「あんな言い方って……」と言っていたけど、何に対してかしら?……でも、何だかんだで、謝った方がいいかしら?)と思いながら、寝返りを打つ。
しかし、考え直したようで、そのまま、二度寝してしまった。
それから一時間後、娘が起きてきて、
「おはようございます」と言うと、母親が目を開けて、上半身を起こした。
そして、「おはよう」と言った。
母親はベッドから出て、洗面所に行き、顔を洗い始めた。
その様子を見た娘は、台所へ行き、朝食を作り始める。
しばらくすると、母親が戻って来て、
「いただきます」と食事を始めた。
「いただきます」娘も同じように言い、食べ始める。
娘は朝食を食べながら、ふと、昨夜の事を思い出してしまう。
母親に言われていた言葉を思い出してしまい、胸が痛む。
(私は悪い子なんだわ)そう思うと悲しくなってしまうが、涙だけは我慢していた。
「今日は何時に帰るの?」
「……お昼前ぐらいに帰ります」
「わかった」
娘は食事を終えると、身支度をして家を出て行き、その途中でコンビニに寄って弁当を買い、学校へ行く。
授業が始まると、教室に教師が入って来て、授業が始まるが、誰も話さずに、
「えーっ、であるからして……」
教師の話を聞く生徒達の中に、娘もいた。
休み時間になり、女子生徒達が話している内容を聞いていると、ある男子生徒達の話が聞こえてきた。
「おい!知ってるか? あいつの事!」
「え!?なになに!?」
一人の女子が聞くと、
「お前、あいつとは話さない方が良いぜ」と言われた少女は首を傾げた。
「何で?」
「あいつはなぁ、俺の母さんの妹の娘さんなんだけどな、そいつの家が金持ちらしいぞ。
しかも、あいつが住んでたとこなんて豪邸だぜ!」
(私ったら、そんな風に言われてるんだ……。
「そうなんだ。
知らなかった……」少女の声は小さいので、男子生徒達には聞こえない。
「でもさ、あの子だって、私達と同じ高校生じゃん。
なんでそんなこと分かるのよ?」もう一人の女子生徒が言うが、
「いや!俺もそう思って、調べたんだよ。
そしたらよぉ、やっぱり凄い家だったよ。
だから、絶対に関わらない方が……」と言い掛けた男子生徒を遮った生徒がいた。
「うるせぇよ」と言う声に遮られてしまった男子が言った生徒は誰なのか分からないようだ。
「えっ? 何が?」聞き直す男子生徒に答えたのは、やはりというべきか彼だった。
「お前らが関わるかどうかの話だろ?」彼はそう言うと、教室を出て行った。
残された生徒の一人が聞く。
「どういうことなんだよ」すると彼が答えてくれた。
「どういう事って、お前も言ってたじゃないか。
俺達より裕福な生活をしてるってことだろ?」と当たり前という顔で答える。
「それが、どうしたんだ?」と尋ねる彼に、女子生徒が詰め寄った。
「だからさ、なんでそんな事が言えるのかって事でしょ?」と言うと、彼も分かったようで、説明することにしたようだ。
「……まぁ、それは、あれだ。
あのお嬢様はな、親がいないらしいからな。
一人で暮らしてるんだって」と答える。
しかし彼女は不満そうに言う。
「へぇーそうなんだ。
でもさ、それと、あんたが言ってることって関係無いんじゃないの?」彼の態度が変わったのが分かったらしく、口調を変えずに続ける彼女だが、彼女も少し不安そうな様子が伺える。
そんな彼女達を見て言う彼に続けて聞いた。
「……で、他には何か分かったのかい?」
「あーっ、あとはだなぁ……確か、お金持ちのお祖母さんの家に住んでるとかだったな。