ただもう一度、君に会いたかった

ーガチャー
「行ってきまーす!」
ワクワクする気持ちで勢いよく扉を開け、外に飛び出す。
すると、もう蓮が道路沿いに立っていた。
「お、おはよう。」
今日は、私はが蓮の彼女になって初めて迎える朝。そう考えたら恥ずかしくなって、挨拶がぎこちなくなってしまった。
「おはよう、萌百。」
こうやって挨拶し合うことなんて、もうないと思っていた。
「じゃあ、行こっか。」
「うん。」
昨日のように二人並んで歩き出す。
それぞれの学校であったことや家族のことなど、なんでもない話をしながら足を進める。
そして、あっという間に着いてしまった。ここからは別々の道なので一緒には行けない。
「俺の方が終わるのはやいから、萌百の学校まで行くよ。」
「いいの?ありがとう。」
バイバイ、と手を振り合ってそれぞれの方向に歩き出した。また蓮と一緒に登校できたことが嬉しくて、胸がいっぱいになる。まだ学校にも着いていないのに、もう下校の時間が待ち遠しくて、「早く学校終わらないかな〜。」なんて思う。


「おはよう。」
自分の席に着いた直後、澪が来てくれた。
「澪、おはよう。」
「なんか萌百、嬉しそうだね。」
「えっ、そう?」
「うん。すごくニコニコしてるもん。で、何があったの?」
「え〜、今はちょっと。放課後話すよ。」
「分かった。絶対話してもらうからね。」
「うん。」
いざとなるとどこから話せばいいかなど色々考えてしまって、授業が手につかなかった。でも今まで話せていなかった、時間が戻ったことなども話そうと思う。
「萌百が話しやすいところで話そう。」と澪が言ってくれたので、私は家の近くの公園と答え、二人で目的の場所に向かう。
公園の花壇に咲く花たちが、風に吹かれて揺れている。ベンチまで行き、並んで座った。
いざ、今から話すとなると、信じてもらえるかどうか不安な気持ちが込み上げてくるが、私はぽつりぽつりと話しはじめた。
「澪にも話してた、私の幼なじみいるでしょ?」
「うん。蓮くんだっけ。」
「そう。ずっと好きだったんだけど、中学生になってから全然話せてなくて。」
「そうなんだ。」
「でね、実は、、、」
ずっと自分の胸にしまっていた言葉を吐き出そうと思うと、怖くて躊躇してしまう。
「ゆっくりでいいからね。無理に今日話してくれなくてもいいから。」
学校で絶対に話すと約束したのに、そう言ってくれた。その一言がすごく優しくて、嬉しい。「澪ならきっと信じてくれる」そう思った。
「実は、蓮が病気で亡くなったの。」
「えっどういうこと?でも蓮くんは生きてるよね?」
「うん。正確に言えば、病気で死んだはずだったの。蓮が亡くなった次の日、朝目が覚めたら、時間が一ヶ月前に戻ってた。その蓮が亡くなったのは、花火大会の日なの。」
しばらく澪は、言葉が出ない様子だった。そりゃあそうだ。いきなり時間が戻ったなんて言われたら、誰だって戸惑う。私もきっと、同じ反応をすると思う。
「そっか。そんな事があったんだね。」
「えっ、信じてくれるの!?」
「当たり前でしょ。萌百は嘘つかないし、こんな嘘ついたとして、萌百になんのメリットがあるの?」
それもそうだが、信じてもらえるか不安だったので、すごく安心して、涙がこぼれそうになる。
私は思わず澪に抱きついた。
「澪〜、ありがとう〜」
「よしよし。萌百だって、信じてもらえるって思ったから私に話してくれたんでしょ?」
「うん。」
「私のこと、信じて話してくれてありがとう。」
改めて澪の優しさに触れ、友達っていいなと思う。今まで誰にも話せていなかったことを話せたことで、帰り道の足取りが前よりも更に軽くなった気がした。