰りは手を繋いで歩いただけだったから、なおさら抱き合いたい。どれくらい抱き合っていたか分からない。二人ともようやく気持ちが治まってきた。
私がコーヒーを入れて、二人で飲みながらこれからの予定を相談する。
「これが、決まっているスケジュール。その間の予定を決めたいけど」
9月1日(木)内々示
9月2日(金)プロポーズ
9月3日(土)結婚式の打合せ
・・・・
9月20日(火)異動内示
9月30日(金)赴任日、送別会?
10月1日(土)引越搬出(移動)
10月2日(日)引越搬入
10月3日(月)着任
「相当に忙しいですね」
「今日の予定だけど、これからネットですぐにでも結婚式を上げられる式場を探す。それから、午後は婚約指輪と結婚指輪を買いに行く」
「はい」
「明日の日曜日に結婚式場へ行って申込みと打合せをする。それから、美沙ちゃんのお母さん夫婦に挨拶に行くのはどうかな。だからお母さんに明日の予定を聞いてみてくれる?」
「母には昨晩帰ってから、潤さんにプロポーズされてお受けしたことを報告しておきました。とても喜んでくれました。今、電話してみます」
私はベランダに出て電話をして、すぐに戻った。
「明日の6時に二人で待っているとのことです。夕食を用意してくれるそうです」
それから潤さんはネットですぐに結婚式を上げられる式場を探した。2、3か所見つかったので電話で確認する。
9月18日(日)午後4時に空きがあった。とりあえず押さえさせてもらって明日10時に打合せの予約を入れてくれた。
ここまでは順調。潤さんは仕事でいつもタイトな中でスケジュールを調整しているから慣れている。
「結婚式にはお母さんご夫妻、それと僕は竹本室長に出席をお願いしようと思う。式の後、5人で食事すればいいんじゃないかな。それと婚姻届の署名はお母さんと竹本室長にお願いしよう」
「それは良い考えです」
「結婚式の日は都内のホテルに泊まろう。次の日、区役所に婚姻届を出しに行こう」
「はい、素敵です」
「それから次の週には内示が出ているから、休日に二人で転勤先の住まいの下見に行こう」
「はい」
「それから引越しの予約をしておかないといけないね。それぞれ自分の荷物の整理もしておいかないと」
「確かに随分忙しいですね。スケジュールどおりになるように頑張ります」
「美沙ちゃんが辞めることは、室長に結婚式の出席をお願いするときに話しておくけど、美沙ちゃんはしばらく口外しない方が良いと思う。もちろん、結婚の話もしない方がいい。送別会があるからそこで発表しよう。それまでは内緒にしておこう」
「分かりました。言うとおりにします。さすがにすごい気配りですね」
「美沙ちゃんに不愉快な思いをさせたくないから、それまで自然に振舞っていて」
「ありがとうございます。ブレスレットは着けていてもいいですか」
「もちろん、そうしてほしい」
私の作って来たお弁当を食べてから、二人で銀座へ婚約指輪と結婚指輪を買いに出かけた。
婚約指輪は給料の3ケ月分と言われているけど、私は気にいったものを買ってほしいと言って、かなり安いものを選んだ。潤さんはデザインがほぼ同じで値段が高いものを買ってくれた。
小さなダイヤモンドが指輪を取り巻いて、キラキラ輝いている。私の指にぴったりのサイズがあったので、それをそのまま指にはめて帰ることにした。
結婚指輪も私の選んだデザインにしてくれた。サイズ合せと文字をいれるので1週間後に出来上がるとのこと。
私は何度も婚約指輪をかざしてみていた。それから、腕を組んでウインドウショッピングしながらぶらぶら歩いた。
「今日は僕のところに泊っていかないか? 婚約したんだから、二人でゆっくり過ごしたい」
「はい、でも着替えなどを取りに一旦家へ帰ります。それから夕食のために何か買ってきます。簡単ですが夕食をつくります」
