俺の愛を受け入れろ〜俺様御曹司の溺愛

それから機会があるごとに美希に近づき、会話を交わした。

話していると、益々惹かれていく自分がいた。

命の恩人以外に色々な場面で美希は、俺の気持ちを大きく膨らませていた。

絶対に誰にも渡したくないと言う気持ちが大きくなった。

結婚して俺の腕の中で愛したいと、気持ちを止めることが出来ずにいた。

親父の会社の社員だったことが、俺に取ってラッキーと言わざる負えない。

だが、道のりは険しかった。

親父の会社と言えども、容易く社員には慣れず、不合格と言う不名誉を味わって、やっと合格に辿り着けた。

社員になったも、親父から「社長になってから彼女にお礼を言うんだ」と言われていた。

それから俺は必死に仕事に打ち込んだ。
右も左もわからない業界で、猛勉強した。

仕事の合間に休憩室で美希と会うのが唯一の楽しみだった。

待ち伏せしていたのに、偶然を装い「また会ったね、偶然」なんて、自分でもおかしくなる。

そんな俺の気持ちに美希は全く気づかない様子だった。

社長に就任した日、挨拶をするとのことで、俺は美希を確認したかった。

前の日から考えていた。

どうしたら、美希と一緒にいられるんだ。

いきなりプロポーズはないだろう。

それなら社長秘書はどうだ。

秘書ならいつも一緒にいられる、うん、それがいい。

美希に俺の秘書になって貰えば、解決だ。

そして秘書の初日、俺は気持ちがMAXになり、いきなり美希を押し倒した。

何もわからない美希にとって、いきなり襲われた感じだろう。

俺は美希に自分の気持ちを伝えるべく、美希のアパートへ向かった。


暫くして私のアパートに彼がやってきた。

「美希いるんだろう?ドア開けてくれ」

何がなんだか混乱している私に、自分の気持ちをストレートにぶつけてきた。

「俺は美希が好きだ、だからキスしたし、抱きたいと思った、大好きな気持ちが溢れそうだ、やっと巡り合えたんだ、もう離したくない」

「急にそんな事言われても信じられません、私社長よりひと回りも年上です、からかうのはやめてください」

「からかってなんかいない、愛を語る上で年の差は関係ないだろう、どうしたら信じてもらえるんだ」

彼はドアの向こうで必死に私を口説いている。

「今日はお引き取りください」

「駄目だ、このままじゃ帰れない、俺のマンションに行って話しよう」

彼はずっとドアの向こうで叫んでいる、これでは隣人に何を言われるかわからない、彼は黙って帰ってはくれないだろう。苦肉の策でドアの鍵を開けて、彼を部屋に招き入れた。

ドアを開けると、彼が目の前に立っていた。

「中に入ってください、ご近所迷惑ですから」

彼はすぐに私の部屋に入り、抱き寄せた。

「誰にも渡したくない、俺を好きになってくれ」

急な社長の言動に戸惑いを隠せなかった。

「社長、明日出社いたしますので、今日は帰っていただきたいのですが・・・」

「絶対だぞ、来なかったらまた迎えにくる」

「わかりました、後もう一つお願いがあります、私を経理部に戻してください」

「それは出来ない、俺のこと嫌いか」

「昨日会ったばかりで、正直わかりません、たださっきキスされた時嫌ではなかったです、私を好きって言っていただいて抱きしめて貰った時にドキドキしたのも事実です」

彼は満面の笑みを浮かべて微笑んだ。

「そうか、嫌われていないってことはわかった、でも経理部には戻さない、俺のテリトリーからは出すつもりはない」

私は彼の側で仕事をする以外の選択肢はないようだ。

もう一つ彼に頼みごとを伝えた。

「会社でキスしたり、抱きしめたりはやめてください」

「じゃあ、俺のマンションに引っ越してこい」

「社長のマンションならいいとは言っていません」

「どこならいいんだ」

「そう言うことではなくて、キスは好きな人とするものです」

「俺は美希が好きだ、美希も俺が好きなんだろう問題ない」

唖然としてなんて前向きな、いや、自信満々なんだろうと言葉を失った。

やっと絞り出した言葉で彼に気持ちを伝えた。

「まだわかりませんと申し上げたはずです」

彼は不服そうな顔で何かを考えている様子だった

「わかった、美希が俺を好きになってキスを懇願する気持ちにさせてやる」

この時、彼の真っ直ぐな気持ちに心が動き始めていたことに自分自身気づけなかった。

次の日の朝、目覚めると気分が良かった。

昨日あんなことがあって、仕事に行きたくなくなったら、どうしようって思ったが、ちょっとウキウキしている自分がいた。

