「傷つかない恋愛なんてない」

 とあるエッセイで見つけたその一文は、私の心を何度も突き刺し続けるような痛みと、これでいいのだと若干諦観にも似たような絶望をくれた。

 この気持ちに彩りをつけるとしたら、私はどの色をこの心に重ねるだろうか。

 そして、この心になんと名前をつけるだろうか。

 好きだとか、愛だとか、もう私には分からなくなって、そんな言葉では言い表せないようなカタチにならないような想いに鍵をそっとかけた。

 それでも心は今日も静かに悲鳴を上げて、中からこじ開けようとしている。

 それもきっと、目の前にいる彼女がこんなにも幸せそうに笑うからだ。

 彼女を笑顔にするために出逢ったんだというのなら、もう私は幸せの色を知っているのかもしれない。