どこでどうしたものなのか
　　　一体何が起きたのか　
　　　とにかく全てがひっくり返った
　　　しっちゃかめっちゃか　くうちゃくちゃ
　　　いろんな物が入り乱れ
　　　上へ下への大騒ぎ
　　大変だ　大変だ
　　大変だったら　大変だ
　　　　だけど僕らは心配ないさ
　　　　貧乏だからなくす物は
　　　　何にも何にもないんだよ

　　なくなった　なくなった
　　大事な物が　なくなった
　　　場所も日付も分からない
　　　どこでなくしたものなのか
　　　一体どこに置いたのか
　　　とにかく頭がパッパラパーのパー
　　　しっちゃかめっちゃか　くうちゃくちゃ
　　　いろんな物が入り乱れ
　　　あれやこれやの大騒ぎ
　　なくなった　なくなった
　　大事な物が　なくなった
だけど僕らは心配ないさ
　　　　貧乏だからなくす物は
　　　　とってもとっても安い物

　　大変だ　大変だ
　　大金持ちは　大変だ

　東西冷戦が終焉してから、すべての歴史が方向性を失い、混迷している。中米関係がその後継になろうとしている。
　ああ、なんと夥多な、近藤真彦の『愚か者』たちの群れ集まりなのだろう。まるで汚物に蝟集する蠅のように、甘藷にたかる蟻のように、大学ゴッコの茶番に群れを成している。まるで、目隠しをされた馬車馬のように、痛くもない鞭にそっと打たれて、とろとろと走り続ける。そして、自分ではどこに向かってちんたらと疾駆しているのか分からない。恐るべき盲目の者たちの集団。目あきでありながらめしいであることを、『風雪流れ旅』の高橋竹山はどう思うか。各人はロバート・ブラウンのブラウン運動のような行動をとり、ヘルマン・ロールシャッハの左右対称のインクの染みのような意見を吐く。出鱈目で、間に合わせで、行き当たりばったりで、借り物で、いい加減で、無責任で、一貫性がなく、一定のパースペクティブもなく、しかも明確なヴィジョンもない。
　なぜ、彼らには見えないのだろう。この世界は平たんで、起伏が全くないということが。