人間には、必ず足りないところがある。
だからこそ、それを持っている人に惹かれるとしたら、、、
それは、とても、切なく悲しいものなのではないか。
だからこそ、自分の持っていないところを持ってる人を人は探す。
これは、そんな私の出逢いのお話。
そんな出逢いが、世界の歯車を回すとしたら、世界の平穏を優先するのだろうか?
それとも、その欲のまま、その出逢いを大事にして、人間たちは、突き進むのか?
果たして、周りのものは止めるのか、進めるのか?
苦渋の決断であったとしても選び切れるのか?
人間の心理とはなんとも不思議なものだ。
これから、始まる物語は後世まで紡がれる、ロミオとジュリエットのような運命の話。
1章
2000と数十年がすぎた。
4月。
今の地球は、平和といえるだろう。
(地球温暖化などを除く)
そんな世界の中生きる私は、平和。
と言いたいところだが、今の私の気持ちはまるで私の心にだけ天変地異が起きたあとのように荒れ果てて、荒んでいた。
なぜ、こうもら私の気持ちが、荒れているのかって。
それはね、私の両親が、要領が悪く出来の悪い私と、要領がよくそして優秀な妹とを比較し続けてきたからだ。
それも両親によるスパルタ教育を妹もやり始めてからずっとだ。
妹がやり始める前もそりゃあ怒られることはたくさんあった。
だけど、それでも妹が初めてからというもの以上だった。
妹よりもテストの点数が悪かったら食事を抜かれることなどざらにあった。
妹よりも掃除が下手だったり、料理の味が落ちていたり、時間がかかっていたりすると問答無用で父から鞭が振るわれた。
でもそんなたくさんあった辛いことの中でも私が1番傷ついたのは、両親に言われた言葉だった。
ある日の深夜私は喉が渇いて下に飲み物を飲みに行った時、両親が話しているのを聞いてしまったのだ。
「なぜ、みうはこうも凛愛よりも要領が悪いんだ。りあが早く産まれればよかったのに。」
父がため息を吐きながらそう溢す。
「本当になんで、姉妹でこんなに出来が違うのかしら。
誰の血を引き継いだらあんな子が産まれるのかしら。」
先程の父の言葉に同意するかのように付け加えた。
とうの本人が聞いているとは思いもしていないのだろうが、私には両親が私にわざと言っているんだとそう思いたくて仕方なかった。
両親は私がもっと努力して欲しいからそのためにわざと心にもないことを言っている。
そう思わないと私は生きていけないと感じた。
桜が咲いている季節と言うべきだろうか。
空虚な日々を過ごす私とは無縁とは思う。
しかし、公園には人が沢山いて、笑顔を浮かべている。
それを、見るとどうしても自分と比較をしてしまうのだ。
私とあの人たちとでは何が違くて、何をすればいいのか?と。
そう思わずにはいられぬのだ。
今の時期には花見客が多い。
それを見て、笑顔を見るだけで、気分が悪くなる。
こんな事を思う自分に虚しく思うが、思わずにはいられないのだ。
なぜなら花見は一人では成り立たないからだ。
ようするに、友達も恋人もましてや家族の仲の冷え切っている私には縁のない出来事なのだ。
しかし、現実はできないとしても、私はしたくてたまらないのだ。
自分にはそういう機会は一生なにのだろうか?
する友達も恋人もできることはないのだろうか?
花見をすることはできないのか?
そう思わずにいられない。
だれにもこの気持ちは理解されることがないだろう。
そして誰からも理解されなくていい。
こんな自分の醜い心なんか一生誰にだって見せなくたっていいと思った。
花見を楽しむ人達の笑顔をみて、嫉妬する醜い心なんて。
花見の時期によく聞くリア充と言う言葉。
私は「リア充」その言葉を聞くと余計に嫌な気持ちになる。
世界は平等でないのはなぜなのだ?
自分の長所はなんなのだろうか?
自分のいる意味なんなのだろうか?
私がここにいてもいいという理由はなんなのだろうか?
私の存在はなんなのだろうか?
