最近の変化といえば、森の陰でガサガサとうごめき、ときには襲い掛かってきたあの魔物たちが、俺とミュウに道を譲るようになったことだ。その分狩りはちょっと大変になったけれど、こっちも技量が上がっている。そもそも実りの豊かな森ではあるので、食料には事欠かない。
今日もミュウとふたりで食料集めをして、洞窟に帰ってきた。
「タダイマ! タダイマ!」
もうひとつの変化。それは住居だ。前から住んでいる洞窟なのだけれど、もはや剥き出しの岩床に尻を据えるというような状況ではない。
立派な壁ができて、平らな床に絨毯も敷いてある。洞窟の奥で採れた金属を《酸化》させることによって、かなり長持ちする電灯もできた。《融解》を利用した熱交換器も完成している。つまり、冷暖房と冷蔵庫が完備されたということだ。
錬金術の万能さには、我ながらあきれてしまう。
カゴを下ろすと、レインボーフルーツやバラした肉を冷蔵庫にしまい、入りきらなかった肉は燻製と今日の料理に使う。
「ソラ! ゴハンタベタイ! ゴハンタベタイ!」
ミュウも、かなり言葉が喋れるようになってきた。
そろそろ頃合いだ。
「なあ、実は聞きたいことがあってさ」
「ゴハン! ゴハン!」
ぽいんぽいんと跳ねながら、ミュウはそんなことしか言わない。