朝の国立競技場。
早く起きた遥はテントを出ると
一人の係員を偶然見かける。

遥「おはようございます。係員さん。」
係員「ああ、おはよ。もうすぐ食料が届くからね。」

そして、グラウンドの様子を確認すると避難者達が
ランニングや筋力トレーニングをして体を動かしていた。

遥「みんな頑張って運動してるみたい!」

それに感激した遥は気になることを思い出した。

遥「あっ、そうだ!遼真と未夢さんを起こさないと!」

そして遥は先程の自分達のテントに戻り、遼真と未夢を起こした。

遥「未夢さん、起きてください‼ほら遼真も‼」

遼真と未夢は遥に起こされて、目が覚めた。

遼真「おはよう・・・お姉ちゃん。」
未夢「もうなんなんだよ朝っぱから・・・。」

遥は2人に運動するように促した。

遥「朝からみんなグラウンドで運動してるよ!
  ねぇランニングとか筋トレとか体操とかしないの?」
未夢「は・・・運動?こんな時にランニングとかふざけんなよ・・・!
   アタシらはまだ(ねみ)ぃしよ・・・!こんな大変な時によ・・・!」
遼真「僕達は避難生活してるんだからゆっくり寝てたいよぉ。
   ここへ来たのに何考えてるの・・・?」

眠そうで運動する気にはなれなかった2人に遥は呆れてしまった。

遥「全く2人とも本当にだらしないんだから~‼」

すると、配給から争う声が聞こえた。

避難者「コラ!勝手に列を割り込むな!」

その声を聞いた遥は・・・

遥「配給の方から何かあるみたい!私、ちょっと様子を見てくるね!」

配給の様子を見に、遥はテントから出て行った。
配給の方では避難者が食料の事で言い争っていた。

不良若者「オレは昨日晩飯すら食ってなかったんだぞ!
     オレに食わせろや!」
避難者「なんで早くここに来なかったんだ!
    もっと早く避難しないお前が悪いんだ!」
不良若者「オレァもう腹ペコなんだオンドリャー!」
避難者「いや、お前の分のちゃんとあるんだから!」

遥はその喧嘩を止めにやってきた。

遥「二人ともやめてください!!」

遥は避難者を説得した。

遥「皆の物は皆で食べる物!独り占めなんかしたら皆が悲しむだけだよ!」

そして未夢も説得に加わり

未夢「遥の言う通り!食料の独り占めは窃盗と同じさ!
   まだ警察も到着してないからその言い争いはやめろよ!」

説得中に突然、雨が降り始めた。

ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

未夢「ん?」
遥「雨?」

雨はいつにも増して強くなり、消防士が現れた。

消防士「危険です!皆さんここから出てってください!」

避難者は消防士の話を聞いた。

消防士「この雨は酸性雨と言って、昨日の地震で倒壊した
    建物や火災旋風の煤によってできた雨で
    最悪の場合、健康被害を受ける場合があります!
    速やかに行動をお願いします!」

国立競技場の入り口手前には
複数の車が駐車していた。
避難を促された人々は次々車に乗り込み分散移動し、
遥達も、国立競技場を後にし、
駐車しているオフロード車に乗り込んだ。

未夢「私と平井姉弟の3人です!」
男性「分かった!」

その雨は更に強くなる中、遥達は
オフロード車で行き着く場所まで向かった。