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「桐ヶ谷さんって可愛いけどいつも一人じゃない?」
「そうなの?あれだけ可愛いんだから友達多いんだと思ってた」
「私入学してからずっと桐ヶ谷さんと同じクラスだったけど、特定の人と一緒にいるところ見たことないかも」
「え?そうなの?」
「うん、友達がいないわけじゃないんだけど、特別仲がいい子がいないっていうか……ほら、浅く広くって感じ?学校終わったらすぐ帰っちゃうし、遊びに誘っても絶対断られちゃうんだって」
「へぇー……そうなんだ。意外かも」
ふわり。夢の中で私はそんな会話を聞きながらどこかに浮かんでいた。
特別仲の良い友達はいない。その言葉に、なぜか納得した自分がいた。
自分の話題で盛り上がっている女子高生三人は、私が持っている制服と同じものを着ている。つまり先ほどの会話の流れからして、私の同級生のよう。
でもその顔はよく見えない。
三人の顔を見ようと、泳ぐように正面に向かう。
しかし三人の姿を追い越すどころか、どれだけ前に進んでも追いつかない。それどころかどんどん遠のいていて。
"待って"
そう叫んでいるつもりなのに、声は音にはならず空気に変わるだけ。
もちろんそれに三人が気付いてくれるわけがなく。
「そういえば駅前に新しいカフェできたの知ってる?」
「知ってる知ってる!行きたいなって思ってたの!」
「私も!じゃあ今日の放課後行こうよ!パフェがおいしいんだって!」
「うん、行こ行こ!」
気が付けば三人の話題は全く別のものに変わっており、そのまま廊下の角を曲がり見えなくなってしまった。
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