誰か教えてはくれないだろうか。
だが、天からそういう言葉は降ってはこない。
はたまたそういった仲のいい友達がいるわけでもない。
そう、私の日常は、非リアといえば、自分!だと言えるくらいには充実していない。
趣味という趣味もない。
ただただ、両親に言われたノルマをこなし、暇な時間はただのんびりとスマホと向き合う毎日。
そんな無味乾燥とした日々を過ごしているのが私なのだ。
きっと誰よりも空虚な時を過ごしていると言い切れるくらいには、自分が時間を無駄にしている自覚もあった。
自分が生きる理由は見出せず。
ただ何かをこなすだけ。
ただ、自分は何者なのか考える日々。
自分が人間なのかすらわからなくなったりする。
ただ、ノルマをこなし、スマホを使うだけの自分にいいところなどあるのだろうか?とただただ考える日々だった。
ようやく花見が終わる頃だ。
春は別れの季節だ。
そして、出会いの季節でもある。
そんな日々が変わることになるなんて思ってすらいなかった。
出会いの季節である春だからこそ出会えたかもしれない奇跡でもある。
2章
申し遅れました。
私の名前は、鳥石 みうです。
いつか、話の合う友達に会いたいと考えております。
しかし、もう諦めかけております。
なぜなら、私の家は家格が高いが故に、話しかけてくる人もおらず、人を緊張させてしまうのが1番の要因でございます。
そして、もう1つの原因が私自身でございます。
私は、クラスの方と話す際に緊張してしまい、それがクラスの方を余計に恐れさせるのに繋がっている気がします。
私の家、鳥石家は由緒正しき家で、鳥石家は代々続く老舗の旅館を経営しております。
ですが、私は、礼儀や教養が少々苦手なっておらず、両親に日々指導をしていただいております。
私には1つ下の妹がおりまして、妹の名前は凛愛とという名でございます。
凛愛は私よりも礼儀、教養、作法に関しても抜かり無く出来るため、両親からもよく褒められております。
そんな凛愛は私の両親からは、もちろん誰からも愛される子でございます。
(私の妹とはとてもじゃないが思えないくらいに…。)
その分といいますか、私には、両親が冷たく接することもあります。
ですが、そこまで気にしていません。
でも時々ふと思ってしまうのです。
もし私が凛愛のように何事もそつなくこなせていたら、両親も私への対応が違ったのではないか?と。
そう思えずにはいられないのです。
ですが現実にそんなことが起こるはずもないわけでして、現在でも私は凛愛には遠く及ばず、だから、怒られてばかりなのでしょう。
この事実が変わる事も覆ることはないので、最近は考えないようにしております。
全て器用にこなせない私が悪いのですから。
それでも、時たま悲しくなってこういう先程のような事を考えながら作業する時もあります。
すごいネガティブなのは自覚していますよ。
でもしょうがないではありませんか。
私自身が褒められた経験が数えられるくらいにしかないのですから。
私が敬語なのは、両親の英才教育によるものです。
それが、いいことなのか悪いことなのかは人によって感じ方も違うと思うので分かりませんが…。
きっと私が少しネガティブなのは、私が生活するための、生きるために残した1つの人格なのかもしれないですね。
だからきっとネガティブな考え方だってそれすらもしっかりとした私自身なのでしょう。
でも普段はこんなことは考えられないくらいに、私の両親は教育は厳しいので私が気が緩んでいる場合しかできませんが。
凛愛はどんどんその厳しい教育に、弱音を吐かず、メキメキと上達していくのです。
凛愛は純真無垢な笑顔のまま取り組みどんどん私との学力や所作にも差が出てきた。
そして凛愛もだんだん、両親の教育の影響なのか、凛愛がこなしていることをこなせない私をバカにするかのように、会うたびに小さく笑われる。
それは、私を嘲笑うかのような。
私は家にいるのが怖くなった。
両親は言われたことを綺麗にこなせない私に怒鳴る。
凛愛は両親に怒られている姿を見ると笑った。
いつしか頭の思考も無くなった。
3章
それから、2年後。
私は中学2年生になった。
そして、親友ができた。
その子の名前は璃乃。
柚木坂 璃乃。
璃乃は、笑顔が可愛くて、とても優しい子だ。
私には勿体ないと思ってしまうほどに。
璃乃は、中1の12月に転校してきた、転校生。
でも、璃乃は転校生とは思えないほどに、クラスで地位を確約していた。
璃乃はルックスにおいても、優れていて、冗談抜きにしても、私と親友でずっといてくれる璃乃には感謝しかない。
常日頃、クラスでは柚木坂さんという声があちこちから聞こえる気がする。
そんな、璃乃といつも一緒にいる私はというと小心者なので、いつもビクビクして璃乃と話している。
でも、璃乃と話すのは心地よくて、璃乃と話してる間は、そんな、クラスの声も何も気にならなかった。
璃乃と仲良くなって、半年ぐらいたったころだろうか。
そんなある日、璃乃に言われた。
「ある男の子と会って欲しいの。」
と、璃乃から言われたので、私は誰だろ?
と思いながらも、璃乃のいうある男の子に会ってみると決めた。
そして、翌日。
土曜日だ。
璃乃に言われた通りに家を出て、鳥石家の別邸へ向かう。
いちよ、親からは許可をもらい、1日璃乃とお泊まりとなった。
私は嬉しくなった。
そして、璃乃が来た。
すると璃乃の後ろに隠れてる男の子がいた。
身長は私と同じくらいで同い年だった。
私は決して身長が高い方ではなかったので彼の身長に驚いた。
話してみると、璃乃のご近所さんらしかった。
彼氏では…なかったみたいだ。