「ありがとう」
私は服を着替えてからすぐに戻ってきた。手にはバッグとスーパーのレジ袋を持っている。部屋に入るとすぐに抱きしめられてキス。私はしがみ付く。気が済むまで抱き合ってキスを続ける。
二人の気持ちが落ちついたころ、潤さんはスケジュール表を見せてくれた。
9月1日(木)内々示
9月2日(金)プロポーズ
9月3日(土)スケジュール打合せ、婚約指輪・結婚指輪購入
9月4日(日)結婚式場打合せ、お母さん夫婦への挨拶
9月5日(月)室長への婚約の報告と式への出席、婚姻届の署名を依頼
9月18日(日)1時出発、2時到着、3時来客到着、4時結婚式、5時30分食事会、7時30分ホテル着
9月19日(月)婚姻届提出
9月20日(火)異動内示、会社への扶養申請、住居紹介依頼
9月25日(日)転居先下見
9月26日(月)茨木研究所打合せ
9月30日(金)赴任日、社内挨拶回り、送別会
10月1日(土)10時:美沙引越荷物搬出、1時:潤引越荷物搬出、2時:赴任地へ移動、駅前のホテル宿泊
10月2日(日)10時:引越荷物搬入
10月3日(月)着任
これなら何とかなりそう。
それから、私は夕食の準備を始めた。
「まだ、暑いのでソーメンにします。それに鶏肉の照り焼きと和風サラダ」
「おいしそう」
「この前に泊まったときに冷蔵庫と冷凍庫の中を調べておいたので、あり合わせで作りますが、すぐに出来ます」
手際よく料理を作って座卓に並べる。ここが腕の見せ所。それから缶ビールで乾杯。
「この指輪すごく素敵で気に入っています。ありがとう」
「デザインが良いね」
「私、指輪をすることがなかったので、落としてしまわないか心配で、あれからずっと右手で触って嵌っているのを確認しています」
「落ちないと思うけど、そんなに喜んでもらって大切にしてくれて、嬉しいよ」
「こうして触っていると嬉しくて、嬉しくて、ありがとう」
食事が済んで、私が後片付けをしている間に、潤さんはベッドメイキング。「先にシャワーを使わせて下さい」と言って、私は浴室へ入った。すぐに潤さんが浴室に入ってきた。
「一緒にシャワーを浴びたい。洗ってあげるから」
「いや、恥ずかしい」
私はその場にしゃがみ込んだ。浴室に一緒に入るのは初めてで恥ずかしかった。潤さんもしゃがみ込んで抱きしめてキスをする。 私はもうあきらめて「じゃあ洗って下さい」と立ち上がった。
いつも明かりを落として愛し合っていたので、潤さんは裸の私を明るい所で見るのが初めてなのでじっと見ている。恥ずかしい。
スポンジに石鹸をつけて、背中を洗い、前を向かせて胸から洗ってくれる。もう観念してなすがままになっている。石鹸を洗い流すと今度は潤さんを洗ってあげる。背中から前、下半身も洗ってあげる。それから、二人また抱き合ってキス。
それから、バスタオルでお互いの身体を拭き合って、潤さんはバスタオルにくるまった私を抱きあげて、ベッドへ運んだ。私はずっと潤さんの顔を見ている。潤さんも私を見ている。それから二人だけの長い夜を過ごした。
私は丸まって潤さんに後ろから抱かれている。こうして肌をふれあって寝ていると安らかな気持ちになる。潤さんはゆっくり私の身体を撫でていてくれる。私はじっとして動かない。
「疲れたの?」
「いいえ、こうして肌が触れ合っていると、心地よくて、安心して、ずっとこのままでいたくて」
「同じことを考えていた」
「本当?」
「ああ」
「ずっとこのままでいよう」
二人はいつの間にか眠りに落ちたみたい。
ブログにはあとからこう書き込んだ。
〖婚約してから初めて二人で一緒に寝た〗
コメント欄
[ゆっくり眠れた?]
[二人で眠るっていいよね!]
[あまり入れ込まないように注意して!]
すぐに起きてお弁当の準備をする。もう絶対に離さないし離れない。それにできるだけ可愛くしないと!