いつもよりお化粧に時間をかけた、鏡の前で洋服を決めるのにこんなに迷ったことはない。
彼のキス、そして熱い抱擁を思い出すと、身体が熱くなるのを感じた。

彼の事を思うだけでドキドキする、出社して彼に会ったら心臓が飛び出してしまうかもしれないと思うと、恥ずかしくて彼の顔を見ることが出来ない。

でも会いたい、抱きしめてほしいって思ったのは嘘ではない、私の本当の気持ちである。
そんな事を考えていたら時間が過ぎてしまった。

「大変、遅刻しちゃう」

私は急いで会社に向かった。

「おはようございます、遅くなりました」

彼は不機嫌そうな表情で私を見つめた。

「遅い、迎えに行くところだったぞ」

「すみません、服選びに時間がかかってしまって」

「心配したぞ、来なかったらどうしようって、正直思った」

彼は心配で仕方ないと言わんばかりの表情に変わった。

「俺のマンションに引っ越してこい」

えっ、うそでしょ、彼と一緒に暮らすなんて、毎日ドキドキして何も手につかないよ?

「大丈夫です、明日から遅刻しないように気をつけます」

しかし次の日から彼は考えられない行動に出た。


朝、彼は私のアパートに迎えに来た。

「美希、おはよう、支度出来たか、車に乗れ」

「社長、どうされたのですか」

「美希が心配で迎えに来た、これから朝毎日迎えに来る、それで帰りもここまで送る」

彼は何を考えているのだろうと予想がつかなかった。

「社長、秘書の送り迎えをする社長なんて聞いたことありませんよ」

「じゃあ、俺のマンションに引っ越してこい」

「社長と秘書が一緒に住むなんて聞いたことありませんよ、夫婦じゃあるまいし」

「だから俺は結婚しようって言ってる」

「社長のこと全然知らないですし、いきなり結婚なんて出来ません」

「わかった、今度の休みに出かけるぞ、空けておけよ」

彼は私の意見は聞かず、いつも勝手に決めてしまう、そんな事を考えていると、急に彼は私の手を引き寄せキスしてきた。

ドキドキする、意識が遠のきそう、彼の舌が私の舌に絡んでそのままベッドに倒れ込んだ。彼の唇が私の首筋に触れる、私は思わず声が出てしまった。

「美希、感じた?、このまま一気に最後まで行くぞ」

彼の手が私の太腿へ滑り込んだ。

「駄目、社長駄目です、これから仕事ですよ」

私は慌てて彼から離れようとした。

「じゃあ、続きは夜な」

彼は嬉しそうに言って、支度をして会社に向かった。

会社に着き車から降りると、彼は私と手を繋ぎ社長室へ向かった。

彼の行動は理解出来ない、いきなり抱きしめてキスしたり、我慢出来なかったと押し倒したり、心配だと勝手に迎えに来たり、いい加減な気持ちはないとプロポーズしたり、社内なのに恋人同士みたいに手を繋いだり、私の気持ちはいつも置き去り状態である。

でもそんな彼の私に対する気持ちは嫌ではなかった。でも……

「社長、手を離してください、社内ではまずいですよ」

「なんでだよ」

そこへ東條さんがやって来た。彼は社長の右腕の存在で、この会社を回していると言っても過言ではない。

「社長、お話があります」

「なんだ」

「藤城さんは我が社の社員です、一人の社員にだけ特別扱いはやめていただきたいのですが……」

「特別扱いってなんだよ」

「社用車で一社員の迎えは困ります、また、社内で手を繋ぐ行為もやめていただけないでしょうか」

「わかった、俺これから自分の車で出社するからそれなら誰を乗せようと文句ないだろう」

東條さんは呆れて、これ以上言っても聞かないだろうと察し、社長への忠告をやめた。
私は秘書室に行き、東條さんが私に、付きっきりで仕事を教えてくれた。
彼は社長室と秘書室をうろうろしながら、私を見つめていた。

「藤城、ちょっといいかな」

彼は私を社長室へ呼んだ。

「美希、東條と近すぎだよ、秘書ならずっと一緒かと思っていたのに、全然一緒にいられねえじゃないか」

私にそんなこと言われても……
その時東條さんがドアをノックした。

「失礼いたします、社長、藤城さんへのお話はお済みですか」

彼は思いがけないことを言い出した。

「これから藤城と出かける」

彼は東條さんにそう告げて、社長室を出ようとした。

「どちらにお出かけですか」

「会長に藤城を紹介する」

「会長にご挨拶は別の日に日程を取っております今日必要な事でしょうか」

「今必要な事だ」

東條さんはしばらく考えて彼に告げた。

「では二時間だけですよ、二時間経ったらお戻りください、よろしいですね」

「わかった、藤城行くぞ」

「はい」

私は彼のあとについて出掛けた。