俺がこっそりを松葉杖を準備している時、そいつは突然やってきた。


ほとんど物音を立てずに病室へ入ってきたそいつは、俺のベッドを覆っているカーテンを大きく開き、松葉杖で立っている俺を凝視してきたのだ。


「誰……?」


驚きで立ち尽くしたまま、俺はその男に訊ねていた。


男は、身長は俺と同じくらいだけれど、体格がものるごくいい。


ラグビー選手のような肩幅に、服の上からでもわかる盛り上がった胸。


それに加えて、眉間にシワのはいったいかつい顔。


「お前名前は?」


俺の質問に答える気はないらしく、一方的にそう聞いてくる。


「ナオキ……」


「来い」