「知ってるかもしれないけど、ここには学問の神様がいる。だから、連れてきたかったんだ」
もちろん、それは知ってる。
確か、菅原道真公が祀られてる。
「大きいですね」
九州に行くと言うので色々調べた時、ついでに写真も見たが実物は想像の五倍くらいはでかかった。
俺たちはまっすぐ前に進み、お祈りを済ませることにした。
「それにしても混んでますね」
彰が周りを見ながら誰かに話しかけた。それに反応したのは朱里さんだった。
「休日だし仕方がないだろ。それよりこれ」
朱里さんが彰に何かを渡した。そして、そのまま彰は俺らの方へ来て俺に、「手、出して」と言うので言われるがまま手を差し出すと五百円玉を俺の手の上に乗せた。
「え、いいんですか？」
俺は朱里さんに確認を取った。すると、朱里さんは笑って「いいんだよ。｣とだけ言った。
俺は素直に朱里さんの優しさを受け取ろうと思った。
ちらっと横を見ると楓も俺と同じのも貰っていたらしい。