前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

「う~ん」

 ふと目が覚めるとそこには見知らぬ天井が広がっていた。

「いま何時かな?それにしてもここどこだ?とりあえずスマホスマホ……」

 あれ!?俺のスマホがない!?

「俺のスマホは!?」

「グラン様!?」

 どうやら外に聞こえてたみたいで何やらひとの声がした。
 泥棒か?
 そう思い警戒してると声の主と思われる人が慌てて部屋に入ってきた。

「グラン様!?お目覚めになられたのですね!よかったです~!」

 そういいながらメイド服を着た15、6歳と思われる少女が涙を流しながら入ってきた。

「グラン様は7日前に倒れられて以来一度も目を覚まさなかったのです……。それでみんなで心配していたんですよ!!とにかく奥さまを呼んできます!」

 そういって少女が出ていったが俺には全く理解できなかった

「グラン様って誰?俺は朝比奈陽翔なのに……。そもそもグランてここは日本じゃないのか?」

 とりあえずスマホもなく情報もなく不安だったので誰もいないうちに部屋と外の様子をチェックすることにした。

「なんか世界史の教科書に出てきそうな豪華な家だな。外も中世のヨーロッパみたいだし」

 そうこうしているうちに先ほどの少女が戻ってきた。

「旦那様!奥様!グラン様がお目覚めになりました!」

「グラン!ああ……本当によかった!」

 そう声をかけてきたのは絶世の美女といっても過言ではないだろうと思われる女性が立っていた。

「グラン?私のことわかる?」

 あまりに俺が返事をしなかったからかその美女は不安げに俺に聞いてきた。

「すみません。あなたたちは誰ですか?そもそもここはどこなのでしょうか?」

 二人は絶望的な顔をしたがすぐにメイドの少女がなだめた。

「たぶんグラン様は7日間も寝ていたため混乱していらっしゃるのでしょう。まずは何があったかお話ししてみてはどうでしょうか」

「そ、そうだな。とりあえずわたしはお前の父のカールだ!」

「私はあなたの母のニーナよ!」

「ちなみに私はメイドのマリネと申します」

「お前は7日前に熱を出して寝込んでいたんだ」

 そのあと詳しく話を聞いて得られる情報がたくさんあったので感謝だ。

 俺は朝比奈陽翔ではなくグラン・レア・ベルセリアという名前でありたぶん前世が朝比奈陽翔なのだろう。
 また父はカール・レア・ベルセリア、母はニーナ・レア・ベルセリアということがわかった。
 何かと設備が良くメイドまでいたため偉いひとたちなのかと思ったら騎士爵という名誉貴族なのだそうだ。
 階級は十階級あり上から順に王族・大公・公爵・侯爵,辺境伯・伯爵・子爵・男爵・準男爵・騎士爵とある。
 準男爵以下は当主限りの爵位になるため領地もなければたいした権力もない。給金は出るみたいだが。
 そんなこんなで状況を理解した俺は前世のことを思い出していた。
 俺は朝比奈陽翔。
 高校2年生だ。
 学校は中の上ぐらいのよくある中堅進学校だ。
 実は人に言えない特殊能力がある訳でもなく、たいした長所もない普通の高校生だった。
 そんな俺にもひとつだけ自慢できることがあった。
 それは物心ついたときからの仲の幼なじみがいることだった。

 しかも二人も。

 あまり自慢できることのない陽翔にとってはかけがえのないものだった。
 幼なじみは二人とも系統別の絶世の美少女だった。
 一人は名を綾瀬浪華(あやせなみか)といいもう一人は中津恵梨香(なかつえりか)という。
 浪華は幼稚園からずっと一緒だが恵梨香は小学校卒業の時に父親の転勤で引っ越してしまった。
 よって今は一人しかいない幼なじみだが、普段から連絡を取り合ってるし二人といっても過言ではないだろう。