そして、話してみると私と何もかもが逆だった。
でも1つ確実に同じなのは、誕生日だった。
そして話していると自分の心臓が痛いくらい鳴り響いている。
そんな初めての感情にびっくりしつつ璃乃に目を向けると愛しそうに私達の事を見つめていることに気づいた。
思い返して見ると彼も来た時に璃乃に笑いかけていた。
きっと璃乃の事が好きなのだろう。
彼の名前は、
「位子川 うみ 」
という名前だった。
私は、 うみくん に惹かれた。
もっとたくさん話したい。
知りたい。
笑顔を見たい。
どんどんそんな願いが溢れてくる。
これが俗にいう一目惚れなのだと見た瞬間に気付いた。
けど最初の笑みで私の口角は上がり、笑顔になった気がする。
こんなに口角が上がったのはいつぶりだろうか。
それは、微笑ましことだ。
また、それと同時にみうがとても辛い状態だった事が読み取れる。
私は表情に感情を露わにする事は、本当に小さい頃以来してないのかもしれない。
だから、今の笑顔は、口角がそこまで上がっていないのかもしれない。
綺麗じゃなくて、不気味かもしれない。
けれども、仕方のない事だと思う。
私は、きっと久しぶりのことすぎて、笑い方を忘れたしまったのだろう。
だから、口角が上がっている気がしても、少し新鮮で、なつかしいと感じたんだと思う。
でも私の口角が上がったとはいえ彼がりのにむけた笑顔をおもいだすと、瞬時にあ、彼は璃乃の事が好きなのだと思った。
その瞬間私の胸は、締め付けられたかのように苦しくなった。
そして顔が少し歪んでしまったかもしれないとハッとした。
でも愛想笑いを得意としていた私はすぐに偽の微笑みをする。
色恋沙汰に疎い私でもすぐわかるほどの笑顔だった。
でもそれに自分は惚れてしまったのだと。
後悔しても遅いものは遅い。
でも、璃乃と うみくん が付き合ってるならあんまり仲良くならない方がいいと言いくるめ、もう会う事もないだろうと思い初めての感情を封じ込める。
空は、赤く霞んだ夕暮れに、高らかに声をあげて叫ぼうと思った。
でも うみくん がいる中と思った瞬間諦めた。
だけど心の中でこの決意を叫んだ。
すると、雲が少しだけ夕暮れの中から減り少しだけ澄んだ気がした。
4章
そして、1ヶ月後の夜明け。
夜が明けると、学校に行かなければならない。
と思うと憂鬱で仕方ない。
正直にいうと うみくん には何度も会った。
そして、会うごとに感じてしまう、この感情。
とても醜い感情。
璃乃に対しての苛立ち。
きっと嫉妬と言う感情だと思うが、嫉妬というには、とても醜いと思い、違うなと脳内で否定する。
大好きな璃乃に強く当たってしまうかもしれない。
その恐怖と、湧き上がるこの感情は歯止めを知らない。
ー話は映る。ー
昔こういうことを聞いたことがある。
「恋をすると胸が高まり、そして少しのことで彼に近い人に激しい怒りや苛立ちを覚える。
それを人は嫉妬と呼ぶと。」
という話をずっと前に聞いたことがある気がする。
いつ聞いたのか誰に聞いたのか思い返せないが。
でも、きっと今重要なのは、そこではない。
この感情がなんなのかこれで近づけるのではないか。
今私が抱いてる思いは嫉妬ではないのか、うみくんが取られたことによるものなのか、璃乃がうみくんにとられているからなのか定かではないがきっと前者が正しいのだろう。
そう考え始めたらそれとしか思えなくなってくる、嫉妬なのだとしたら私はうみくんに友情として好きではなく、恋情の方の好きを抱いているということになる。
だけど、うみくんは璃乃が好きなのだ。
みうには璃乃とうみくんと接する時果たしてどうすればいいのか分からなかった。
恋というものをしたら誰もがなるのだとしたら、恋とはなんて恐ろしいんだと恐怖すら感じられてきた。
でも嫉妬とは何かわからない。
だけどみうにそれを誰かに聞く勇気もなく、結局偏見の混じった解釈に留まっている。
大好きな璃乃にこんな事は思った事ないし思うこともないと思った。
それでもこの気持ちは止まる事を知らない。
ただただ自分の心をその気持ちで侵食していく。
でもそんな自分が嫌で仕方ない。
両親にはなんの感情もないが、私のことをいつも気にかけてくれる璃乃と親友なのは嬉しく思っていた。
それが、自分には勿体ないとさえ思っていた。
だからこそ璃乃に嫉妬という醜い感情なんて抱きたくなかった。
だけど、この気持ちは璃乃には伝えられないし、伝えたくない、だって大切で大好きなんだから。失望なんてまっぴらごめんだ、傷つけたくもないし、傷つきたくもない、それなら何も伝えなければいい。
こんなことを思ってしまう自分がとても情けなく思えてくる。だけどみうにはこの状況の解決策がこれ以外思いつかなかった。
そんな事を考えてるうちにだんだんと外が暗くなっていることに気づく。
もう門限の時間まで30分もない。早く帰らなければいけない。でなければまた両親に怒鳴られ、野次られるに決まっている、だけど何故かみうの足取りはいつもよりも軽い。今外で悩むよりも家に行って忙しい方が気が紛れるし、他のことを考えられるから楽だった。
家に帰ったあと、全て事が済んだあとに、大好きな璃乃への嫉妬心を沈めるかの如く、璃乃とlimeでたくさん話をした。話してる間には明日が学校があることなど、忘れられたし、両親のことなど辛いことなど全て忘れて璃乃との会話を楽しむことができた。だけど楽しいことの後には試練があると言うように、明日も学校があると思うと憂鬱で仕方なかった。limeでは話せても面と向かって話すのは学校に行ってからなのだから。