私は11時にお弁当を持って潤さんの部屋を訪ねた。ドアを開けるとニコニコした潤さんがいる。優しい目をしている。
私を部屋に入れるとすぐに後ろから抱きしめて、それからキスをした。私は力一杯抱きついた。
昨日の帰りは手を繋いで歩いただけだったから、なおさら抱き合いたい。どれくらい抱き合っていたか分からない。二人ともようやく気持ちが治まってきた。
私がコーヒーを入れて、二人で飲みながらこれからの予定を相談する。
「これが、決まっているスケジュール。その間の予定を決めたいけど」
9月1日(木)内々示
9月2日(金)プロポーズ
9月3日(土)結婚式の打合せ
・・・・
9月20日(火)異動内示
9月30日(金)赴任日、送別会?
10月1日(土)引越搬出(移動)
10月2日(日)引越搬入
10月3日(月)着任
「相当に忙しいですね」
「今日の予定だけど、これからネットですぐにでも結婚式を上げられる式場を探す。それから、午後は婚約指輪と結婚指輪を買いに行く」
「はい」
「明日の日曜日に結婚式場へ行って申込みと打合せをする。それから、美沙ちゃんのお母さん夫婦に挨拶に行くのはどうかな。だからお母さんに明日の予定を聞いてみてくれる?」
「母には昨晩帰ってから、潤さんにプロポーズされてお受けしたことを報告しておきました。とても喜んでくれました。今、電話してみます」
私はベランダに出て電話をして、すぐに戻った。
「明日の6時に二人で待っているとのことです。夕食を用意してくれるそうです」
それから潤さんはネットですぐに結婚式を上げられる式場を探した。2、3か所見つかったので電話で確認する。
9月18日(日)午後4時に空きがあった。とりあえず押さえさせてもらって明日10時に打合せの予約を入れてくれた。
ここまでは順調。潤さんは仕事でいつもタイトな中でスケジュールを調整しているから慣れている。
「結婚式にはお母さんご夫妻、それと僕は竹本室長に出席をお願いしようと思う。式の後、5人で食事すればいいんじゃないかな。それと婚姻届の署名はお母さんと竹本室長にお願いしよう」
「それは良い考えです」
「結婚式の日は都内のホテルに泊まろう。次の日、区役所に婚姻届を出しに行こう」
「はい、素敵です」
「それから次の週には内示が出ているから、休日に二人で転勤先の住まいの下見に行こう」
「はい」
「それから引越しの予約をしておかないといけないね。それぞれ自分の荷物の整理もしておいかないと」
「確かに随分忙しいですね。スケジュールどおりになるように頑張ります」
「美沙ちゃんが辞めることは、室長に結婚式の出席をお願いするときに話しておくけど、美沙ちゃんはしばらく口外しない方が良いと思う。もちろん、結婚の話もしない方がいい。送別会があるからそこで発表しよう。それまでは内緒にしておこう」
「分かりました。言うとおりにします。さすがにすごい気配りですね」
「美沙ちゃんに不愉快な思いをさせたくないから、それまで自然に振舞っていて」
「ありがとうございます。ブレスレットは着けていてもいいですか」
「もちろん、そうしてほしい」
私の作って来たお弁当を食べてから、二人で銀座へ婚約指輪と結婚指輪を買いに出かけた。
婚約指輪は給料の3ケ月分と言われているけど、私は気にいったものを買ってほしいと言って、かなり安いものを選んだ。潤さんはデザインがほぼ同じで値段が高いものを買ってくれた。
小さなダイヤモンドが指輪を取り巻いて、キラキラ輝いている。私の指にぴったりのサイズがあったので、それをそのまま指にはめて帰ることにした。
結婚指輪も私の選んだデザインにしてくれた。サイズ合せと文字をいれるので1週間後に出来上がるとのこと。
私は何度も婚約指輪をかざしてみていた。それから、腕を組んでウインドウショッピングしながらぶらぶら歩いた。
「今日は僕のところに泊っていかないか? 婚約したんだから、二人でゆっくり過ごしたい」