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「おはよう!!」

 そんな声が聞こえたと思ったらいきなり体に衝撃が加わった。

「だからって上に乗るのはないでしょ……」

「陽翔!おはよう!!」

「おはよう。起こしに来てくれてありがとう浪華。さすがに上に乗ってまで起こしてくれなくても……」

「ご、ごめん……。重かった?」

「いや全然重くなかったぞ。むしろ軽すぎて心配になるくらいには」

「本当!?よかった~」

 そういう浪華はほっとしたような顔をした。

「でもそう易々とひとの上に乗るな」

「わかったよう……」

「じゃあ朝ごはんにしよう!」

「うん!」

 もう日常となっているこの会話をした後に朝食を食べ、家を出る。
 学校では普通にすごし、昼は浪華とご飯を食べ夜は浪華と帰る。
 はたから見ると恋人のようだが実際ただの幼なじみだ。
 家が隣同士で二人とも部活に入っていないため必然的に一緒に帰るのだ。
 この事からクラス、というか学校単位で『おしどり夫婦』とまでいわれている。
 そんないつも通りの日常はある日ガラリと変わった。
 とはいってもいい方向にだが。
「今日から新学期だね~」

「そうだな」

「そういえばクラス替えもあったよね!どんな人が同じクラスなのかな~?もしかしたら陽翔と離れ離れかも……」

「そういって今までクラスが一緒じゃないことがあったか?」

「そ、そうだよね!たぶん大丈夫だよね!」

「ああ」

「あ!発表されてるよ!見に行こう!」

「わかった。わかったから引っ張る。」

 浪華が一人ではしゃいでいるのを横目に俺も見てみるとやはり同じであった。
 ここまで同じだと何かの意図を感じてしまう。
「やっぱり一緒だったね!」

「ああ。今年もよろしくな!」

「こちらこそ♪」

 クラスに向かい指定された席に着くと後ろには中学からの親友が座っていた。
「おっす陽翔」

「おはよう。秀哉(しゅうや)

「おっはー」

「おはよう綾瀬さん」

 ちなみに誕生日順に出席番号を振られているため浪華の席はかなり遠い。
 その点秀哉は一日違いなので同じクラスだと必ず後ろにいる。
 周りには再会を喜んでいる人や人選に落ち込んでいる人や頑張ってなれようとしているひと、緊張しているひとなど様々いた。
 ただ少しクラスの雰囲気が全体的に浮いているのは気のせいだろうか?
「そういえば陽翔は知ってるか?」

「なんのことだ?」

「うちのクラスに転校生が来るらしい。しかも絶世の美少女といっても過言ではない女子だ」

「まじか。どんなひとだろうな?」

「楽しみだ」

「とは言いつつお前は彼女いるじゃねーか」

「ばっかお前それとは違うんだよ!」

「そういうもんかな?」
 などなど雑談をしていると先生が入ってきた。
「おはよう。このクラスの担任になった片柳だ。これから一年間よろしくな。早速だが今日から新しい仲間がこのクラスに加わることになった。自己紹介をしてくれ」

