「由香奈ちゃん、彼氏できた?」
 一休みするのか、動きを止めて中村が尋ねてくる。繋がったまま由香奈のももや膝小僧を撫でる。
「急に可愛くなったから」
 なんだそれ。ちょっと髪型を変えただけなのに。仰向けになっている由香奈は、頭を横に向けたまま小さく首を振る。

「今、こいつ馬鹿だなって思ったでしょ?」
 笑いを含んだ声に由香奈は目を上げる。中村は嬉しそうに微笑んでいる。彼のこういう笑みの理由が由香奈にはわからない。何が嬉しいのだろう。それより早く動いてほしいのだけど。

 そっと身じろぎしてみせる。すると手を取っていざなわれた。自分で弄れということだ。由香奈は控えめにそっと指を回してみる。気持ちよくなれる力加減、スピード。すぐに首筋が震えてくる。

 視線を天井に彷徨わせ、細く息を吐き出す。足に力を入れたくなるのを我慢する。焦ると上手にイケない。まだまだじっくり。
 男の手が乳房をまさぐる。余計なことはしないでほしい。由香奈は目を閉じて指からの刺激に集中する。徐々に溢れてくる感覚、もう少し。気分が高まるよう腰をくねらす。空いている方の腕で目元を隠して何も考えないようにする。

 由香奈の指の動きを注視していた男の手が重なる。急かさないで、あと少し。由香奈はじりじりとつま先を緊張させる。本当は脱力したままイキたいけれど、そうとわかるように体を震わせなければ男は喜ばない。
 息を詰めてシーツの上でつま先を泳がせる。
「あ……、ん、んんっ」

 由香奈はのけ反って堪えるように顔を横に向ける。苦しい、奥。痛みが切なく真ん中を打ってじくじくする。逃げたいのに中村の手は由香奈の腕をしっかり掴んでいる。それで余計に体が揺れる。
「すげ、この眺めもサイコー」

 何が嬉しいのかわからない。攻められながら、由香奈はもう意識を散らしてしまっていた。