「はい、でも着替えなどを取りに一旦家へ帰ります。それから夕食のために何か買ってきます。簡単ですが夕食をつくります」
「ありがとう」
私は服を着替えてからすぐに戻ってきた。手にはバッグとスーパーのレジ袋を持っている。部屋に入るとすぐに抱きしめられてキス。私はしがみ付く。気が済むまで抱き合ってキスを続ける。
二人の気持ちが落ちついたころ、潤さんはスケジュール表を見せてくれた。
9月1日(木)内々示
9月2日(金)プロポーズ
9月3日(土)スケジュール打合せ、婚約指輪・結婚指輪購入
9月4日(日)結婚式場打合せ、お母さん夫婦への挨拶
9月5日(月)室長への婚約の報告と式への出席、婚姻届の署名を依頼
9月18日(日)1時出発、2時到着、3時来客到着、4時結婚式、5時30分食事会、7時30分ホテル着
9月19日(月)婚姻届提出
9月20日(火)異動内示、会社への扶養申請、住居紹介依頼
9月25日(日)転居先下見
9月26日(月)茨木研究所打合せ
9月30日(金)赴任日、社内挨拶回り、送別会
10月1日(土)10時:美沙引越荷物搬出、1時:潤引越荷物搬出、2時:赴任地へ移動、駅前のホテル宿泊
10月2日(日)10時:引越荷物搬入
10月3日(月)着任
これなら何とかなりそう。
それから、私は夕食の準備を始めた。
「まだ、暑いのでソーメンにします。それに鶏肉の照り焼きと和風サラダ」
「おいしそう」
「この前に泊まったときに冷蔵庫と冷凍庫の中を調べておいたので、あり合わせで作りますが、すぐに出来ます」
手際よく料理を作って座卓に並べる。ここが腕の見せ所。それから缶ビールで乾杯。
「この指輪すごく素敵で気に入っています。ありがとう」
「デザインが良いね」
「私、指輪をすることがなかったので、落としてしまわないか心配で、あれからずっと右手で触って嵌っているのを確認しています」
「落ちないと思うけど、そんなに喜んでもらって大切にしてくれて、嬉しいよ」
「こうして触っていると嬉しくて、嬉しくて、ありがとう」
食事が済んで、私が後片付けをしている間に、潤さんはベッドメイキング。「先にシャワーを使わせて下さい」と言って、私は浴室へ入った。すぐに潤さんが浴室に入ってきた。
「一緒にシャワーを浴びたい。洗ってあげるから」
「いや、恥ずかしい」
私はその場にしゃがみ込んだ。浴室に一緒に入るのは初めてで恥ずかしかった。潤さんもしゃがみ込んで抱きしめてキスをする。 私はもうあきらめて「じゃあ洗って下さい」と立ち上がった。
いつも明かりを落として愛し合っていたので、潤さんは裸の私を明るい所で見るのが初めてなのでじっと見ている。恥ずかしい。
スポンジに石鹸をつけて、背中を洗い、前を向かせて胸から洗ってくれる。もう観念してなすがままになっている。石鹸を洗い流すと今度は潤さんを洗ってあげる。背中から前、下半身も洗ってあげる。それから、二人また抱き合ってキス。
それから、バスタオルでお互いの身体を拭き合って、潤さんはバスタオルにくるまった私を抱きあげて、ベッドへ運んだ。私はずっと潤さんの顔を見ている。潤さんも私を見ている。それから二人だけの長い夜を過ごした。
私は丸まって潤さんに後ろから抱かれている。こうして肌をふれあって寝ていると安らかな気持ちになる。潤さんはゆっくり私の身体を撫でていてくれる。私はじっとして動かない。
「疲れたの?」
「いいえ、こうして肌が触れ合っていると、心地よくて、安心して、ずっとこのままでいたくて」
「同じことを考えていた」
「本当?」
「ああ」
「ずっとこのままでいよう」
二人はいつの間にか眠りに落ちたみたい。
ブログにはあとからこう書き込んだ。
〖婚約してから初めて二人で一緒に寝た〗
コメント欄
[ゆっくり眠れた?]
[二人で眠るっていいよね!]
[あまり入れ込まないように注意して!]