「美優ちゃんも、昨日はごめんね。心配かけて」
「ううん。お兄ちゃんに奈々美ちゃんが倒れたって聞いてもちろん心配したし驚いたけど、それ以上にお兄ちゃんが取り乱しててびっくりした」
「……龍之介くんが?」
「うん。あんなお兄ちゃん、久しぶりに見たから」
どうやら、私が倒れてから目が覚めるまで、龍之介くんはずっと一緒にいてくれたらしい。
「奈々美ちゃんが気失ってたの数時間だったんだけど、ずっと奈々美ちゃんの手握ってたんだよ」
「……そうだったんだ。お礼言わなきゃ」
自分の手を左手を見ながら、心が温まる。
「不謹慎だけどね、私、お兄ちゃんと奈々美ちゃんが仲良くなってくれて嬉しい」
「え?」
「お兄ちゃん、自分ではいろいろ言って強がってるけど、本当に友達少ないんだ。昔から人付き合い得意じゃなくて」
「そうなの?」
確かに人見知りなのはよくわかっているけれど。
「うん。だから、奈々美ちゃんと仲良くなってくれて嬉しい。ありがとう」
「そんな、むしろ私の方が仲良くしてくれてありがとうだよ。龍之介くんも、美優ちゃんも」
「私も?」
「もちろん」
頷くと、「嬉しい、ありがとう」と花が咲くように笑った。