しかし言われた言葉にはどきりとした。それはまるで、先程の願望が言葉になったようだ、なんて感じてしまったせいで。
『魅力的な女性』
そうは認めてくれているのだ。一人の女性として見てくれている面だってあるのだ。それが『主人』より奥にある感情であっても、確かに。
「フレン」
思わずフレンのほうを見ていた。そこで視線がしっかり合ってしまう。
フレンの翠の瞳。いつも通りに穏やかで優しい色が浮かんでいた。
グレイスに思い知らせてくる。このひとに惹かれてしまっている、と。
この優しい瞳が、違う意味で自分を見つめてくれたらどんなに良いだろうと、望んでしまっていることを。
恋の気持ちで優しい色を浮かべてくれているならどんなに良いだろうと。
グレイスの願望は表に出てしまったのだろうか。フレンがちょっと不思議そうな表情を浮かべた。なにかグレイスが言いたいことを抱えている、くらいはわかってしまっただろうから。
でもなにを言いたいのか、グレイスは自分でもよくわからなかった。
心にある願望をそのまま言いたいはずはない。そんなこと、言うつもりはない。
けれど、なにか詰まったようになっているのだ。これは、一体。