「これからお世話になります。中津恵梨香(なかつえりか)と申します。よろしくお願いします!」

 まさか転校生が恵梨香だとは思わずとても驚いた。
 若干面影は残っていたもののすごく美人になっていてすぐには気づけなかった。

「じゃあ中津は綾瀬の隣に座ってくれ。皆も仲良くするように」

「久しぶり!またこれからもよろしくね!なみちゃん♪」

「久しぶり~!まさか転校生がえりーだったなんてめっちゃビックリしたよ!こちらこそまたよろしくね♪」
 朝のSHRが終わると恵梨香の周りには人が集まっていた。

「中津さんこれからよろしくね!」

「さっきも綾瀬さんと話してたけど二人は知り合いなの?」

「私たちは幼なじみだよ!」

「そうだったんだね!」

「うん!私もビックリしたよ~」
 恵梨香はクラスメートに囲まれながら楽しそうに雑談していた。
「綾瀬さんの幼なじみって言うことは陽翔の幼なじみでもあるんだな」

「そうだな。結構仲良かったんだよ。いっつも三人でいたからな」

「そう言えばいつ頃からの幼なじみなんだ?」

「いつと言われても……物心着いたときから一緒だった記憶があるからな……。たぶん2~3歳ぐらい?」

「そりゃあ仲がいいわけだ」
 そんな話をしていると浪華と恵梨香がこちらにきた。

「はるも久しぶりだね!またよろしくね!」

「こちらこそよろしく頼むな」

「これでまた三人揃ったね!」

「また色々遊びに行こ~!」

「じゃあ早速だが今日どこか寄り道して帰るか?どうせ午前授業だから午後は暇になるだろ」

「お!いいね~♪賛成!」

「私もOKだよ!」

「じゃあどこに行こうか?」

「私久しぶりにあの公園に行きたい!」

「いいね!私は新しくできたショッピングセンターに行きたい!」

「了解。じゃあ授業始まるからまた放課後に」
 さあ久しぶりの再会なので楽しもう!
「じゃあ出発~!」

「まずはショッピングセンターでいいか?」

「いいよ~のんびりしよ!」

「公園は夕方で大丈夫だからね~。夕日がきれいだし」

「確かにあそこの公園から見える夕日はきれいだったな。地元でも隠れスポットだもんな」

「そうそう。せっかく帰って来たんだからいかなきゃ!」
 そうこう言っているうちにショッピングセンターに着いた。
 やはり3人揃っていると時間が早く感じるな。
 ちなみにこのショッピングセンターは2~3年前にできた割りと新しい施設だ。

「このショッピングセンターは割と新しめだから恵梨香は行ったことないな」

「そうなるね~初めて行くところだからめっちゃ楽しみ!!」

「私はもう何回かいっているから案内してあげよう!」

「ありがとーなみちゃん♪」
 ウィンドショッピングを楽しんだあとはカフェに行ったりゲームコーナーに行ったりとかなり満喫することができた。

「いやー遊んだ遊んだ♪」

「楽しかったね!」

「また機会があったらいきたいな」

「じゃあ次はおまちかねの公園ってことで!」

「今日は晴れてるからきれいな夕日が見れるといいな」

「そうだね~」

「なんかこうやって3人で歩くの懐かしいな」

「確かに」

「そうだ!これから学校一緒にいかない?昔みたいにさ!」

「いいね!楽しみ~♪」

「お、着いた着いた」

「ジャストタイミングだね!」

「それな!ほんとにきれいだね~」
 それからしばらく思い出話にはなを咲かせながら夕焼けを見ていた。気づくと辺りは暗くなっていた。

「じゃあ帰ろうか」

「そうだね!あまり遅くなってもいけないし」

「そう言えば恵梨香はどこにすんでるんだ?前と同じアパート?」

「そうだよ」

「じゃあ送っていくよ」

「ありがとー!」

「いいって。どうせ近くだしな」

「またまた~そんなこと言って!」
 そんな話をしつつ、俺たちは帰路に着いた。
 それは突然のことだった。
 恵梨香が転校してきて遊びにいき帰っている途中のことだった。

「今日はありがとう!楽しかったよ!」

「こちらこそ♪」

「久々に二人と遊びにいけて楽しかったよ」

「じゃあまた明日ね!」
 そういって恵梨香が家に入っていこうとしたとき突然目の前に雷のようなものが降ってきて真っ白になった。

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 そうか!
 そんなことがあったからいまここにいるんだ。
 浪華と恵梨香は大丈夫だっただろうか?
 俺に直撃した感じだったからな。
 死んでいないにしても大火傷ぐらいは負っているかもしれない。
 いきなり俺がいなくなって困惑してないだろうか。
 先ほど鏡で姿を確認したときに前世と瓜二つだった。
 たぶん転生というより転移に近いだろう。
 何よりあれが雷だったとしたらたぶん跡形も残らないだろう。
 まあ見たことないのでわからないが。
 とりあえず現状の確認もできたことだし、とりあえずこの家の中から情報を集めていこう。

「って言うかここが異世界だとしたら魔法とか使えたりするのかな?」

 陽翔は前世で浪華とラノベにはまり二人でいろいろな作品を読んだ。
 そのためスキルや魔法に人一倍興味があるのだ。
(そう言えばマリネはどこにいったんだろう?呼べば来るのかな?とりあえず探しにいってみよう)