そして、そんな人任せな考えをする自分にまた嫌気がさした。
璃乃に会うことを憂鬱に思う事は2、3年だが、親友をやってきたけど今まで一度たりとも感じた事はなかった。
璃乃と喧嘩した時でさえ、早く仲直りしたいと思ったり、嫌いになった事は1度もない。
もちろん今もない。
けど、璃乃に合う事を憂鬱にいま、思っているのだ。
すごく、申し訳なかった。
そして、親友として失格なのではと思った。
そして、この気持ちが嫌いで嬉しい不思議で初めての気持ちでみう自身が1番驚いていた。
でも唯一の友達璃乃に話せるわけもない。
だから私はこの気持ちを抱えて過ごすことになる。
でも、前みたいに、璃乃と話すことにしか楽しみを感じなかった。
私からしたら、私はこれがとても楽しかった。
それでも、学校に行くのは嫌だった。
大好きな璃乃に当たるのはとてつもなく嫌だった。
それに、それ以上に、璃乃にこんなことをする醜い私が嫌だった。
それでも朝になると家にいるのが嫌になり、足が勝手に動き出す。
学校まで歩く間、璃乃と話すことを考えながら、足を進めた。
だが、校門を前にして、 うみくん のことを思い出す。
また、璃乃に嫉妬する自分も思い出された。
でも、ここまで来て帰るわけにも行かない。
と思い足を進める。
案の定璃乃はまだ学校には来ていなかった。
でも周りからは訝しげな目でみられている事に気づく。
そして、周りは璃乃の目を盗み。
私がいない時を狙って私に聞こえるくらいの声量で陰口を言ってきた。
内容は予想通りのものだった。
「柚木坂さんしか友達いないのに柚木坂さん避けるとか頭どうかしてるよ。
名前なんだっけあの子。」
璃乃と仲良い子程訳わからないという顔をしていった。
「あー鳥石家のご令嬢か。
クラスで影も薄くて忘れてた。
それに友達も1人だけなの哀れだわ。
柚木坂さんみたいに可愛い子を独り占めするからだよね。」
クラスのみんなと関わって来なかったため当然の反応のはずなのに気分が落ち込む。
それと同時に後悔した。
もっとたくさん関わってくればよかった。
今からじゃ間に合わないだろうか。
きっと私には手遅れなのだろうと思って諦める。
このことがこの後覆るとはみうには想像すらできなかった。
確かに私が友達が璃乃しかいないのは合っている。
そして、璃乃が可愛いのも、私が影も薄いのも事実だ。
私は自己主張が強いタイプではなかった。
ので私は彼女たちに何も言い返せなかった。
そして、璃乃が気を使ってか、 うみくん と会うのを少しの間だけ、止めてくれた。
それにより璃乃への嫉妬心は少しづつだけど収まり、璃乃と普通に話せるまで回復した。
まず最初に璃乃に言った事は、もちろん璃乃を避け続けたことへの謝罪だ。
「璃乃、最近までわ、私、は、あ、あなたに」
と言いかけたときに、璃乃が何を言おうとしているのか読んだのか、私の話を止めた。
「ねぇ、みうこの前までのことなら気にしてない。
それに、いきなりのことで気持ちがついていかなかったのも分かってるから。
ね、謝らないで。
それにこの前のことは私が誘ったことだし。」
と言われた。
私はこの大好きな親友がいつも以上にキラキラ輝いて見えた。
謝らなくていいと言われたとはいえ、私はこれまでの事を全て璃乃に打ち明けた。
そしたら、何故だか璃乃は
「そうだったんだ。
みうの恋応援するね!
それにしても嫉妬でこんなになっちゃうなんて本当みうは可愛いよね〜。
羨ましいくらいだよ。」
と言った。
え、と待って。
思考が追いつかない。
この感情が可愛い。
璃乃が私を羨ましい?
えーとどこからかえそう?
私は意を決して口を開く。
「嫉妬が可愛いわけないですよ。
醜い感情ですよ。
璃乃にこんな事してしまった私が可愛いわけないですよ。
私は璃乃の方が羨ましいですよ。」
と言って後悔した。
「嫉妬って見てる側からしたら可愛いんだだよね。
まだ気にしてたの?
私も悪いんだからさ…。」
そんな会話をしているうちに私は眠りについてしまった。
そして、少し日にちが空いた頃。
親からの差別も毎日続く中1つ問題が解決する。
すると、また一難と問題はやってきた。
そう、璃乃からまた、お誘いを受けた。
でも、璃乃は私の顔をずっと伺ってくれていたから。
璃乃は私のことを心配してくれてなのはすごく伝わってきた。
私はまた、璃乃に嫉妬してしまわないか心配だった。
しかし、璃乃がされた本人なのだから、それを組んでも璃乃が誘う。
ということは、やはり、行くべきだろうとも。
だから、私はたくさん頭の中で悩み結論を叩き出した。
その間、1秒弱。これはみうの両親の教育のたまものと言える思考回路だろう。
もちろん答えは、
「行きま、、、す。」
との答えを自分の頭で確かめながら声に出した。
そして翌日またあの場所へと向かう。
いつもはすごく嫌だったその場所は璃乃と来た時も同じ気持ちになるのに、 うみくん がくると安心していつもより気分が楽になる。
なぜだかはわからなかったが、 うみくん と会うのは私にとって必要なことなのかもしれないとも思った。
私は璃乃に自分ができる最大限の笑顔で微笑んで、
「うみくんと合わせてくれてありがとうございます。
璃乃大好きです。
いつもありがとうございます。」
と言った。
すると璃乃はよほど驚いたのか時間を置いたあと私の顔を伺い始めた。
そして、璃乃の端正な顔がどんどん緩み、たちまち満面の笑みを浮かべていた。
彼女は、よく笑顔を浮かべる子だったがここまでの笑顔は見たことがないはずなのだ。
なのに、どこかで見たことがある気がしてならない。
でも、こんなに考えてもわからないなら諦めるかと私は諦めた。
