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それからもしばらくリナと話をして、俺は実験について出来る限りの事を聞き出した。


リナは三時間おきに花の力を弱める薬を飲んでいる事。


三時間以上経過するとクスリの効き目はなくなり、花が開花してしまう事。


病棟の中ではいつでも自由に動き回ることができるけど、外へ出る道は警備員によってふさがれている事。


そして……俺たちが出会った渡り廊下は霧夜さんの提案でつけられたものだという事。


霧夜さんは本館にいてもすぐに駆けつけられるようにと説明したらしいが、実際は誰かに特別病棟の存在を知らせるためだったのだと、俺はすぐに理解した。

「俺は……リナちゃんをそこから出してもいいの?」


そう訊ねると、リナは期待に満ちた表情で大きく頷いた。


だから俺は「わかった」と、小さく返事をしたのだ。


リナをあそこから出すという事は、リナを殺すという事。


だけど人は神にはなれない。


一度完全に死んだ人間を一週間冷凍保存した後蘇らせるなんて、神ではなく悪魔のような行為だ。