唐辛子は辛い形をしている

 畑で栽培している唐辛子を見たことがあるだろうか。
 ナスやピーマン、きゅうりなどは花が咲いたところに実をつける。
 実が大きくなるにしたがって、その重さで垂れ下がってくるものである。
 みかん、リンゴなどの果物も、垂れ下がるものが多い。
 だが、
 唐辛子は垂れ下がらない。
 草のてっぺんや、枝の付け根などに付いた実が、上を向いたままで熟していく。
 あたかも草が燃えているかのように見える。
 真っ赤な実が、緑の葉や茎と対照的で鮮やかに激しく演出される。
 また、実の塊がギザギザとしたシルエットを描き、辛さを想像させる。
 植物がその形体から味を感じさせている。