もしかして、非常階段のことか?


《立ち入り禁止》の扉が開いていた事が、ずっと気にかかっていた。


霧夜さんは俺が、もしくは誰かがあそこに行く事に期待を託して、扉の鍵を開けていた――?


「でも、なんで霧夜さんが鍵を持ってたんだ……?」


その謎は簡単なものだった。


霧夜さんは、リナが実験台にされていると知っている身内の1人なのだ。


信用している人物が鍵のある場所を知っていてもおかしくない。


そして、まんまと俺があの扉を開けた――って事か。


今までのつじつまがすべて合って、少しだけモヤモヤが取れた気がする。


けれど……。


「任せたって言われてもなぁ~」


探偵でも警察でもない俺はため息混じりにそう呟いた……。