「検査?」


「……カウンセリングに行ってきたの」


「カウンセリング?」



頷いて、ここ数日の出来事を話す。


引き出しにしまってあるノートを開き、いつだかと同じように龍之介くんに見せた。


実はあれから、毎日のように夢を見ていた。


それは決まって私らしき少女が、両親であろう男女に手を伸ばしては、空を切って置いて行かれてしまい泣き続けるというもの。



「結構しんどい夢でね、起きた時に泣いてる日もあるんだ」



朝起きると、目尻に涙が滲んでいることがある。


現に今朝もそうだった。


龍之介くんはノートのページをめくり、全て読み終わったのかそれを閉じた。



「この夢がもし、本当に奈々美の記憶なんだとしたら……さ。奈々美、そんなつらい記憶を本当に思い出したいのか?」


「え?」


「これ、どう考えてもいい思い出なんかじゃないだろ。夢で見るってことは、きっと脳裏に焼き付いてるんだ。それほど奈々美がショックを受けたことなんだと思う。もしかしたらそれ以上つらい記憶があるかもしれないのに。それでも、思い出したい?」



東海林先生と立花さんと同じ意見。


それほど、龍之介くんは私を心配してくれている。


視線を合わせると、とても切なそうな顔をしていた。