「マリネっている?」

「マリネ様ならたぶん図書室にいるかと」

「ありがとう!」
 図書室の場所を聞いていってみるとマリネがいた。

「マリネ!」

「どうかしましたか?グラン様。まだ病み上がりなんですから寝ていなくちゃだめですよ!」

「ごめん……。でももう大丈夫だから」

「そうは言っても・・・。まあいいです。それでなにかご用ですか?」

「ああ。そうだった。マリネって魔法とか使える?」

「使えますよ?」

「本当に!?見せてもらえたりできるかな?それと魔法に関する本とかこの世界の歴史の本とかあったら見せて欲しいな!」

「魔法を見せることはいまはできませんが本は両方あるのでお部屋にお持ちいたしますね!」

「ありがとう!マリネ!」

「では先にお部屋に戻っていてください♪私もここを片付けたら向かいます」

「はーい」
 魔法とかがあるって言うことは神様か精霊でも存在するのだろうか?
 なんにせよこれから新しく学ぶ魔法に思いを寄せるグランなのであった。
 あのあとマリネに魔法書と歴史書を持ってきてもらい読んでいた。

「この本に使われている言葉も日本語じゃないのになぜか理解できるんだよな。前世でも英語とかこのレベルで理解したかった……」

 話しているときはもちろん本を読むのだってなんの苦労もなく理解できる。
 やはりなにかスキルがあるんだろうか。
 今からとても楽しみだ。

「えーっと、まずは魔法書からかな?」

 グランが魔法書を開くと"魔法使いの素質が~"とか難しいことが書いてあった。

「なんか素質がない人には使えないみたいだけど大丈夫かな?」

 素質があるかを調べるにはありきたりだが、魔力を感じるところから初めるみたいだ。

「えっと、"魔力はへその下の丹田に魔力袋があり血液のように全身に巡らすことができる。魔力を感じられたら指先に集めて呪文を唱えてみよう。"ってなってるけど丹田を意識するってかなり難易度高いな・・。まあ頑張ってみるか」

「失礼します。お茶をお持ちしました」

「ありがとう。マリネ。マリネって初めて魔力を感じるときどうやった?」

「そうですね・・・歌うときみたいにお腹に力を入れるとやりやすいんじゃないんでしょうか。私はそれで流れをつかみました」

「なるほどね。わかった!ありがとう!」

「頑張って下さい♪お夕飯ができたらお呼びします」

「わかったよ」
 失礼しますといってマリネが出ていったあと歌うときのように腹に力を入れて魔力を感じてみた。

「う~んほわほわしていて温かいやつが魔力かな?とりあえず流してみよう。お!できたみたいだ。じゃあ指先に集めて呪文を唱えてみようかな?」

 そして「灯火(ファイヤ)」と呪文を唱えると火が出た。
 ただ予想していた火のサイズより大きいものが出た。

「うわっ!大きくない?なんかもっとこうろうそくみたいなサイズを予想してたのに。これは魔力が多かったのかな?それとも制御できてないとか。まあいずれにせよ鍛練していかないとね」

 また魔法書に目を落とし次のページを開くとそこには『毎日魔力を体内で循環させると魔力量が上がる。
 ただし素質がない人には循環させても魔法が使えるようにはならない。』と書いてありとりあえずこれを毎日やろうと思ったのであった。
 ちなみにグランの大声を聞き付けて何事かと心配したマリネが焦って部屋に飛び込んできたのはまた別の話だ。
 魔法書を読んで満足したグランは今度は歴史書を読みはじめた。
 歴史書を開くとまず10柱の神々の絵が載っていた。

「やっぱりこの世界には神様がいるんだな。この絵だと10柱いるな。えーっと左から順に創造神タパス・技能神アラミラ・生命神バイアス・大地神バレシア・商業神ナザレ・機械神ソニカ・遊戯神アーバン・魔法神サノヤス・剣神ヤマト・竜神バハマって言うのか」
 歴史書には思った通りいろいろなことが書いてあった。
 まとめると、

・この世界の魔法は魔法神が作ったものを人間が借りていること。

・魔法とは別にスキルもあり固有技能(ユニークスキル)は一人1~3個与えられ才能によって数は決まる。
 また固有技能(ユニークスキル)とは別に基本技能(ノーマルスキル)中堅技能(レアスキル)上級技能(レジェンドスキル)神級技能(ゴッドスキル)などがある。
 ちなみにごく稀にEX技能(特殊スキル)と呼ばれるスキルをもつものもいるらしいが今までに3人しかいないそうだ。
 スキルの順番は基本技能<中堅技能<上級技能<神級技能<EX技能<固有技能の順だ。
 固有技能は例を出すと"剣聖"や"魔法王"などのスキルで、一人持ち主が現れるとその人が生きている間は出てこないとされている。

