気づいたら、目に天井が飛び込んできた。

「ここは……」

周りを見て見ると、大きな部屋の真ん中にある布団で、私は寝ていたらしい。

「ああ、気が付きましたね。」

声のする方に顔を向けると、明るい水色の着物を着た女の人が、私の顔を覗いていた。

「あの……」

「無理しない方がいいわ。まだこの世界に、慣れていないからね。」

長い髪を一つに束ねたその人は、親しみのある顔をしていた。

「この世界?」

すると女の人は、ニコッと笑った。

「水神様の住む世界よ。」

「水神様!?」

私は思わず大きな声を出してしまった。


「そうよ。あなたもこの湖に、身を投げた者でしょう?」

「あなたもって……」

「そう。私もかつてはそうだったわ。」

すると女の人は、立ち上がった。

「今、るか様を呼んで来るから、待っていてね。」

「るか様?」

「水神様のお名前よ。」

そう言って女の人は、部屋を出て行った。