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「……はよ」
「おはよう龍之介くん」
「まさか同じクラスになるなんてな」
「ね。私もびっくり。今度はクラスメイトとしても、よろしくね」
「あぁ」
新年度が始まった四月。
予想通り出席日数が足りずに進級できなかった私は、龍之介くんと一緒にもう一度ニ年生の教室の扉を開ける。
クラス表が外に張り出されていたため知ってはいたものの、まさか龍之介くんと同じクラスになるとは思っていなかった。
思いもよらぬ嬉しいできごとに他のクラスメイトからちらほら聞こえてくる"あの人留年したらしいよ"なんて声はあまり気にならない。
それよりも新しい一年に向けてのワクワクが優っていた。
「あ、あの」
「?はい」
「私、同じクラスの千代田 愛美って言います。隣の席なのでよろしくお願いします」
教室の席に座ると、左隣から話しかけてきた可愛らしいクラスメイト。
艶々の黒いふわふわのロングヘアと奥二重のうるうるとした目はトイプードルのように愛らしく、小さくぽってりとした唇がとても魅力的な女の子。
子犬系女子、愛美ちゃん。名前まで可愛い。