強烈な刺激臭に頭が痛くなる。


「絶対様を作るのに失敗したとき、廃墟ごとあいつを燃やすつもりで準備してたの」


咲は短い説明をすると、ライターを取り出した。


「やめて!!」


咄嗟に咲の腕に飛び掛る。


この中にはまだ美緒がいるんだ。


水を飲ませたら、絶対様から美緒に切り替わることができる。


それは美緒が完全に死んだわけじゃないことを物語っている。


そんな状況で火をつけたら、今度こそ美緒を殺してしまうことになる!


「離せ!」


咲はあたしを振り払い、あたしはその場にしりもちをついてしまった。


立ち上がる間もなくライターに火がつけられ、それは巻かれたガソリンの上に投げ出されていた。