あることないことを言われる日々。
彩乃とはあの日以来話していない。
彩乃に同情した女子たちが彩乃を守るように囲んでいて、私は近づくことさえ許されない。
本当のことを伝えたいのに伝えられない。
いや、伝えたとしても信じてくれないかもしれない。
最初はこそこそと悪口を言われるだけだった。
それが先生の目を盗んで、聞こえるように悪口を浴びせられるようになり、この前は体操着を隠されたりなんかした。
先生には「忘れました」なんて嘘をついて授業を見学したけれど、その間も「自業自得だ」と嘲笑う女子たちがいた。
悔しくて下唇を噛んだけれど、私の力じゃなにも出来なかった。
本当は違うのに、違うのだと証明する術がない。
唯一本当のことを知っているはずの信田くんとは、話す気力も湧かなかった。
話したところでまた変な噂をされるだけ。
──私の生きている意味ってなんだろう。
いつしかそう思うようになった。
苦しい。辛い。
そんな言葉は口から出ずに、どんよりとした曇り空に消えていった。
今日も雨だ。
傘を差すかどうか迷うくらいの微妙な雨。
今の私の心を表しているかのような梅雨空だった。