海は広い。
そんなことは誰もがわかっている。
『これを拾った人へ。これを世界のどこかにいる、川口彰という男に渡して欲しい。でも、中身は彰だけに見てほしい。』
俺は世界共通の言語である英語でそう書いて封筒を瓶の中に入れ、海へ流した。
「本当は携帯のメールとかで送ればいいんだけど、俺はこっちの方が好きなんだわ」
これが彰の元に届くかどうかなんて誰にも分からない。いつになってもいい。必ず届けて欲しい。
そう海とこれを拾うであろう人に願った。