 それゆえに固有技能なのだ。
 それ以外のスキルは後天的に取得可能とされており努力と才能次第で獲得できる。
 スキルや、ステータスは10歳の神々の洗礼の時に知ることができる。
 しかしなぜかそれまでは知ることができないのだそうだ。

 グランもステータスやステータスオープンなどのラノベで蓄えた知識をもとに色々唱えてみたがダメだった。
 グランは今7歳なのであと3年で洗礼を受け自分のステータスを知ることができる。

「やっぱり創作品(ラノベ)の知識じゃ異世界(本物)には通用しないか……」

 神々のこと以外も色々と書いてあった。
 今グランが住んでいるアリストタパスにはいくつかの国がある。
 今グランが住んでいるダイナース王国、隣に位置するワラント帝国、バナー共和国、ドメイン皇国、そして聖セレナーデ神聖国が主要国で五大国と言われている。
 他にも色々な国があるがとりあえず今はいいだろう。
 主要国は一般的に総合のダイナース、武力のワラント、経済のバナー、知力のドメイン、神聖のセレナーデと言われていてダイナースは文字通り、ワラントは周辺国に攻め込んでいるため、バナーは商業が発展してるため、ドメインは賢者が多いため、セレナーデはセレナーデ教の総本山のためなのが所以だ。
 お金は共通で銅貨などの貨幣だ。
 銅貨<大銅貨<銀貨<大銀貨<金貨<大金貨<白金貨の順になっており、銅貨1枚が日本円で100円になる。
 また銅貨10枚で大銅貨になり、10枚ごとに上がっていく。
 基本的に10進法だ。
 他にも法律など色々書いてあったがとりあえず今は必要ないので、グランは必要な情報だけ集めてまた魔法書を読みはじめた。
「グラン様。お夕飯が出来上がりました。皆さんお待ちです」

「わかったよ。ありがとうマリネ。今行く」
 グランが部屋を出るとそとにいたマリネが訊ねてきた。

「グラン様。魔法はお使いになれましたか?」

「うん!神様に素晴らしい才能を頂けたみたいだね。あとマリネのお陰だね。マリネのアドバイスのお陰でうまく行ったからね!」

「!?そ、そうでしたか。お役に立てて何よりです」
(何でまだ洗礼を受けていないのに魔法を使えるようになっているのかしら!?やはりグラン様はすごい才能の持ち主としか思えません!!これは旦那様と奥様にご報告しなくては!)
 二人が食堂に着くとグランの父であるカール・レア・ベルセリアと母であるニーナ・レア・ベルセリア、そしてグランの妹のカノン・レア・ベルセリアが席に着いていた。

「遅くなってしまいすみません」

「もー遅いよお兄ちゃん」

「ごめんね。カノン」
 カノンは今年で6歳になる僕の実の妹だ。

「まあそんなに待っていないから大丈夫よ。グラン」

「ありがとうございます。お母様」

「さあ夕飯にしましょう!」
 ベルセリア家の食卓はメイドや執事も一緒に食べることが習わしとなっている。
 何でも父が言うには「私たちは新興貴族だし名誉貴族だからね。あまり気にしないでいいのだよ。皆で食べた方が楽しいしね。あっ、ただしお客様がいるときは別だけどね。」とのこと。
 グランは素敵な考えだと思うがあまり一般的ではないらしく少し残念に思った。

「グランは魔法の本を読んでいたみたいだが魔法はどうだった?使えそうか?」

「無事に使うことができました!今のところは火と水だけですけど」

「そ、そうか……。ならよかった」
(火と水だと?普通は8属性である火・水・風・土・光・闇・氷・植物のうち1属性を使うために5年は修行を積まないと使えるようにならないのにもう2属性も使えるだと?)

