「もし、この村に寺があると聞いたが、何処にあるのだ?」
早速村に着いた氷白は、寺の場所を聞き出そうと小作人の老人に声を掛けた。
「あぁ、あります。しかし、貴方様のような方がこの小さな村に用があるとは思えばせぬ。何故でしょうか?」
「私は旅の者だ。訪れた地の寺にこの長旅が無事終えられる事を祈願しに参ろうと思ってな。」
「左様でしたか。寺ならここから西に歩けばすぐ見えてきますよ。」
警戒心を解いてくれたようで、すんなり教えてくれた。
「しかし、あまり行かぬほうが良いのでは?あの寺はちと評判が悪くてな。」
「何故だ?」
「…これ以上は言えませぬ。…ご武運を。」
「…お前も達者でな。」
そう言って、氷白は西ヘ歩き始めた。