そして、璃乃とうみくんと楽しいひと時を過ごす。
時は簡単に過ぎていくもので、あの家に帰らなくてはならないと猶予の時間は刻一刻と迫っている、
そう思うと憂鬱でたまらない。
そして、大嫌いな家で1日を過ごす。
また、あそこでのひと時を過ごしたいなと思いながら。
5章
翌日のそのまた翌日。
今日は学校で璃乃にまた嫉妬してしまわないかと、という緊張から1つ1つの動きがロボットみたいな動きをしている。
結果から言えば、今回はしなかった。
しかし、緊張からのロボットみたいな動きが璃乃は気になったのか、
「みうどうかしたの?」
と聞かれてしまった。
それを聞かれた瞬間恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤に染まる。
そんな私を見て璃乃はたちまち声を出して笑いだした。
でも、その笑顔はこの前の安堵したような、そんな心からの笑顔には、程遠いが、璃乃の笑顔に私も笑顔になる。
言わなくてもわかるかもしれないが、私は璃乃の笑った顔が物凄く大好きだ。
そんなことは置いといて、私はそんな璃乃の笑顔に安心して、家に帰る。
だが、家の玄関先まで来ると、そんなことは忘れて家まで進んでいた時のように軽快に足は進まなかった。
そして、重々しい足へと変わる。その足から伝わるのは、恐怖と嫌という感情。
そんな感情で、みうの心は支配される。
でも、入らなきゃ怒られると思い、勇気を振り絞って一歩足を進める。
だけど、そんな一歩は、勇気を振り絞って進めた割には、弱々しかった。
でも、そんな一歩を繰り返し、少しずつそうやって進むとリビングが見えてきた。
そこには、予想通り、顔を真っ赤にして、怒る両親。
そして、それに畏怖し、立ちすくむ私。
といういつも通りの光景になる。
みう には、そんな両親が怒る理由が容易に予想がついた。
そう、親には、みうが雑用係のようにしか見られていない。
いわば、私はメイド。
または召使のようなものなのだ。
でも、私の場合はもっともっと大変だ。
何故なら、メイドならやるべき仕事。
だが、私の場合、親が勝手に決めた理不尽な決まりがあって毎回のように怒られては、蔑まれる。
でも、そんな、理不尽なルールに従わなかったら後々めんどくさいことになる。
それは、これまでの経験上、目に見えてるので、 みう は大人しく説教を受ける。
そしてすぐに作業を行う。
もはやみうにとってこれはルーティーンなのである。
でも、理不尽なルールに従わなければならない時は、もちろん心を無にしてやらなきゃ心が折れてしまう。
みうはまだ中学生なのだし、もっと泣き叫んでもおかしくないという事は、親の教育で大分常識に疎いみうは知らないし、信じなかっただろう。
そんなことをしてるうちに楽しかったことはほとんど辛いことで心が埋まってしまっていた。
辛いことが溜まってしまった時のみうはうみくんの事を考えたら少しだけ楽になり、作業にも少しばかりやる気が出てきて、作業のスピードがあがった。
やっと、作業が終わり、部屋についてベットに横になると、疲れのあまり私はすぐに眠りについた。
次の日学校で璃乃に、声をかけられた。
「き、昨日は、楽しかった?
み、みうが楽しかったらいいなって、、//思ってるだけど、、、」
と言った。
よく璃乃の顔を見てみると、璃乃の顔は赤く染まっていた。
そんな表情をする璃乃の顔は初めてみた。
そんな璃乃がとても可愛く見えて仕方がなかった。
私はあっと、はっとした。
璃乃の可愛さのあまり自分が返事をしていない事を忘れていた。
「も、もちろん楽しかったで、、、す//。
璃乃のおかげで毎日が楽しく思えてき、、ます。」
と返す。
すると、璃乃は目を見開いて、花が咲いたような笑顔で私を見つめた。
そして、
「嬉しい。
ならよかった。」
それはそれは、笑顔で告げられた。
そんな時周りでは、私たち2人を暖かく見守るクラスメイトがいた。
そう、クラスのほとんどの人は陰口を言いつつも本当は、二人の仲が戻ることを心から望んでいた。
でも、 みう と璃乃の焦ったさを見てたら見てられなくなった。
そのあまり、思ってもいない事を言ってしまった事に罪悪感をクラスメイトは感じていた。
そのこともあり、2人の仲が戻ったのを見て、安心をしていた。
では、なぜそんなことを言ってしまったのかと気になる人もいると思う。
ので、時間を2人の間に何もなかったときまで戻してみよう。
やはり、璃乃とクラスメイトは、仲良く話していた。
ここからでは、みうと璃乃の事を心配することなど想像もできないと思う。
だから璃乃と話していないクラスメイト同士の会話を見てみよう。
「ねぇ、さっきの璃乃ちゃんの顔見た。
ずっと鳥石さんの事気にかけてたの、可愛すぎる。」
また、他の人の発言。
「しかも、鳥石さんは鳥石さんで、本を読みつつ璃乃ちゃんの様子を伺ってて、申し訳なく思いつつ、璃乃ちゃんと鳥石さんの2人はずっと仲良く会って欲しいよね。」
と話していた。
束の間あのような事が起きてしまった。
だから、璃乃が悲しそうにしているのもあって、思ってもいない言葉を口にしてしまったのだ。
だからこそ、クラスメイト達はみうに勢いで言ってしまったあまり、罪悪感に駆られていたのだ。
2人はクラスメイトから見ても微笑ましいペアだったのだろう。
そして、私たちは見守られていたのだろうと思う。
と、私の顔は、羞恥心で顔が炎よりも、赤くなっていく。
璃乃も同じことを思ったのか若干いつもより顔が赤い。
そんな璃乃を見て思わず微笑んでいたら、璃乃に怒られてしまった。
「もう、 みう !
