また神様から『夢』を持ち続ける勇気をもらった。十時半。寝る準備を終え、布団に潜り込んだ。

そういえば、どうやって帰ってきたのか何故か思い出せなかった。喫茶店を出た記憶も抜け落ちている。

「痛っ」

頭痛薬を飲むと、少しだけ落ち着いた。

なんだか無性に外が気になり、出窓を開けた。
家の前のゴミ置き場。その近く、電信柱の陰に何かが動く気配がした。



◆◆◆◆◆◆◆【家族計画】◆◆◆◆◆◆◆


まだいる。

窓の外に姉さんが。


僕と目が合うと、たぶん笑わそうとしているんだろう。グニグニと変な形に両手を動かしている。


僕が外に出ても、話しかけるワケでもなく、いつも黙って我が家を見上げていた。


「ねぇ、お母さん。なんで姉さんは、ずっと外にいるの?」

「えっ…………。アナタにお姉さんなんていたかしら」



塾から帰るといつも外にいる姉さんの姿がなかった。

安心と同時に、残念な気もした。もう少し、観察を続けたかったな。



「ただいまぁ。はぁ~、お腹すいた」

「あなた……………誰?」

冷たい目が、6つ。
こんなに近いのに、手が届かない幸せ。


カレーの良い匂いがする食卓に母さんと父さん。それといつも僕が座っている席に姉さんがちょこんと座っていた。三人で仲良くテレビのお笑い番組を見ている。



あぁ。

そっか。



今度は、僕が外で待つ『番』なんだね。
本当の家族になる為に。