ただもう一度、君に会いたかった

時間は思ったよりも早く過ぎていく。中学生になってからは、特にそう感じるようになった。朝目覚めたと思ったら、あっという間に一日が終わってしまう。そんな日々を繰り返し、もう中学三年生の終わり頃。勉強は全く頑張ってこなかったわけではないが、目指している高校のレベルが高いため、今は勉強に明け暮れている。毎年、大晦日やお正月には従兄弟がおばあちゃんの家に遊びに来るが、私は行かずに勉強。もうここまでくると、最後の追い込みだ。それに、私がおばあちゃんの家に行かなかったのには受験生だからという他に、もう一つ理由があった。それは、従兄弟は会った時必ず、
「テストの点数どうだった?」
といった勉強に関する質問をしてくるからだ。従兄弟は昔から頭が良く、私が目指している高校に通っているので、そんな人に自慢できるような点数は取れたことがない。最近受けたテストは、今までで一番点数が高かったので、自分的には頑張ったなと思ったが、やっぱり言うのは怖かった。そんな中、試験当日を迎えた。絶対受かっただろうという自信はなかったが、ベストはつくせたと思う。そして数日がたち、結果発表の日がやってきた。親は発表の時間はまだ仕事なので、一人で確認しなくてはいけない。不安で不安で仕方がなくて、今にも泣き出してしまいそう。絶対に落ちたくはないけれど、期待しておいて落ちると、そっちの方が辛いから、期待しない方がいいのかな。時計の針が12時を指したと同時に、結果が載っているページをスマホで開き、スライドさせながら自分の番号を探す。
私の受験番号は、276。
271…272…273…274…275…そして、276
「あった…」
「あった〜!!」
泣かないと思っていたけれど、自然と涙が溢れてきて止まらない。今まで思うように結果が出ず、泣きながら勉強した日も少なくはなかった。これまでの努力が全て報われた気がした。まだ、従兄弟に追いつけたわけではない。なぜなら、私が受けた高校には普通科と理数科があり、普通科に比べて理数科に合格するのは遥かに難しい。その理数科に、従兄弟は合格していたから。普通科を受けつつ、理数科も受けることができ、ある程度の点数が取れていればの話だが、理数科に受からなかった人たちが、普通科に入ってくるようになっている。しかし私の場合、普通科でさえ受かれるかどうかだったため、理数科なんか到底受からないと分かっていて、受験すらしなかった。でも、ずっと従兄弟が私の目標だったから、同じ高校に合格でき、少しでも近づけた気がして嬉しかった。「次の春も笑っていたい」そう願った一年前のことが蘇り、再び涙が滲む。「諦めなくてよかった」と心から思った、はじめての瞬間だった。