結局僕は寝不足のまま学校に向かった。昨日彼女の真実を知り、僕はそのことばかり考えている。そもそもAIに感情が生まれた場合、自由は存在しないのだろうか。そうだとしたら彼女は今後ずっと消えない悩みを持ちながら生きていくのだろうか。考えるだけで辛かった。
  
 彼女にどんな顔をしてあえばいいのだろうと考えていたが、彼女が来ないままホームルームが始まり、担任の先生が話しを始めた。
「突然だけど浅倉が一身上の都合で転校することになりました。急な事で準備も忙しいから多分彼女はもう学校にはこれないと思う」
 いきなりの報告に僕の気持ちは追いついていなかった。いつも側にいた彼女はもういない。その現実を僕は受け入れられずにいた。その後の記憶はほとんどない。ただ、気づいたら放課後になっていた。僕は放心状態のまま教科書を机から鞄に入れようとした。すると、机から花柄の封筒が床に落ちた。しかし、僕には身に覚えのないものだった。拾ってよくみると『勇人くんへ』と書いてあり、手紙だと分かった。僕は急いで手紙を開けて内容を確認した。

『勇人くんへ
 
 いきなりいなくなってごめんね。直接お別れを言おと思ったんだけど気持ちが揺らぎそうで手紙にしました。

 勇人くんと初めて会った時はAIの私よりも感情がなさそうに見えて驚いたよ。でもそんな勇人くんがどうしたらもっと喜んでくれるのかを考えるのは楽しかったよ。勇人くんは小説を書き初めてからは楽しそうな表情が増えたよね。自分のことのように嬉しかったよ。

 初めは仕事で関わっていただけなのになぜか目で追ってしまうようになった。勇人くんのことを好きになっていた。AIの私に好かれても嬉しくないよね笑
  
 でも今の勇人くんはとても魅力的だからいろんな人からモテると思うよ! だから私のことを忘れて幸せになってほしいの。そしてできれば小説家になってね。私は勇人くんの小説が本当に好き。嫌なことも小説を読んでいる時は忘れることができたから。すごい才能があるんだから自信もってね!
  
 とにかくこれから幸せになってください』

 彼女の手紙を読むと僕は普段泣くことなんて全くなかったのに自然に涙が出てきた。彼女が人だろうとAIだろうと関係ない、僕は彼女のことが好きだ。そして、感情のあるAIの気持ちが尊重されないこの世界は絶対におかしい。僕は彼女を幸せにして見せると心に誓った。