今私顔あんま見ないで!」
人の怒りが心地いいなんて変な気分だ。
なんというか、両親達とは違い、本当に悪意を持っていないから感じるのだろうか。
よく分からないが、私にはこのあまり慣れない感覚を嫌だとは思わなかった。
璃乃は私に怒った事は一度もなかったから私は璃乃が、怒ってた事に後々気づき、初めての璃乃が見せてくれた感情に嬉しさ半分嫌われたのかと思い不安になる気持ち半分といった気分になる。
そう私は、両親の説教で、私は怒りという気持ちには、嫌われるといったことだけしか知らないため璃乃の怒りがそうでないといいなと心から願った。
6章
…次の日。
今日は…土曜日。
そう今日はうみくんに会える日。
久しぶりに会えると思うと全然眠りにつけなかった。
でも、何故だか全く眠くなく頭が冴えてさえいる。
そして、私にいい事も悪い事もいろんな感情を与えてくれた場所へと歩く。
今では、そこはトラウマではなく、私の心のよりどころにもなりかけている。
それは、もちろん璃乃が私の事をずっと気にかけてくれたからこその結果だと思っている。
もちろん彼のおかげでもあるが…。
そんな事を考えながら軽快に足を進め目的地へと向かう。
そんな私の感情を示したように、太陽が降り注ぎ青く澄んでいる空。
そうこうしているうちに目的のあの場所に着いた。
そう、鳥石家の別邸。
私自身は、自分自身を鳥石家と名乗りたくもないほど嫌いな名前の表札をつけた家に私は鼻歌を歌いながら門を潜った。
以前の私なら、怖くて入る手前まで行けても怖くて入れなかっただろう。
これも全て2人のおかげだと確信を持って言える。
中に入ると入り口付近にうみくんは佇んでいた。
うみくんも今日を楽しみにしていたのか、うみくんに話しかけるとかえってきた声はいつもより少し弾んでる気がした。
そして、うみくんと共に家に入る。
待つこと数分。家のインターホンが鳴る。
璃乃が来たのだと思うと嬉しくて舞い上がってしまいそうだ。
横をふと見ていると、うみくんも私と同じように満面の笑みを浮かべ璃乃が中に入ってくるのを待っているようだった。
それを見たら胸がチクチクと痛んだ。
それでも、顔に出さないように努めて、笑顔で玄関前に立ち鍵を開けた。
もちろん璃乃に悟られないためにだ。
リビングに来て、リビングで机にみんながかける。
そこには、すでにお茶やお菓子が置いてあった。
きっと、いや絶対鳥石家御用達の使用人が用意してくれたものなのだろう。
使っていなかったとはいえ鳥石家所有の別荘のため、手入れをする人や、そこに住む代わりに手入れする使用人がいる。
ということがすっかり頭から抜けていた。
そんなことを考えていると、その使用人に声をかけられた。
「みう様!
そちらの少年はどなたなのでしょうか?
みう様がこの屋敷に入られたのなんていつぶりでしょうか?
みう様のご友人も変わりつつあるということでしょうかね?」
と質問を投げかけられた。
きっと使用人は、久しぶりに私が来てびっくりしているのだろう。
そんなことを思いつつ使用人からの質問を丁寧に1つづつ返していく。
最近璃乃と近くに来て庭や公園にはいたものの、中には入らなかったため、懐かしく思ったのだということで、この場をおさめ、使用人を一度外に出す。
今日はうみくんと璃乃と話に来たのだ。
邪魔されてはたまったもんじゃない。
ようやく一息ついてお茶を飲めると思っていたら、衝撃的な話が璃乃の口から出てきて驚いた。
内容はというと、好きな人ができたとの話しだった。
きっと、信じたくはないけど、うみくんなのだと思うと、聞きたくなくて、璃乃が喋ってるのに話しが入ってこない。
そのことを察したのか、璃乃が私に声をかけてきた。
その声が聞こえたのは、少し時間をおいて、頭が冷静になった頃だ。
「みう、みう、聞いてる?」
と声をかけていた。
やっと、冷静になり、返答をしようと重たい口を開く。
「ごめんなさい。
少し考え事をしてて聞こえませんでした。
もう1回話してもらえますか?」
と、緊張もしていたのに、しっかりと、璃乃に伝えることができた。
璃乃が少し呆れたように、溜め息をついた。
「しょうがないな。
どこから話せばいい?」
と聞いた。
私は、うみくんだったらどうしようなどと、悩んでいたのに、璃乃は私の話につきあってくれるのかと思うと、少し嬉しく感じた。
そんなことを考えていると、また、聞き逃してしまいそうだと思い、返答をしなくてはと思い、どこからかを切り出す。
「確か、すきな人がいる。
と璃乃が言っていたところだと思います。
曖昧ですが、すいません。」
と答えた。
こんなにも話を聞いてなかったのだろうと思われただろうか。
それとも、人の話を聞かない人だと思われただろうか。
そんな事を考えながら話していたせいか、声は震えていた。
璃乃は、考えたのか、言葉を発する。
「あー、そこからね。
そこからってなんか恥ずかしいな。
今度は聞き逃さないでよ。」
と璃乃は言った。
やっぱり璃乃はどこまでも優しくて気遣いができるのだなと改めて実感した。
そして、これから言われるであろう、璃乃のすきな人がうみくんと言われると思うと少し怖い。
けど、璃乃の話を今度こそは、しっかりと聞くと、心に決めた。
私が心に決めて数秒後に璃乃は話始めた。
「私すきな人ができた。
それでその人と付き合うことができたんだ。
同じクラスの子なんだけど...。」
恥ずかしいのか、ここで一度璃乃の言葉は止まる。
私はというと、うみくんではなかったのかと、少し嬉しく思った。
もちろん少しだ。
少しじゃなかったとしたら…。
もしそうだとしてもそれを少しじゃないと認めてしまったら、自己嫌悪に陥る。
私は、十中八九そうなるだろうと思ったのもある。
それに、自己嫌悪に陥ってしまって、気分が沈んでいたら、璃乃に気を遣わせてしまう。
そう思うとなお少しとして認める他なかった。
唯一の友達の彼氏が好きな人じゃなくてよかったなんていう、 私の醜い心の内は璃乃には曝け出せない。
とそう思ったから。
あくまで少しということにして自分の心を宥める。
そして、璃乃の恋を応援しようと思った。
そんな事を考え、少し時間をおくと誰なのかまだ聞いてないと思った私は璃乃に聞いていない事を思い出したので璃乃に聞いてみることにした。
「ちなみに璃乃の好きな人?
