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「それで?その後は?」


「うん、それ以降は来てないんだ」


「そっか。でもそれは……良かった……のか?」


「うん。多分良かったんだと思う」



数日後。私は龍之介くんと一緒に美優ちゃんのお見舞いのために病院に来ていた。


おばさんの問題が一旦落ち着いたことを報告すると、笑って私の頭を撫でてくれる。



「それでね、私今度引っ越しすることになったんだ」


「引っ越し?」


「うん。おばさんから離れた方がいいって」


「確かに。あれは普通じゃなかったからな。それは俺も賛成」



二人の仕事のこともあるから、あまり遠くには引越しできない。


同じ区内でセキュリティの良い家を探そうと二人が話していたのを聞いた。


二十四時間体制で管理人さんがいるような、しっなりしたマンションを探すらしい。その方が不審な人がいればすぐに通報してくれるし、私も両親も安心できる。



「……でも、何で私はあんなにあのおばさんが怖いんだろう」



面会用のカードを首からぶら下げて美優ちゃんの病室に向かう道中、頭を捻って考える私に龍之介くんも不思議そうな顔をする。



「そこなんだよな。確かにあのおばさんやばかったけど、それでも奈々美の怖がり方も尋常じゃなかった。多分、昔あのおばさんと何かがあったんじゃないか?それを事故がきっかけで忘れてしまった。でも実は奈々美の身体は全部覚えてて、自然と反応しちゃう……みたいな感じだと思う」



龍之介くんの意見は、お父さんとほとんど同じものだった。


あのおばさんが、私の記憶に関して重大な関わりがある気がする。


それなのに、何も思い出せないことにもどかしさすら感じてしまう。