「自主制作のテーマも大事だけれど、一之瀬さんは将来何になりたいんだい? 教員、学芸員、それとも……画家かい?」
最後の画家という言葉だけ、すぐには出てこなかったのが、私的には屈辱的だった。先の小林さんの時には、画家という言葉はすぐに出ていたのかもしれない。もちろん、遅刻して入って行った時からの会話しか、聞いてはいないから分からないけれど、でも、でもと思った。
身体が、熱くなりながらも、自分のちっぽけなプライドがまだあったことを私は恥ずかしく思った。何も言うことができなかった。もじもじしている私を見て、松林教授は、優しい笑みを浮かべながらこう述べた。
「どうやらまだ決めてないようだね。しかしやるなら、早い段階で決めた方がいいよ。将来どう進むかによって自主制作も自ずと決まってくる。よく考えることも大事だ。焦らないことだ。しかしそのクロッキーは悪くないよ。今日はその手直しをするといい」
松林教授は、私の肩を叩きながら、他の生徒達の様子を見に行ってしまった。
なぜ、言えなかったのだろうか。画家になりたいと。いや、言ったところで、どんな画家になりたいか言えなかったに違いない。そこが、小林さんと私との決定的な違いだったわけだ。そして私は何も考えていなかったことに気づかされた。
私は手に持っているクロッキー帳をめくりながら、どうしたらいいか、考え込んでしまった。
結局その後私は、松林教授の言うとおりに、クロッキーの手直しをしてゼミの授業を終えた。
最後の画家という言葉だけ、すぐには出てこなかったのが、私的には屈辱的だった。先の小林さんの時には、画家という言葉はすぐに出ていたのかもしれない。もちろん、遅刻して入って行った時からの会話しか、聞いてはいないから分からないけれど、でも、でもと思った。
身体が、熱くなりながらも、自分のちっぽけなプライドがまだあったことを私は恥ずかしく思った。何も言うことができなかった。もじもじしている私を見て、松林教授は、優しい笑みを浮かべながらこう述べた。
「どうやらまだ決めてないようだね。しかしやるなら、早い段階で決めた方がいいよ。将来どう進むかによって自主制作も自ずと決まってくる。よく考えることも大事だ。焦らないことだ。しかしそのクロッキーは悪くないよ。今日はその手直しをするといい」
松林教授は、私の肩を叩きながら、他の生徒達の様子を見に行ってしまった。
なぜ、言えなかったのだろうか。画家になりたいと。いや、言ったところで、どんな画家になりたいか言えなかったに違いない。そこが、小林さんと私との決定的な違いだったわけだ。そして私は何も考えていなかったことに気づかされた。
私は手に持っているクロッキー帳をめくりながら、どうしたらいいか、考え込んでしまった。
結局その後私は、松林教授の言うとおりに、クロッキーの手直しをしてゼミの授業を終えた。