と言いますか。
お付き合いしてる人は誰なんでしょうか?」
と聞いてみると、璃乃は来ると思ってたのか、その恥ずかしさのせいなのだろう、顔を俯かせていた。
心なしか、璃乃な顔はほんのり赤くなっていて、私はそんな親友を可愛いなと無意識に思っていた。
そして、意を決したのか、璃乃は喋る。
「私のお付き合いしてる人は....実はくうちゃんなの。」
私は同じクラスメイトとの関わりが薄かったため、あだ名で言われてもわからなかった。
けど、璃乃は恥ずかしくて、フルではどうしても言えなかったのだろう。
だから、あだ名で紹介したのだろうと思うと、わからなかったからもう一度とはやっぱり言い出せなかった。
でも、璃乃は私が誰かわかってないのを見抜いたのか、丁寧に教えてくれた。
くうが
「山瀬 來優雅くんね!みんなくうちゃんって読んでるからあだ名で言っちゃったごめんね!」
と璃乃は顔を真っ赤にしながら、告げた。
そして、私は山瀬くんかと思い、彼のことを思い出し自分のわかる彼の性格とかを思い出した。
そして、私は余計に2人の恋を応援したくなった。
「璃乃と山瀬くんですか。お似合いですね。私は2人の恋を応援してます。」
というと、璃乃照れ臭そうに顔を隠した。
顔が真っ赤に染まる璃乃を見ることはなかなかないので、貴重なシーンだなと思い直し、やはり可愛いなと思ってしまうのだった。
璃乃の明るく可愛くて優しい性格に、山瀬くんの物静かだけどしっかりしててかっこいい性格はやはりお似合いだなと思った。
ふと、うみくんの顔を見ると、なぜだかホッとしたかのような顔をしていた。
私はうみくんのその顔の意味がわからなかった。
でも、自分で考えてもわからないと思ったから、深く考えないことにした。
その夜は、少しの罪悪感に近い自分に対しての絶望に苛まれながらどんよりと曇った夜空に落ちていくような感覚に陥りながら眠りについた。
やっぱり朝になっても私の心は罪悪感に近い絶望と、璃乃の彼氏がうみくんじゃなくてよかったという喜びの間に挟まれ自分の気持ちと葛藤していた。
7章
翌日学校に着くと、璃乃と山瀬くんが仲良さげに話していた。
それを見たクラスメイト達は、普段話していない、2人の関係を微笑ましげに見守っていた。
やっぱり璃乃ちゃんと山瀬くんってお似合いだよね。
クラスの人気者カップルって感じなどと、クラス内では、その日1日中、璃乃と山瀬くんの話題で持ちきりだった。
かという、私は、付き合いたての2人を邪魔してまで、話す勇気もなく、璃乃が転校する前のような学校生活に戻った。…気がしていた。
璃乃が転校する前。
私は、友達と呼べる人もいなかったので、休み時間でも、何でも暇さえあれば読書を進めていた。
それが、璃乃が来てからこんなに変わったのかと思うと、璃乃には改めて感謝の気持ちが浮かぶ。
でも、2人が付き合ったとはいえ、これから璃乃と話す機会が減るのかと思うと、涙が出そうになる。
きっと璃乃と関わってから、クラスのみんなの私への印象は少しでもいい方向に傾いたのだろうか?
確かな事はわからないが、少しでもいい方向に傾いていたらいいと思う。
すると、クラスの数名の女の子に声をかけられた。
璃乃と仲良いクラスメイトの子達は、
「鳥石さん、璃乃ちゃんと鳥石さんが話しているの日常化し過ぎて、山瀬くんと璃乃ちゃんが一緒にいるのまだ慣れないんだよね。」
と言った。
そして、私は
「そうですね。璃乃とは基本学校で毎日話していたので、なんだか不思議で慣れないですね。それに、いつも璃乃と話しているので、最近話せてないので、少し悲しいです。」
と言う。
私は最近自分が思っていた事に似た事を思っている子がいて、なんだか嬉しくなったからか、心なしかいつもより少し弾んだ声が出た。
そして、山瀬くんと璃乃が一緒にいることにクラス全体が馴染んで来るとともに私はクラスの子と前よりも話すようになった。
小さいかもしれないけど私の中ではすごく嬉しい出来事だった。
山瀬くんと璃乃がいる時間が増えたと言うことは、当然みうと璃乃が話す時間は格段に減った。
ただ親交が決してないわけではなかったが、前よりは減ったのには山瀬くんと璃乃が一緒にいるからだけではなかった。
みうが気を遣って璃乃とは少し距離を置いていたのだ。
だから、自ずとうみくんと会うことはすごく減った。
みうはとても悲しかったけどただ親友のためを思って言い出せずにいた。
しかし、璃乃はそんなみうの心情を汲み取ったのか、授業の合間に、
「また、日曜あそこ行かない??」
と誘った。
私は驚きのあまり持っていた教科書を落としてしまった。
まさか、璃乃にここで話しかけられるとは思わず、もううみくんと会う機会はなくなるだろうと思っていたのにだ。
いきなり、そんな事を言われたのに、みうの答えはすでに決まっていた。
「もちろん行きます。」
ただ、言った後に、少し後悔した。
璃乃と山瀬くんの邪魔は絶対にしないと決めていたのに、いいよと返してしまった事を思うと親友の事を本当に考えているのか、心配でたまらない。
けど行くと言ったからには楽しむしかない。
璃乃は嬉しそうに
「じゃあまた日曜日ね!待ち合わせはいつもの場所ね」
と言って授業へと向かっていく。
