大学が長い夏休みに入り、私は一人家で黙々とペン画の練習に励んでいた。インクのこすれ具合で、どんな表現ができるか、手当たり次第にいろんなものを描いていった。それと同時に、童話や、小説も読むようにした。どんな場面を切り取って描くか、その想像力も鍛えなければいけない。とにかく挿し絵に必要なことは、貪るように吸収しなければいけないと感じていた。
その日も、黙々とペン画を描いていると、家のインターホンが鳴った。誰だろうと思って、玄関を開けると、美香さんだった。白いワンピースを着ていて、なんとも涼しげだった。美香さんとは公園で会った時以来顔を合わせていなかった。
「久しぶり。あのあとどうなったか心配してたんだけど、美香さんの家も知らないし、どうしようかと思ってたんだよ」
私がそう言うと、美香さんは申し訳なさそうな顔をしていた。
「あの時はすみませんでした。ご心配おかけして。それで今日は報告に来ました」
「ともかくあがって」
美香さんを居間に通して、ソファに座ってもらった。それから私はジュースを美香さんの前へと出した。
「ありがとうございます」
外は暑かったのだろう。美香さんはジュースをごくごくと飲み干した。
「よければ、もう一杯飲む?」
「いえいえ、そんな気にしないでください。それより報告させてください」
美香さんは、きちんと座り直して、私の目を真っ直ぐ見た。私も慌てて、しゃんと背筋を伸ばして、座り直した。
「私は美大に行かないことになりました」
私は一瞬聞き間違えたのかと思った。
「行かないって、どこへ」
「美大へです」
私の頭の中は真っ白になりかけた。美香さんが美大に行かないなんて、そんな馬鹿なことがあっていいのだろうか。
その日も、黙々とペン画を描いていると、家のインターホンが鳴った。誰だろうと思って、玄関を開けると、美香さんだった。白いワンピースを着ていて、なんとも涼しげだった。美香さんとは公園で会った時以来顔を合わせていなかった。
「久しぶり。あのあとどうなったか心配してたんだけど、美香さんの家も知らないし、どうしようかと思ってたんだよ」
私がそう言うと、美香さんは申し訳なさそうな顔をしていた。
「あの時はすみませんでした。ご心配おかけして。それで今日は報告に来ました」
「ともかくあがって」
美香さんを居間に通して、ソファに座ってもらった。それから私はジュースを美香さんの前へと出した。
「ありがとうございます」
外は暑かったのだろう。美香さんはジュースをごくごくと飲み干した。
「よければ、もう一杯飲む?」
「いえいえ、そんな気にしないでください。それより報告させてください」
美香さんは、きちんと座り直して、私の目を真っ直ぐ見た。私も慌てて、しゃんと背筋を伸ばして、座り直した。
「私は美大に行かないことになりました」
私は一瞬聞き間違えたのかと思った。
「行かないって、どこへ」
「美大へです」
私の頭の中は真っ白になりかけた。美香さんが美大に行かないなんて、そんな馬鹿なことがあっていいのだろうか。


