セイジが、不安そうにスウェンを見た。ログが「で、どうするんだ」とスウェンに掴まれたせいで乱れたジャケットを整えながら、ぶっきらぼうに指示を仰ぐ。

 スウェンはログに一瞥をくれたが、すぐに自己嫌悪の表情を浮かべて、視線をそらした。

「さっきはすまなかったね、ログ。ちょっとした八つ当たりだった。らしくなかったよ、全く。――この子には、きちんと説明する。それが僕の判断だ」
「そうか」

 ログは支柱へ視線を戻すと、腕を組んで黙りこんだ。

 スウェンは深く息を吐いた。二度ほど深呼吸した後歩き出し、エルに向かい合うと、困ったような顔で微笑みかけた。

「とは言っても、この光景は、あまり見ていいものではない。エル君、一度『回れ右』をしようか」

 エルは一つ肯くと、支柱を背に立った。ログが支柱を見張るようにその場で腰を下ろし、セイジが彼のそばについた。


 二人から三メートルも離れていない場所で、エルとスウェンは改めて向かい合った。

「まずは、どこから話そうか。そう、君は『人間が使われているか』とセイジに訊いたね。その答えは『YES』だ。推測の段階だけど、一つの支柱に一人の人間が使われている可能性が高い。素材となった身体のどの要素が、どう使われているのか、どのように製造されているかについては解明されていないが――今の時点で、質問はあるかい?」
「ないよ」

 エルの真っ直ぐな答えを聞くと、スウェンは肯いて先を続けた。