みうは璃乃と久しぶりに話せて嬉しくていつもはしないガッツポーズをした。
と、授業に遅れる事に気づいたみうはすぐに、授業の教室へと向かう。
みうの回想
柚木坂 璃乃。
彼女は、転校初日から、不思議な子だった。
なぜなら、璃乃は転校初日、教室に入ると、周りを見渡した。
そして、私の席近くに、目線を移すとすごく驚いた顔をして、転校生は、持っているカバンを落とした。
それは、まるで会えると思っていなかった好きな人にでも、会ったかのような反応で、私は思わず周りを見渡す。
しかし、クラスの子は、大丈夫かな?と心配そうな顔をしている人や、転校生に興味津々の人などいろんな人がいたが、しかし、転校生を見て、びっくりしているような人は見受けられなかった。
転校生はようやく我にかえったのか、先生の心配するような問いかけに、
「すいません。考え事をしていて。」
と答えた。
その後、転校生は自己紹介をし始めた。
転校生の名前は、「由木坂 璃乃」という名前らしい。
私はとても可愛らしい名前だなと思った。
由木坂さんが自己紹介をし終えた後。
「由木坂さんの席は、石田さんの隣ね。」
先生はにこやかに微笑みながら由木坂さんに席を告げた。
「わかりました」
由木坂さんはそういい席についた。
私と由木坂さんの席結構離れていたので、今日話す事はないだろうと思った。
が、朝のホームルームが終わると、璃乃は何故か、席の離れた私の席に向かってきた。
転校生に興味津々な生徒が大勢いる中でだ。
「ごめんね。」
由木坂さんは自分の周りに集まるクラスメイト達に申し訳なさそうに謝って、私のところにきたのだ。
ん? ええ、、っと勘違いじゃなくて私?!
見間違いじゃなくて、遂に私は目まで悪くなってしまったのか。
なんて事だ。
いや待て待て、もう一度目を開けると そこにはやはり、彼女がいた。
これにはきっと私だけでなく、私以外の人も驚いた事だろう。
最初は、誰かと間違えて私の元にきたのだろう。ときっと誰もがあの時思った事だろう。
でも、彼女の目的は本当に私だったよう。
「…………ね?鳥石みうさん?合ってますかね?」
と彼女は律儀に私の名前を確認していた。
だが、当の私はフリーズしていて最初の方は聞いていなかった。
「は、はい!」
勢いのままはいと言ってしまった。
実際間違っていないのでいいが、これが間違えていたら最悪だなと思う。
どんな話をしたか覚えてないくらいだから、きっとどうでもいいような事を話したのだろう。
でも、私にはとても楽しいひとときだった事は覚えている。
璃乃はこの事を覚えているのだろうか?気になるところではあるが聞く勇気はないので諦める。
転校初日の頃の璃乃を私は「由木坂さん」と呼んでいた。
今では逆に「由木坂さん」と呼ぶ方が大変ではあるが、きっとあの頃の私は璃乃と呼ぶのに苦労したに違いない。
去年の6月の最終日。私の誕生日の前日におきた。私の大好きな親友との大切な思い出を思い返した。
7章
今日もいつものようにうみくんと璃乃とあっていたとき、私は思わず聞いてしまった。
「璃乃とうみくんってどういう関係なの?」
山瀬くんと付き合う璃乃にこんなことを聞くのは変な話なのだが、ずっと気になっていたのだからしょうがない。
「え?そんなわけないよ。だって、」
璃乃はそこで言葉を止めた。
私は先が気になって璃乃を急かした。
「だって?何?」
と聞いても璃乃はかたくなに話そうとしなかった。
璃乃はだってのあとは言わず、うみくんとはただの友達だからと言った。
授業が終わって家に帰った後も璃乃の言葉の続きが気になって、やること全部身が入らなかった。
終わり
今なら分かる。
彼の正体も私が彼に惹かれていた理由が。
きっと、うみくんは私自身が捨てたいと思っていた負の感情すべてなのだろう。
私が辛かったとき、耐え難くて辛かったときの幼少期の過去の記憶。
もちろんいい思い出とは言えないけれど、悪い思い出でも、それでも、私が生きた形跡なのだと思う。
璃乃は私が小さい頃仲良かったりのちゃんなのだ。
ただ、私があの頃の記憶を消したばっかりに璃乃を悲しませたに違いない。
うみくんはそんな私の苦い思い出たちを、私が心に余裕ができるまでずっと取り持ってくれていたのだ。
それを、私に気づいていればもらうために、璃乃は1人で悩んで、やってくれたのだろう。
璃乃が親友でよかったと改めて思う。
こんなにも、私を大切にしてくれる人もいたのに、なぜ私は今まで気づけなかったのだろう。
と今更ながら自責の念に駆られる。
これからはうみくんの思い?
私の感情を大事にして、前を向いて小さな一歩でもいいから進んでいくんだ。
私には、私を思ってくれる大事な親友。
そして私が恋した相手は自分の心なのだ。
今も私のそばにいる。
もう1人じゃない。
うみくんに持ってもらってた感情もこれからは私が抱えて生きていくんだ。
もうどんなことがあったって自分を思って私を支えてくれてる人がいることを知ったんだから、乗り越えられると信じられる。
これは、私が自分を取り戻すためにもがいてもがいた末見つけた物語。
そして、初めて恋をした相手の秘密を知って前を向けるようになった少女の話。



