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「あれ?奈々美ちゃん、どうしたの?なんかあった?」



美優ちゃんがリハビリから戻ってくる前、私たちは自然と身体を離していた。


その頃には私の涙も落ち着いていて、龍之介くんが濡らしたハンカチを渡してくれて、それを目に当てていた。


ネイビーのハンカチは、どうやら龍之介くんのものらしい。


あんまりそういうものを持ち歩くタイプには見えなかったから、ちょっと意外だった。



「目がかゆかったみたいで擦って真っ赤になってたから冷やせってハンカチ貸してんの」



龍之介くんの頭の回転が本当に速い。


私が答える前にそれとなく話題を逸らしてくれる。



「あー、わかる!私もちょっと擦っただけで真っ赤になるよー。お兄ちゃんその度にハンカチ貸してくれるもんね」


「お前が持ち歩かないからだろ?」


「だって朝持つの忘れちゃうんだもん」


「……お前、学校のトイレでどうやって手拭いてんだよ」


「え?なにー?聞こえなーい」


「……はぁ」



わざとらしい美優ちゃんに、龍之介くんは大きくため息を吐く。


それを見て、美優ちゃんは面白そうに笑っていた。