……本当に、信じられない。
正直ダメ元だったところもあったし、なんなら落選した結果を父さんに見られてまた野次を浴びる覚悟もしていた。
彼女は冗談めかして「私のおかげだね」だなんて言ったけど、実際その通りだ。
彼女がもしもいなければ、こんな風になることはなかったのだ。
小説や映画にだってありそうなありふれた言い方しかできないけど彼女との出会いは僕の人生を変えてくれた気がする。
彼女は僕に絵を描く楽しさを取り戻してくれたと素直に思う。
まだ、あの日の心の傷が完全に癒えたわけでもない。けど___。


少しだけ息がしやすくなった気がした。