小野先生のプッシュがあってこそなのは勿論だけど、色々話を聞いてみると、やっぱり最後は加瀬くんの人柄のように思えた。
加瀬くんの決断力と行動力は抜きん出てる。おまけに、その土台になってる心は清々しいほど真っ直ぐだ。

「所長さんがさあ、小宮山のこと大事にしててエライって褒めてくれた。あと、小野も」

加瀬くんがこんなふうなのは昔からで、今に始まったことじゃない。
そういうのって自然と周りにも伝わってゆくものらしく、小野先生も加瀬くんのそーゆうトコロをよく知っていた。
加えて、ロボコン部って繋がりのあったふたりは気心知れてて仲もよく、小野先生は加瀬くんのいいネタをいっぱい持っていたらしい。加瀬くんをイジリながら、所長さんに彼のことをオシまくってくれたのだという。

「あとコレ」
加瀬くんがスマホを取り出して私に見せてきたのは、病院でもらった赤ちゃんの写真。
「コレが一番効いたわ。コレ見せたら誰もなんも言えなくなんの。コイツ弱っちいクセに無敵だぜ」