「ふざけてんのか」
いつもの倍以上低くて、怒りを隠していない声。
これは、本気で怒っている。
顔なんて見なくてもわかる。
怒っているユイくんを見ることなんてできるわけがなく、視線を泳がせた。
ナビの光が眩しくて目を細めると、視界に入った時間はすでに夜の十一時を回っていた。
もうこんなに時間が経っていたんだ。
だけど時間なんてどうでもいい。
初めてユイくんを本気で怒らせてしまった。
そのことが自分の中で深く突き刺さる。
けど、これに関しては全面的にわたしが悪い。
今日は特に嫌なことがあった。
だんだんとエスカレートしていく嫌がらせ。
きっと、限界はとっくに超えていた。
ユイくんと再会した時に一度気持ちが爆発した。
もうすでにあの時から限界で、でもユイくんに会えたから爆発してもギリギリの状態でなんとか保っていた。
いつおかしくなっても不思議じゃない状況。
だから無意識だった。
『死んだらどうなるのかな。楽になれるのかな。それとも嫌な思いのまま死んだら、嫌な気持ちのままなのかな』
わたしは病んでいたんだと思う。
ユイくんとドライブをすると、すごく嬉しくて幸せな気持ちになれる。
学校はつらくてもドライブは楽しくて。
一日のうちに気持ちが底辺と頂点を行ったり来たりしているんだから、心がおかしくなってむしろ当然なのかもしれない。
自分でも気づかないうちに、少しずつ心が蝕まれていたんだ。
無意識でこんな発言をしないと気づけないくらいに。