一ヶ月の月日が経過した、とある日。
私はリハビリの効果か、もう自分の足で歩くことができるようになっていた。
とは言えまだ病室の中を行き来することしかできないけれど。
それでも自分の足で歩くことができるのが、すごく嬉しい。
美優ちゃんも少しずつ回復に向かっており、今では志望校を目指して必死にリハビリと勉強に打ち込んでいる。
龍之介くんは夏休みが終わったためまた学校が始まり、お見舞いに来る回数は減ったものの必ず週に一回は美優ちゃんに会いに来ている。
残暑がまだまだ寝苦しい今日この頃、私のノートは二冊目に突入していた。
夢で昔の記憶の断片を思い出すことが多くなり、毎朝起きるとすぐにノートに夢の内容を書くことが日課になっていた。
ある時は同級生の噂話、ある時は学校行事の一コマ。ある時は高校の合格発表に一人で向かっている夢も見た。
一番印象に残っているのは、両親らしき二人と共に誕生日ケーキのろうそくの火を消しているところ。
ハッピーバースデーを歌ってもらい、ご機嫌で息を吹いたらひとつだけ火が残ってしまい。それを笑ってもう一度吹き消すと、二人から"おめでとう"と言ってもらった夢だ。
夢の中のことなのに、嬉しくて、幸せで。それと同時に泣きそうなくらいに苦しくて。
朝起きたら涙の跡がくっきり顔についていた。