「グランは魔法が何属性あるか知っているか?」

「えーっと、確か火・水・風・土・光・闇・氷・植物の8属性ですよね」

「ああ。それに幻と言われている神聖・機械2属性を足して合計10属性だな」

「そうなんですか!その2属性も使ってみたいです。特に機械とか見てみたいです!」

「グランは才能があるから頑張れば使えるかもしれんぞ?」

「本当ですか!?頑張ります!」

「とりあえず神々の洗礼まで頑張ってくれ」

「はい!」
 他にも色々な話をしながら夜は更けて行った。
 あれから3年がたちグランは10歳になった。

 今日は神々の洗礼の日だ。

 初めて魔法書を読んだあの日から毎日一生懸命魔法や歴史の勉強を続けてきた。
 数学や言語などもやったが一応前世では高校2年生まで通ってたので計算などは朝飯前だった。
 言語もスキル?のようなもので楽々クリアできた。
 ただいつ使えなくなるか分からなかったため一応覚えはしたが。

「今日はいよいよ洗礼の日ですね!グラン様!」

「ありがとう!マリネは洗礼の時に緊張した?」

「それはもちろんしますよ。ですが人生に一度のことなので楽しんで来て下さい」

「そうだね。楽しんでくるよ!」
 馬車の前には父と母、そしてカノンがいた。

「お兄様!早く早く~!行きますよ!」

「今日は洗礼の日だ。緊張しないで気楽にな?」

「大丈夫よ。グランならきっと色々なスキルをいただけるわ。では行きましょう!」

「ありがとうございます。父様、母様、カノン」
 そして馬車は動き出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あやつらは今日神殿に来るのか?」

「神官の報告だと今日になっております」

「では手筈通りによろしく頼むぞ」

「わかりました」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 神殿に着くと前世で言う祭服を着た人がこちらに来た。

「ベルセリア家の馬車と見受けられる。本日の洗礼を担当させていただきます。ライカ司祭です」

「よろしくお願いします。司祭様。グランです」

「グラン様ですね。ではグラン様はこちらにお願いします」
 ライカ司祭のあとをついていくとそこには10柱の神々の像が立っていた。

「ここは礼拝堂と言い神々の洗礼の時や、礼拝の時に使用します」

「そうなんですね。部屋に入ったら神々が御見えになられたので驚きました。本に描かれていた神々よりさらに神々しい」

「なんと。グラン様はもう歴史書をお読みになられていらしたのですね」

「本は家にたくさんありましたから」

「羨ましいです。では早速始めましょうか。グラン様は両手を組んで祈る格好になっていてください」

「はい!」
 ライカ司祭が呪文を唱え始めると神々の像が輝き出した。
 あまりの眩しさに目をつぶるとそこには先ほど礼拝堂で見たような顔がならんでいた。

「ここ……どこ?」

「よく来たな!グランよ。もしくは朝比奈陽翔か」

「!!!」

「まあ驚くのも無理はないだろう。席に座りたまえ」

「え?えーーーーーーーーーーーー!」

「まずは自己紹介といこうかの。儂はタパス。あとは右から順にアラミラ、バイアス、バレシア、ナザレ、ソニカ、アーバン、サノヤス、ヤマト、バハマじゃ。これからよろしくの」

「ええと神様達ですか?」

「そうじゃ。まあ色々聞きたいことはあると思うがとりあえず二人を待とう」

「二人って・・・」

「どうやら来たようじゃ」

「「「え!?」」」
 ここに来た二人はポカンとしていた。
 グランはその顔を知っていた。

「浪華!恵梨香!だよな!?」

「何でここにはるが?なみちゃんも・・・」

「えりーこそなんで?」

「とりあえず落ち着け。話したいこともあるでのう」

「「「わ・・わかりました」」」

「まずは三人ともすまなかった。あの時三人は雷に打たれて地球で死んでしまったんじゃ。あの雷は儂らのミスでそちら側に行ってしまったものでの、地球の転生軌道には乗せられないらしいのでこちらで引き取ったのじゃ。本当にすまんな。お詫びと行ってはなんじゃが三人には記憶を残し、環境にも恵まれるように操作させてもらった。またスキルも普通より強いものになっておるから楽しんで生活してくれ」

「なるほど……。これまでの疑問が全てなくなったわけではありませんが納得はできました」

「私も大丈夫です」

「私もです」

「本当にすまんのう。まあこれからよろしく頼むわい」
 こうして神々との出会いと幼なじみとの再会を果たした。